二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 二十三頁 帰りたい、よ ( No.151 )
- 日時: 2012/01/22 19:56
- 名前: 蓮華 (ID: j5WpSu7v)
- 参照: 双子萌え!!!
———————— 見つけた、のに。彼は逃げた。
どうして、逃げたんですか。問うても彼は答えない。
「ごめんな、アレン。俺はまだ帰れない。」
これはきっと、俺が教団に戻るためには仕方のないことで、俺が俺である為にも必要なことで。
そう、きっとそうなんだ。そうじゃないと、俺は何の為に“彼”を突き放した。
何の為に「原罪」や「ノア」を受け入れた、何の為に!!?
名前すら知らない島で、俺はもう一週間過ごしていた。食料は適当に手に入れたし、服は方舟を使って働いて買った。
団服を全く着ないのは久しぶりで、最初は慣れなかった。時には「ノア」に意識を取られ、人を襲いそうになったこともある。
それでもコントロールしようと頑張って、一週間。それなりに「ノア」も「原罪」も抑えられるようになった。
ただ、抑えた分だけ「ノア」の殺人衝動は増していく。それは「俺」にも影響して、人を見るだけで殺したくなった。
そんな、時だったろうか。
彼等が俺の居場所を突き止めたのは。
「居た、安央衣・・・」
「・・・っ、何でココにいるんだよ・・・っ!!」
「帰りましょ・・・?安央衣、」
「リナッ・・・リ・・・。」
その、差し伸べられた手を取りたい、その優しさに、応えたい。けど、
俺の手は余りにも酷く震えていた。その手を取る事を叱咤しているのか。優しさに、怯えたのか。
気づけば脚が動いていた。気付けば彼等に追いつかれていた。
「どうして、逃げたんですか。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・教団に、戻りましょう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「君が帰ってくるのを、皆待ってます。」
「・・・はっ、嘘だろ。俺は敵だからな。」
リナリーが抱き締めたまま離さない。恐らく俺に逃げられない様にだろうが。
今俺に投げかけられる言葉を偽善としか受け取れない、受け取る他ない。
だって俺は、俺は・・・もう何もかもを裏切った“反逆者”なのだから。
神の使徒の手をとる資格なんてありやしない、言うならば“堕落者”だから。
「・・・・・・俺が、“彼”を愛していく為にはこれしか無いんだ放っておいてくれよ。」
お願いだから、これ以上俺を引き止めないで。
ふと、見えていた街角から見えた影。俺を捕らえた青い瞳と、肩下で揺れる黒い髪。
俺が困っている顔を見た瞬間、黒い黒い笑みがその綺麗な顔に広がっていく。
あぁヤバイこれは俺じゃなくてアレン達がヤバイ、逃げられるなら万々歳だけどもコレは・・・。
「・・・何やってくれてるんですか?僕の親友に・・・。」
「あ、あのな優依、俺は困ってないから、大丈夫だから。」
「ふ〜ん、怪しいですね離れなさい。」
俺が必死に宥めようとする少女は、山原優依。一人称は僕だが、俺のように男装してる訳ではない。
腹が減って行き倒れ寸前だった俺に一つのパンを差し出してくれた。天使だった。
親友となった彼女と俺には共通点があった。
「ニール、ちょっとあいつ等潰してあげなさい。(黒笑」
「アレン、リナリー、ドンマイ!!」
俺がグッドラック!!ってやったのと優依の肩から地に降りたホワホワした感じの生物の尻尾が巨大化したのはほぼ同時。
やっぱり俺にシリアスは似合わないなと実感しました、まる。
さて逃げようかな、優依は後から帰ってくるだろうし。クルリと背を向けて帰ろうとした俺の前に降り立った少女。
「・・・リナリー、其処を退いてくれませんか〜?」
「イヤ。」
「アハハ、入団して少しの時以来になるかなぁ、リナリーとのバトル。いやアレは修行みたいなもんか。」
「あの時は安央衣の圧勝だったけど、私は強くなったのよ?」
「ソレは俺にも言えることだよね、リナリー。」
万物神化、天地を全て神にする、神を創り出すこの力。
この力は完成していない、現にヘブラスカにシンクロ率はかられたとき100越えてなかったし。
地に、手を付く。ソレはあの子の———あれ?
俺、今何て言おうとした?
「イノセンス——《発動》」
「・・・、イノセンス——《発動》・・・。」
記憶を辿れる事はなく、俺はリナリーとのバトルの為にイノセンスを発動した。