二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.15 )
- 日時: 2011/11/06 20:53
- 名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)
それにしても、時の流れというものは本当に不思議なもので、楽しみにしている事を待つと、それまでの時間がすごく長く感じる。
何回目だろうか、時計を見るのは?
聖那は自分の行動に、不信感を抱き始めた。自分がここまで楽しみに待つものなんてそうそうありはしない。
不意に、教師と目があった。
聖(うわ。やっべ!)
先「それで、弥生人とわれわれ現代人の身長差はだな——」
聖(ふぅ)
聖那が安堵したその時、隣の席の人が迷惑そうな顔をしながら聖那に紙を教師に見えないように差し出した。
黙って聖那はそれを受け取り、まるっこい字を読み始めた。
聖(なっ……!)
文面に書かれた文字を見て、聖那は愕然とした。
なぜならそこには、『そういえば、剣城京介って知ってる? 藍色の髪で、揉み上げの両サイドがカールしていて、目つきが鋭いんだ^^それに、色白で、赤いシャツを学ランの下に来ているんだけど、知らない?』とまるっこく小さい文字が並んでいたからだ。
聖(こんな偶然って)
ちょうど聞こうかと思っていたことを、相手側から聞いてくれるとはすごく運がいいことだ。
聖那は神に心から感謝した。
しかし、神もそれほど優しくはないようで、返事を書き終えた時点でチャイムが鳴り響いた。
先「今日はここまで。宿題はさっき言ったように弥生人と現代人の違いについてのレポートだ。来週の火曜までに提出するように」
知ったこっちゃねぇよ。
そう思いながらも、聖那はノートの片隅に宿題の内容を書きとめた。
先「日直。号礼を」
葵「きりーつ」
周りが席を立つのに合わせるように、聖那はノートを閉じながら立ちあがった。
葵「れーい」
やる気のない号礼が終わったとたんに、教室内はわっとうるさくなった。
聖那は周りのテンションなど気にもせずに、松風天馬に駆け寄った。
聖「松風天馬!」
松風天馬はいきなり自分の名前が呼ばれたので、びっくりして椅子から転げ落ちてしまった。
彼の小さな叫び声なんかを気にせずに、聖那は彼の胸倉を掴んで、
聖「お前、藍色の髪で揉み上げの両サイドがカールしていて目つきが鋭い、雷門中の生徒を知ってるのか!?」
と早口で捲し立てた。
松「あ、え、あの」
松風天馬はいきなりの出来事の変化について行けず、目をぐるぐる回しながら、聖那の言っている事を理解しようと努めていた。
聖「答えろ! 松風天馬!」
松「し、知ってるよ。剣城のことだよね?」
聖「剣城だかなんだか知らないが、とにかくそいつを知っているってことだよな?」
松「うん。だって、チームメイトだしさ」
チームメイト。その言葉を聞いたとたん、聖那の思考回路は一旦急停止した。
再稼働するのにはさほど時間を要さなかったが、松風天馬の言葉を理解するのには少し時間を使った。
聖「チームメイトってことは、つまりその剣城ってやつはサッカー部なのか?」
松「うん。そうだよ」
聖「……」
なんてこった。
聖那はただそれしか思わなかった。
あんなやつが、サッカー部の、部員ときた。
それこそ、兄がサッカーを始めたのと同じぐらいのショックを与えたのだ。
松「もしかして、剣城の知り合い?」
聖「あ、いや、知り合いというか、顔見知りというか」
聖那がしどろもどろとしていることなど気にもせずに、松風天馬は目をキラキラさせて
松「じゃあさ、放課後ちょっと来てほしいんだけど、いいかな?」
と何かを企んでいるような、でもあまり黒くない口調で聞いて来た。
聖「あぁ。構わない」
もう何が何だか分からなくなり、適当に返事をした。
聖(もうどうにでもなっちまえ)
聖那はこれから起こることさえ考えるのが億劫になってしまったのだった……。
・
時間というものは本当に不思議なもので、嫌なことは比較的早く来るように感じる。というのが今の聖那の感想だった。
昼休みになり、松風に引きずられながら剣城京介とやらのクラスの前まで連れて行かれた。
そして、松風の言っていた剣城京介とは、聖那が朝会った少年と同一人物であったのだ。
聖(わー。少女漫画みたいだー)
聖那の気持ちを理解する者が他にいるだろうか? いや、きっといないだろう。
剣「用ってなんだ? 松風」
剣城京介は聖那のことなど、全く気にもしない様子だ。
その態度に、聖那は腹立たしさを感じた。
松「剣城。今日こそ練習に来てよ!」
剣「断る」
松「またお見舞いに行くの?」
剣「お前には関係ない」
この二人のやり取りは、聖那を混乱させるばかりだった。
剣城は話の内容から察すれば、サッカー部の練習をさぼっているらしい。
剣「——で、そこの最狂不良は、何の用だ?」
聖「は? 何って、松風に連れられて来ただけだ」
剣「ふーん……」
剣城はそう呟いて、聖那の顔をじっと見た。