二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.17 )
日時: 2011/08/18 15:34
名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)

《ドS先輩!? 南沢さん登場》


 聖那は倒れてしまった。

 それぐらい見ればわかるのだが、一応言っておく。

 聖那は倒れてしまったが、その時廊下にいた人に支えられた。

 彼の名前は南沢篤史。元サッカー部FWだ。

 聖那が知れば奇声を発するところであるが、運がいいことに聖那はそのまま気を失ってしまっていた。

南「ったく、いきなり悲鳴あげて倒れたと思ったら気を失ったし、こいつ」

 仕方なく、保健室に運ぶことにしたのはいいものの、問題はどうやって運ぶかだ。

 普通の男子生徒であれば、近くの教室に駆け込んで教師に手伝ってもらうだろうが、残念なことに彼はサッカー部でも有名なほどのドSであった。

 したがって、迷うこともなく

南「よっこらせっと」

 聖那をお姫様抱っこした。

 彼のファンが見れば即、聖那を殺しに行く——といっても過言ではないこの状況。

 聖那が起きていないことだけが救いである。









南「失礼しまーす。先生いますかぁ?」

 返事がない。誰もいないのだ。

南「んだよ、こんな時に限って」

 こんな時と言っても、彼にとってはまったくこんな時というわけではないのだが。

 どちらかといえば、授業サボっていたらなんかかわいい女子が倒れるところを助けてこの状況になってラッキー。という感じだ。

 三年のくせに、授業サボってて大丈夫なのか? と思うところなのだが、そこはあえて聞かないでおこう。

 南沢は何気に(失礼だが)聖那が重かったので、ベッドに寝かせることにした。

南「女子ってこんなに重かったか?」

 これはあまりにも失礼な台詞である。

 しかし、そんなことは気にもせずに聖那をベッドに寝かせた。

聖「んん……」

 その時、聖那は目を覚ました。

南「あ。起きた」

聖「ふぇ?」

 聖那はまだ眠そうな目で、周りを見渡した。

聖「ここ、どこ?」

南「見りゃわかるだろ? 保健室だ」

聖「お前が、運んでくれたのか?」

南「その通り」

聖「礼を言う。ありがとう」

南「もっと感謝しろ」

 最悪だ。それしか聖那は思わなかった。

 不意に聖那は、彼の名前を聞いていないことに気付いた。

聖「それより、お前の名前は?」

南「相手より先に名乗るのが筋なんじゃねぇのか?」

聖「うっ」

 ウザい。ウザいのだが何も言い返せない。

聖「あたしは飛鷹聖那。先に言っておくけど、飛鷹征矢とは何の関係もない」

南「へぇー。俺は南沢篤史。三年」

 聖那はそれを聞いた途端に、頭の回転がストップした。

 さっきの時とは違い、今度は再稼働するのにすごく時間がかかった。

南「おーい。どうした。遠い目をしてるぞ?」

 南沢の声ではっと我に返った聖那は、ベッドから出ようとしたが

聖「うわっ!」

 勢い余って落ちてしまった。

南「バカか? お前」

 南沢の発言に、少しくらい心配してくれと思いながら

聖「なんとでも言ってください」

 とだるそうに答えた。

南「あ。敬語になってる」

聖「そりゃ、南沢先輩の方が学年上ですから」

南「さっき知ったんだろ」

聖「はいそうです」

南「ドヤ顔するな」

 聖那は南沢と話していながら、今日は本当に運が悪いと考えていた。

 剣城のこととか、天馬がサッカー馬鹿だとか、南沢が三年であるとか、その他諸々。

 しかし、彼女はそれなりにこの学校を気に入った。

 前の学校のようなことが起こる気配すらない。これこそ、聖那が求めていた場所なのだ。