二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン エイリア学園ウィンドレス オリキャラ募集中 ( No.26 )
- 日時: 2011/07/17 16:17
- 名前: アラン (ID: zGIWZsqg)
次の日、ラルズは、基地内のウィンドレス専用エリアにある、部屋の前に立っていた。そして、そのドアの前にある小さなパネルに右手の人差し指をかざすと、ピピッと音がしてドアが自動的に開いた。
中に入っていくと、長い青髪のきれいな顔立ちをしている少女が、ベッドから半ば起き上がって、こちらを見ていた。どうやらさっきまで、寝転がっていたらしく、ラルズは彼女にとっては想定外の来客のようだ。
「えっと……この基地って全部屋指紋認証ロックじゃなかったっけ? どうやって入ってきたの?」
「ええ、そうよ。でも、ウィンドレスエリアだけは、全ての部屋が私の指紋も読み取れるようにしてあるの。こうした方が便利だしね」
「それってプライバシー及び、人権の尊重——」
「何か文句でもあるのかしら、クレア」
「いえ、ありません」
途中の言葉を冷たい微笑みで遮られ、クレアは若干顔を伏せた。明るい緑の瞳が、光の影響で少し暗くなる。
「で? 副キャプテンは私に何か用でもあるわけ?」
「実は今、もうすぐ計画が始まるって話で、キャプテン達は専属のミーティングルームで、待機でしょう?」
「うん」
「それでね、レーゼ達は今回、必ず成功する。でも、私はその後雷門がどう動くか、知りたいの」
「それで、私に調査というより、偵察してほしいって事?」
「そういう事よ。あなた頭が以外と切れるから、期待してるわよ。接触は今回はなし。これは厳守よ、いいわね。あと、出来ればチームメンバーのデータもザッと集めてほしいわ」
「分ってるよ、ラルズの言いたい事。相手が未知数すぎるから、あまり干渉をかけないつつ、あちら側の情報を的確に掴みたいんでしょ」
「その通りよ」
クレアはぼーっとしていがちな割りには、頭の回転が速い。始めの頃、ラルズはその意外性に驚いたものだ。
最初はアキラに行かせるか、迷っていたのだが、やはり接触無しなら、クレアに行かせた方がよいのだろう。アキラはそんな繊細な事は出来ない気がする。相手に感づかれては、色々後が困るのだ。
「雷門ってかなり危ないって私も思ってるんだよね。ピンチに強いタイプは最後、どうなるのか分らないんだよね」
とこれもまた、クレアはラルズとまったく同じ考えを述べた。
「そうね。所で出発は今日。ジェミニストームが引き上げた後よ、いいわね?」
「分った」
クレアは特に表情を変える事もなく、静かに頷いた。
巨大なスクリーンを、囲むようにして、四本の柱が立っている。そこを赤、青、白、緑のライトがそれぞれ照らしていた。
この奇妙な部屋こそ、マスターランクキャプテン専属ミーティングルームである。
チームへの大切な知らせ、及び話し合いをするために設けられた特別な部屋であり、普段の練習試合決めのミーティングルームとはまた別の物だ。
「そろそろ時間だ」
ガイアを象徴する、白の光に包まれたグランがそう呟いたとほぼ同時に、中央スクリーンに映像が映し出された。
緑色の髪の少年。ジェミニストームのキャプテン、レーゼだ。
「これからジェネシス計画を開始します。予定通り、雷門の破壊、及び全地球への挑戦宣言を行います」
事務的な声で告げると、レーゼは後ろで控えるメンバー達に「各自位置につけ」と指示を出した。
「では、今より、ジェネシス計画、開始」
その掛け声と共に、レーゼは黒のボールを蹴る。崩れる建物の音や、生徒の悲鳴がやたらと部屋の中で響いた。
「始まったね」
ウィンディーが小さく呟いた。
「なんだお前、今さら計画を引き受けた事、後悔しているのか? それだったら、今から抜けてもいいんだぜ」
バーンはニヤニヤ笑いながら、言った。その琥珀の瞳からは、肉食獣のような光が宿っている。
「まさか。せっかくマスターランクになったんだから、そんなの、勿体無いよ」
ウィンディーは、バーンに微笑みを返す。
その表情を見て、グランは一瞬目を細めた。そして思う。
(あぁ……この中で一番危ない目してるのは、ウィンディーだな)