二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン エイリア学園ウィンドレス オリキャラ募集中 ( No.36 )
- 日時: 2011/07/18 16:34
- 名前: アラン (ID: zGIWZsqg)
ウィンドレス専用のミーティングルームでの事。
ホワイトボートの前に立つ少女を、囲むようにして座る人達。紫の石が埋め込まれた、若芽を彷彿させる緑のユニフォームから、彼らがウィンドレスのメンバーである事が分る。
「みんなも存知の通り、一昨日計画が開始し、予定通り傘美野中の破壊が終わったわ」
ラルズがそう告げると、チームメイト達は少し頷いて相槌を打つ。
「雷門の事については、クレアを偵察に出したんだけど、クレア、その件についてはどうなのかしら?」
「ばっちり調べてきたよ」
「それでどうだったの?」
クレアはどこからかファイルを取り出した。それなりに厚さのある物で、二日間でここまで調べられるのだと、ラルズは内心、感心する。
「まず雷門破壊後に、ジェミニと雷門イレブンが接触。さらにその後、傘美野中が試合を拒否した後、かわりに試合を実施。もちろん結果は言わなくとも、ジェミニが大差をつけて勝ったよ。それで雷門には五人の負傷者が出た。けど、問題はその後なんだよね」
クレアはファイルを一ページめくり、すこし眉を潜める。
「それで折れるものかと思いきや、私達を倒すために、最強のメンバー探しの旅に出たらしいの。そして、その監督は、瞳子姉さんよ」
チーム内にざわめきが走った。
お日様園にいた頃、本当の姉のように接してくれた瞳子が、まさか自分達の敵になるだなんて、想像もつかなかった。
「まぁ、姉さんが敵だろうと、関係ないよね。僕達別に姉さんのために動いてるわけじゃないんだもの。父さんのためなんだから」
束ねた髪先を指でいじりながら、ウィンドレスMFの少年、ア二は笑う。
その笑顔をラルズは僅かに嫌悪の表情を見せながらも、話を進める。
「まぁ、姉さんが敵なのは問題ないわ。でも、うちのチームにとっての大問題なんだけど——」
と言って、クレアからファイルを受け取ると、中から写真を一枚取り出し、磁石でホワイトボートに貼り付けた。
「この顔、どこかで見覚えないかしら」
そこには青い髪をすっきりとポニーテールにし、長い前髪で左目を隠している人物が映っている。
そして、ざわざわと騒ぎメンバー
「あれウィンディーだよな」
「ウィンディー様、男装かっけー。雷門ユニ超似合う」
「みんな、静かに」
ラルズによる鶴の一声の効果は、もはや言うまでないだろう。
「この写真、誰だと思う?」
「はぁーい、ウィンディー様の男装アンド雷門コスプレでーす」
勢いよく手を上げたのは、DFのイクト。金髪のきれいな彼の名誉のために言っておくが、女の子に見えるかも知れないが、彼はれっきとした男である。容姿で判断していけないとは、まさにこう言うだろう。
だが、彼は馬鹿なのだ。
今の発言も、黒い目から放たれる子犬のような光線を見ると、本気でそう言っているのだろう。
ラルズはイクトを無視して、話を進めた。理由は馬鹿に構っても、前には進めないからだ。
「アキラ、あなたはもちろんこれが誰なのか、分るわよね」
「キャプテンの男そ——」
「殴るわよ」
「風丸一朗太。私の予想が合っていれば、キャプテンの兄だ」
「ちなみに負傷はしてないよ。今はメンバー探しに同伴中」
クレアが付け加えると、茶髪の少年が遠慮がちに口を開く。
「それって、オレ達がウィンディ様のお兄さんと対立する可能性があるかも知れないって事ですよね」
MFのハイブの発言に、ラルズは頷いた。
「ええ、そうなるわね。それに、向こうは今の所、こちらへ立ち向かってくる気満々じゃないの。ジェミニストームは、多分もうすぐ潰されるわね。後はイプシロンに頼るしかないわね」
「イプシロンが潰れたら、どうするつもりですか、ラルズさん」
ラルズはハイブを一瞥してから、チームメイト全体を見渡す。
賛同する人数と、反対の人数、大体は予想がついている。
「私がどうしたいのか、聞く必要があるのかしら。みんな、分るはずよ」
そう言うと、チーム内に沈黙が走る。
だが、真面目な表情の中、一人だけ場違いな笑顔があった。
「分るわよね、イクト」
ラルズは目を細めて聞く。
「もちろん! そりゃあ、すぐさま邪魔者廃棄。雷門に試合をグフッ!」
飛んできたマーカーが見事に額に当たり、イクトは倒れた。
「馬鹿は大人しく寝てなさい」
もう投げたのは誰かなど、言う必要もないだろう。
「一応説明するわ。イプシロンが潰れたら、もう私達、マスターランクの出番よ。でも、私は出来れば雷門とは、対峙したくないわ。理由は分ってるわよね。他のチームの様子を見て、出なくてもいいのなら、出来れば出ないままがいいわ」
あの子を守るためなら、これが一番いい。