二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 52章 一人勝ち ( No.102 )
- 日時: 2011/08/10 08:59
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「ええと……どういうつもりかな、二人とも……?」
場所はカゴメタウン、PDOのトップ3が潜伏している家屋。
その客室にて、イリスとNは頭を下げていた。それも土下座。
「それはさっきも申し上げたように、ダブルバトルの特訓に付き合って貰いたいからであります」
「いや申し上げてないし。というか何故に軍人口調になってるのさ……」
PDOヒウン支部統括補佐、キリハは困ったように頭を掻き、後のソファに座っているPDOヒウン支部統括を勤めるリオに目線を移す。
「どうする、リオ。僕らはもうすぐこの町から撤収するけど——」
「いいんじゃない、別に」
あっさり承諾。その間、実に0,6秒。
「それにしても、お前らも暇だな」
ソファの後にある椅子に座っているPDOセッカ支部統括、ザキは心底どうでもよさ気に言う。
「……潜伏中にも関わらず妹に一日百通の手紙を送ってたのはどこの誰だか。君の手紙と郵便代のせいで限りある潜伏資金の三分の一を浪費したんだよ」
「返事が来たらやめるつもいだったさ」
「ミキちゃんはきっと、返事を出したら逆に送られてくる量が増えると思ったんだろうね」
「それで、結局の所どうなんですか?」
イリスはキリハとザキのコントを遮って、承諾するか否かを問う。
「……まあ、別にいいか。僕はこれからリーダーに連絡しなきゃいけないから、ザキとリオ、二人の相手を——」
「それじゃあキリハ、リオ、こいつらの相手は頼んだ。俺はそんな面倒な事はまっぴらごめんだからな」
そう言ってザキはどこかへ行ってしまった。
「…………」
あれから一年。いろんな人やポケモンは変わった。
しかし、キリハが苦労人だという事は全く変わっていなかった。
「それじゃあ始めようか。使用ポケモンは一人一体の、マルチバトルだ」
場所は変わってカゴメタウン西にあるバトルフィールド。以前、イリスはここでデンジと闘った事がある。
「了解です。出て来い、モココ!」
イリスが繰り出すのは、電気タイプのモココだ。
「行け、カクレオン!」
Nのポケモンは、久しぶりの登場となった色変化ポケモン、カクレオンだ。
「それじゃあ僕はこのポケモンだ。ギャロップ!」
キリハが繰り出したのは、炎の鬣を持つ馬のようなポケモン、火の馬ポケモンのギャロップだ。
「私はこのポケモンで行くよ。アロフィー!」
リオが繰り出すのは、某観葉植物のようなポケモン、アロフィー。
「先攻は貰うよ。ギャロップ、火炎車!」
ギャロップは燃え盛る火炎を身に纏い、物凄いスピードでモココに突撃してくる。
「モココ、コットンガード!」
モココは自信を綿で包み込み、その攻撃による衝撃を吸収する。そして
「カクレオン、ピヨピヨパンチ!」
カクレオンは拳を握り、目を回すような一撃をギャロップに見舞う。
「アロフィー、大成長!」
そこでアロフィーはカクレオンを根っこで縛りつけ、栄養分を吸って自分の力に変える。大成長は普通の成長とは違い、攻撃と同時に特攻を上げることが出来る技だ。
「今だギャロップ、大文字!」
ギャロップは大の字の巨大な炎を放ち、カクレオンに向けて放つ。
「ヤバイ……モココ、アクアボルト!」
モココは電気を帯びた水を発射する。しかしギャロップにではなく、カクレオンにだ。
アクアボルトを受けたカクレオンは、さらに大文字も喰らって大ダメージかと思いきや、あまりダメージを受けていない。
「成程……カクレオンの特性、変色を利用して大文字の威力を弱めたのか」
変色とは、カクレオンだけが持つ特性で、技を受けた後、自分のタイプをその技のタイプに塗り替える特性だ。カクレオンはさきほどアロフィーの大成長を受けて草タイプに変色、そしてその状態で大文字を喰らえば、大ダメージは免れない。
しかしそこでモココは水タイプのアクアボルトをあえてカクレオンに放ち、タイプを水タイプに塗り替える。そうすれば大文字の威力を軽減できるので、最終的に受けるダメージが減るというわけだ。
「なら、メガホーン!」
ギャロップは角を構え、モココに向かって突撃する。先にモココを倒すつもりなのだろう。
「宿木の種!」
アロフィーも宿木の種を飛ばしてくる。やはりモココ狙いだ。
「モココ、コットンガード!」
「カクレオン、冷凍ビーム!」
ひとまずモココは綿に包まって防御し、カクレオンはアロフィーに向かって凍てつく光線を放つ。しかしその光線は、ギャロップが遮ってしまう。
「大成長!」
アロフィーは綿に包まったモココを綿ごと根っこで縛り付ける。ダメージはあまりないようだが、養分は吸えるようだ。
「ギャロップ、突進!」
「アロフィー、甘い香り!」
ギャロップはモココに勢いよく突進し、コットンガードを吹き飛ばす。そしてその後すぐにアロフィーが甘い香りを放ち、ポケモンの動きを封じる。
そこまでは良かったのだが
「アロフィー、波乗り!」
アロフィーは大成長で威力の上がっている大波を放ち、飲み込む。
モココとカクレオン、そしてギャロップを。
『…………』
イリス、N、キリハは思いもよらない攻撃と結果に、沈黙。
「あ……」
気付いたリオは周りを見回す。見えるのは、倒れているモココ、カクレオン……そしてギャロップ。
イリス&Nvsキリハ&リオのバトルは、リオの一人勝ちである。
その後。
ザキが帰ってきて、バトルの結果を聞いてくる。
「バトル終わったのか。で、どっちが勝った?」
「リオさんですね」
「リオさんだね」
「リオの一人勝ちだね」
「ああ? キリハはどうしたんだよ?」
キリハは心の底で、聞かないで欲しいと嘆いていた。
今回はイリスとNのダブルバトルの特訓で、お相手はPDOヒウン支部コンビ、キリハとリオです。最初はいい勝負をしてましたが、最後はまさかの結果に。ちなみにキリハの手持ちは全て馬関係です。ペガーン、ギャロップ、そしてあと一体は……お分かりでしょうか。では、次回は遂にあの娘が登場です。お楽しみに。