二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 例えばあの日の続きがあるなら 【銀魂】 ( No.2 )
日時: 2011/07/28 19:32
名前: 一条夏樹 ◆iYEpEVPG4g (ID: AlgR.W1y)



「あ〜あぁ〜わたしぃっの恋はぁ〜!」
「南の風に乗って終わったんですよねィ」
「うっさい!そのペラペラした口2度と訊けないようにしてやろうか!」




季節は夏。ただいま絶賛失恋中である。









後悔、とか、愚鈍だとかそんな感情は持たなかった。ただ彼には彼が愛する人がいて趣向がわたしと合わなかっただけ。彼が悪いとかそういうんじゃなく、ただフラれただけ。

最初は勇気すら要ったけどそのあとは意外と単純だった。今までの関係に戻るだけ。何ひとつ変わっちゃいないのだ。
何の気なしに自宅に変える途中、癪に障る真っ赤なアイマスクをした人間が電柱脇に寝ていたものだから。この暑さでまた抜けてきてるのかと直感で思う。なんだかとても神様に罰を与えられそうな奴だ。

太陽はさんさんと照り付けている。歩道の片隅に、南の空に高く昇っていた太陽が落ちかけたおかげで大きな影ができた。地面が吸い込んだ熱はまだ辺りに漂っていた。

「こんなところで寝てると蟻にたかられて死にますよ。」
 
声を掛けてみたのはきまぐれ。知り合いに遠慮は無いと黙る彼に向かってコンビニのアイスを放り投げる。半ばストレス発散に、それも思いっきり。叩き付けたという表現の方が適しているかもしれない。
 
ぱしり、と景気のよい音がしてまるで目でも見えているかのようにアイスが手のひらへ収まった。

「おや、死ぬのはアンタの方が先じゃねェか年増。」
「わたしまだ24です!嫌味も大概にしてくださいませんか。」
 
「人間って気温30度超えると溶けて死ぬって知ってる?」

「しりませんよそんな事。死滅するのは沖田さんの脳細胞くらいじゃないですか。」

「アイス溶けてやがる。買い直し行ってこいや。」
「いいんじゃないですか。沖田さんとお揃いで。あ、それ超高級期間限定セレブアイスなんでお金返してくださいね。」


「おっと手がすべった。」


手から離れたアイスは丁度ワンピースの裾にべったりとついた。安っぽい紙の入れ物がころころと転がっている。


「・・・ちょっと、何してくれてるんですか。」
「ごめん。」


「妙に素直ですね。」
「わざと。」
「黙れやクソガキィ!」


かわいらしく花のように儚く綺麗に。飾り立てて理想を演じて微かな希望を胸に人に恋をしたのだけれど。
まあいいや、だなんて。


「ね、失恋したときって、どうすればいいのか知ってる?」

「俺に告白すれば良いと思いまさァ」


わたしには真っ黒な腹の底が見え透いてならないが、とりあえずは彼にしては純粋な夏に乗ってやろうと笑った。









 ◆、夏色の水風船