二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第1話 始まりの風が吹いてきた〜THE WIND OF TH ( No.4 )
日時: 2011/07/22 16:41
名前: HAL (ID: /SWK1WU/)

レジェン追っかけ25年のハルカ・ヘップバーンは、愛用のバイクに掴まりながら空を旅していた。しかし、その生活は既に一年も経っていた。
何も食べずお風呂に入れない生活に嫌気が差した彼女の耳に、甲高い悲鳴が聞こえた。
「きゃああああ!引ったくりよ——!!」
三十代半ばの女性のブランド物のバックを奪う黒服の男性の姿が映った。
「あらあら、大変ねぇ〜」
空から呑気に言う彼女に、ある少女に目に入った。その少女は離れた場所で引ったくり犯の前に立っており、その手にはソフトボールに使うバットとボールを持っていた。
「ど、退けぇ!危ねぇぞぉぉぉ!!」
引ったくり犯は叫びながら懐に隠してあったナイフで少女を刺そうと考えるが、少女はボールを上に投げると、バットをしっかりと握り締めた。
「——そっちが危ないよ、引ったくり犯さん」
クスッと笑いながら呟いた少女の周りから白い風が集まっていく。ハルカはその光景に目を奪われていた。
そして、上に投げたボールが少女の目線にまで落ちてくると、少女は風と一緒にバットを振り上げる。
突風を纏ったボールは、引ったくり犯の顔面に正確にヒットし、そのまま通り過ぎた突風はハルカが乗っているバイクに竜巻に様に回りながら吹き飛ばしてしまう。
引ったくり犯はソフトボールによって顔面に当たった所為で意識を失い、歩道に倒れてしまう。その瞬間、周りに歓声が起きた。
「いいぞー!ヒナター!」
「よっ!ブルックリンの用心棒!!」
「えへへ、どうも!」
少女——ヒナタ・トヨサキは明るくバットを片手に振り、そのまま引ったくり犯が奪ったバックを手にし、女性に向かって投げる。空中を飛んだバックは見事に女性の腕の中に収まった。
「はい、奥さん。今度からは防犯ブザー付けといたほうがいいよ?最近物騒だから」
「あ、ありがとうございます……」
女性は戸惑いながらお礼をいい、ヒナタは笑みを浮かべる。そしてそのまま向日葵の模様がある携帯電話で警察に通報した。
そして全て終わったヒナタは、携帯電話のディスプレイの時間に驚きの声を上げた。
「って、あああああああっ!?どうしよう、もう約束の時間が近い!い、急がないと!!」
ヒナタは街灯に置いてあった愛用のキックボードで待ち合わせ場所に向かって全力疾走する。
そんな中、やっと竜巻から開放されたハルカは目を光らせた。
「……あの子、風を」
カッコよく決まった台詞を言ったハルカだが、自分のいる場所が空中だと忘れており、彼女はバイクごと海へ落ちてしまった——。