二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 51章 魂魄 ( No.101 )
日時: 2011/08/09 21:22
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

キルリアはソウルブレイクという技を喰らい、倒れこんでしまう。それほどにそのソウルブレイクという技は、威力が高いのだろう。
「いえ、違います」
レイカは地文を読んだかのように言う。
「ソウルブレイクは威力が高い技ではありません、むしろ低いほうです。ソウルブレイクは相手の魂に直接攻撃する技、相手の魂を破壊する技です。魂はほとんどのポケモンの弱点です、そこを突かれれば、大抵のポケモンは倒されますよ」
レイカは凍てつくような視線でキルリアを見つめる。
「キルリア、立てるか?」
キルリアはなんとか立ち上がるが、さっきのソウルブレイクがかなり効いているようで、たった一撃喰らっただけなのにその顔は疲弊に満ちている。
「キルリア、シグナルビーム!」
キルリアは色彩を束ねた、カラフルな光線を発射する。その標的は、勿論フローリア。
「フローリア、かわして水の波動」
フローリアはスッと体を横にずらしてシグナルビームを回避し、振袖かを振って水の波動を放つ。
「テレポート!」
キルリアはテレポートで水の波動を回避する。普通ならフローリアの背後に回りこんで炎のパンチでも喰らわせたい所だが、次ソウルブレイクを喰らえばキルリアが危ういので、ソウルブレイクが当たらないギリギリの所へとテレポートする。
「サイコキネシス!」
キルリアは念動力を破壊力を持つ念波に変え、フローリアに向けて放つ。念波はフローリアにヒットし、大ダメージとはいかずともそれなりに効いてはいるだろう。
「フローリア、鬼火」
フローリアは自分の周囲に青白い不気味な火の玉を浮かべ、キルリアに向けて放つ。
「雪女のくせに鬼火かよ!キルリア、サイコキネシス!」
イリスはツッコミを入れつつキルリアにサイコキネシスを指示し、火の玉を相殺していく。
「アイスバーン!」
フローリアはキルリアが火の玉を消し終わった頃、振袖を振って氷雪の衝撃波を放つ。
「テレポート!」
キルリアはサイコキネシスでは相殺できないと悟り、アイスバーンはテレポートで回避する。確かにフローリアは特攻が高いポケモンなので、賢明な判断と言えよう。
「シグナルビーム!」
「アイスバーン!」
キルリアのシグナルビームとフローリアのアイスバーンがぶつかり合うが、押し勝ったのはアイスバーンだった。
「くっ……」
キルリアは咄嗟に横へ跳んだものの、アイスバーンの衝撃を少し喰らってしまった。大きなダメージではないが、それでも積み重なれば致命傷だ。
「まだですよ。フローリア、水の波動!」
フローリアは振袖を振って水の波動を放つ。
「ここは一か八か……キルリア、サイコキネシス!」
キルリアは念動力で水の波動を止め、破壊する。そしてそのままフローリアもサイコキネシスで動きを止めるが
「アイスバーン」
フローリアは氷雪の衝撃波を放ち、サイコキネシスを相殺し、解放される。
「フローリア、鬼火」
フローリアは再度不気味な火の玉を放ち、キルリアを襲わせる。
「サイコキネシス!」
キルリアはその火の玉を、念動力で相殺していく。しかし結構数が多く、相殺しきるのに少々時間を喰ってしまった。
そしてそれが、命取りだ。
「フローリア、ソウルブレイク!」
フローリアはキルリアが鬼火を相殺している間に接近し、振袖より魂を破壊する魂魄を放ち、キルリアを——キルリアの魂を攻撃する。
「キルリア!」
その一撃でキルリアはその場に崩れ落ちる。あれだけ効いていたソウルブレイクを喰らったのだから、戦闘不能だろう。
「……私の、勝ちです——」
ね、と言い切る前に、フローリアは吹っ飛ばされた。
「!?」
見ればキルリアはまだ戦闘不能にはなっておらず、炎を灯した拳を振り抜いた状態で残心の姿勢を取っていた。
「……精神力、って奴ですかね」
イリスは唐突に口を開く。
「キルリアの特性はトレース。つまり相手の特性をコピーする特性。そしてそのフローリアの特性は精神力。だから——」
「ちょ、ちょっと待てくださいっ」
レイカは慌てたようにイリスの言葉を遮る。
「精神力は怯まなくなる特性です。相手の攻撃を喰らっても耐えられるなんてことはありません」
確かにそれはレイカの言う通りだ。しかしイリスは言葉を続けた。
「特性云々だけじゃなく、元の意味もあるんですよ。誰だったかが言ってた書いてたか忘れましたが『特性と言うものには裏の裏にも秘められた力がある』らしいですよ。つまりキルリアはトレースした精神力で、ソウルブレイクを耐え切ったんです」
そしてイリスは、キルリアに指示を出す。
「キルリア、サイコキネシス」
キルリアは倒れたフローリアを宙に浮かべ、地面に叩きつける。すると耐久力は低いのか、フローリアはそのまま戦闘不能になってしまった。
「……僕の勝ちですね」
イリスはレイカの言えなかった台詞を言って、バトルを締めるのだった。



翌日、イリスとNはレイカと別れ、カゴメタウンを目指す事となった。
「N、僕らに今足りないのは経験だ。それも、ダブルバトルの」
「それは分かってるけど、カゴメタウンに行けばそれが克服できるの?」
「たぶん。保証はないけど、あの人達ならダブルバトルも得意なはずだ」
「保障ないんだ……」
Nは肩を落とすが、今のところはイリスに頼るしかないので、イリスの言葉を信じる事にした。
「それじゃあ早く行こうか。もしかしたら、カゴメタウンから出てるかもしれないからね」
そう言ってイリスはなだらかな丘を走り出す。



今回はイリスとレイカのバトル、決着です。そして終わりが微妙です、いつもの事ですが。それと精神力でソウルブレイクを耐え切った、みたいな表現がありますが、そこは根性で耐え切った、と解釈してもらっても構いませんので。では、次回は再びカゴメタウン。お楽しみに。