二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン エイリア学園ウィンドレス  ( No.84 )
日時: 2011/10/03 11:28
名前: アラン (ID: zGIWZsqg)

「俺は南雲晴矢だ。よろしくな」
 雷門の二人に技を見せた後に、バーンとウィンディーは自己紹介をする。
「オレは土門飛鳥」
「僕は吹雪士郎だよ。こちらこそよろしくね」
「ふ、吹雪?!」
 突然、ウィンディーは声を上げる。そのせいで、その場にいた三人の注目を浴びる事になった。
「え、あ……ごめんなさい。ちょっと、あー、なんでもないです」
 アハハと笑ってウィンディーは笑ってごまかした。
「その子は?」
 と吹雪はバーンに聞く。
「あー、こいつは風丸来夢。俺の幼馴染」
「風丸?!」
 今回は土門と吹雪が声を上げる番だった。
「えっ?」
 当の本人であるウィンディーは何が起こったか、理解出来なく目をパチクリさせる。

「君さ、お兄さんとかいたりする? 何年間もあってないお兄さん」
 土門が聞いてくる。
「お、お兄さん? 一応いるけど」
 どもりながらも答えると、土門と吹雪はパァッと顔を輝かせた。それを見て、ウィンディーはいやな予感がした。
「僕、君を見たときから風丸くんと似てるだって思ったんだよ。あのね、風丸くん、いつも君の話してるんだよ」
「おいおい、吹雪。まだ決まったわけじゃないだろ」
 土門は苦笑しながら、ウィンディーに向き直った。
「ごめんな、混乱しちまっただろ? オレらと一緒に来れば分るからさ、説明後でいいよな?」
「あっ……」
 説明なんてもう必要なかった。
 ウィンディーは足が震えて、今にも崩れ落ちそうだった。
「わ、私——」
「ちょっと来夢、こっちへ来い。悪いな、少し待ってくれ」

 突然バーンはウィンディーを引っ張って、吹雪と土門から離れる。雷門の二人に、話を聞かれない場所までやってくると、バーンは足を止めた。
「お前、どうするんだ?」
「え?」
 ウィンディーはバーンを見た。彼の顔からは、いつもの幼さも乱暴さも消え去り、思慮深さが一際目立っている。
「お前だって分ってるんだろ? お前はどうする。今すぐ帰るのか、それともこのまま雷門へ行くのか?」
 雷門へ行ってどうするのか、バーンは言わなかった。言う必要等なかったのだ。
 ウィンディーはよろめくようにして、数歩後ろへ下がる。そして、両手で顔を覆った。

 どうすればよいのだろう。
 逃げるのか、進むのか。
 でも結局は逃げ切れないのだ。いずれか顔を付き合わせる事になってしまう。
 いや、逃げ切れない事もない。この計画から辞退すれば……そうすれば柚が代わりにキャプテンをやってくれる。あの子は自分なんかより、よっぽとキャプテンに向いていてる。
 そうだ。一層逃げてしまえばいい……でも、ダメだ。だって、だって自分の存在価値は——

「行くよ」
 手で顔を覆ったまま、ウィンディーは呟く。バーンは彼女を見つめた。
「私、雷門行くよ。だって、私には父さんがいるんだもん」
 顔を上げたウィンディーは笑顔だった。
 その頭を、バーンはポンと軽く叩く。彼は何も言わなかった。
 そしてバーンはさっさと歩き始める。その後ろをウィンディーは数歩遅れて着いてくる。
「吹雪士郎」
 ウィンディーは遠くに小さく見える銀髪の少年をみつめ、呟いた。
「思ったよりも事態は複雑そうだな」
 先程の呟きが聞こえたのか、バーンはウィンディーに言葉を返した。ウィンディーはその後ろで小さく頷く。

「吹雪士郎。カル、吹雪アツヤ。これはややこしい事になりそうだね……」