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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Ⅰ.ほたるの休日 −2− ( No.9 )
- 日時: 2011/08/05 21:11
- 名前: 雛乃 ◆MRFt3hQ4G6 (ID: AEu.ecsA)
パパがいないのなら仕方がない、とほたるは自分の部屋に目立つようなメモを残して家を出た。父親に直接言わずに出かけるのは正直とても心苦しかったが、このまま家にいるわけにもいかない。もう少しでちびうさとの待ち合わせの時間なのである。
ほたるにとって、ちびうさもまた父親と同じくらいに大事な存在だった。早い話が、数少ない友達のひとりなのだ。ちびうさはほたるの生まれつきもった不思議な力を、気味悪がることもなく仲良く接してくれた、いい意味で稀有な存在なのだ。
ほたるの家はかなり立派なもので、玄関からまた数メートル門まで歩かなければならない。木々や花々に包まれた庭を通り門までたどり着くと、彼女はふっと後ろを振り返った。二階建のシックなデザインの家。それを見る目に、かすかな不安の色が宿る。
——……メモを残したもの。大丈夫よね
唇をきゅっと結び、彼女は今度こそ家を後にした。閑静な住宅街を、普段よりも足を速めて歩いていったのである……。
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