二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.20 )
日時: 2011/11/06 21:34
名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)

 その時、授業終了の合図が鳴り響いた。

 結局、保険の先生は来なかった。

 それは南沢にとっては吉。聖那にとっては凶だった。

南「もう戻るか。さすがに六時間目もサボると内申に響くしな」

 南沢は保険の先生の机の引き出しをあさり始め、保健室に行っていたことを証明する紙を取り出し、記入し始めた。

 記入し終えると、もう一枚取り出してシャーペン付きで、聖那に渡した。

南「お前も記入しとけよ。じゃないと、内申に響くからな」

 キザに鼻で笑うと、南沢は保健室を出て行った。

 それをポカンとした表情で、聖那は見つめていた。

聖「内申、か」

 聖那は証明書を、太陽の光に透かしながらぽつりと呟いた。

聖「ま。私は高校に行く気はないけどね」

 カリカリとシャーペンの先を動かしながら、満足そうに笑った。





 まだ重い頭を摩りながら、聖那は教室に向かっていた。

聖「ったく、あの人のせいでいろいろ疲れたんだけど……」

 あの人というのは、紛れもなく南沢のことである。

 しかし、聖那にはもっと疲れることが待っていた。

松「おーい! 飛鷹さぁん!」

聖「……」

 聖那の心は、松風と一言でも話せばすぐに折れてしまいそうなくらいにボロボロだった。

松「どうしたの? 五時間目の授業に出ていなかったから、心配したんだよ?」

聖「……」

 聖那はひたすら、松風を無視し続けた。

松「ねえねえ、飛鷹さんってば」

聖「……」

 ついに松風に、限界が来た。

 松風は目の色を変え、聖那を壁に押さえつけた。

聖「ちょっ、何すんだよ!」

松「俺の話聞いてる……?」

 松風は黒い笑みを浮かべて、聖那に顔を近づけた。

聖「聞いてるぞ。聞いてるから離してくれ」

松「ヤダ」

 即答した松風は、右手で聖那の首を軽くなぞった。

聖「ひっ」

 しまったと思った時にはもう遅く、聖那の悲鳴を聞いた松風は楽しさを感じ、なぞるのを止めなかった。

松「へぇ。飛鷹サンって、首が弱いんだね」

聖「な、何のことだ」

松「とぼけてもダメだよ。そうだな……」

 松風は聖那をどうしようか考えながらも、首をなぞり続けた。

 聖那はくすぐったいのを我慢して、唇を噛み締めていた。

松「『あなたの話は全て聞き、絶対に無視しません』って言えば離してあげるよ。もちろん上目遣いでね」

 松風に軍配が上がった。

 聖那の負けは完全に決まり、泣きたくなるのを我慢しながら聖那は上目遣いで

聖「あ、あなたの、話は全て聞き、絶対に、無視、しません……」

松「——教室に戻ろう!」

 先程までのことはなかったかのように、松風は満面の笑みで聖那を誘った。

 その顔は、悲しいほどにさっきの黒さは抹消していた。

聖(鬼畜だ……。やれと言っといて、スルーするのはどうなんだ? いや、逆にスルーしてくれてありがたかったか……)

 この学校の男子は怖いな。

 聖那は今日の出来事を思い出しながら「はは」と悲しく笑った。

 ちょうどその時、六時間目の始まりの合図を告げられた。