二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 56章 イリスvsミキ 肆 ( No.110 )
- 日時: 2011/08/11 20:02
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「ハンタマ、氷柱パンチ!」
ハンタマは氷柱のように冷たく鋭い拳で、フローゼルに拳を突き刺すように叩き込む。
「フローゼル、氷の牙!」
フローゼルは氷柱パンチをなんとか耐え切り、氷結させた牙を伸ばしてハンタマに突き刺そうとするが、ハンタマは武道家のような俊敏な動きでかわしてしまう。
「もう一度氷柱パンチ!」
氷の牙が外れて隙が出来たフローゼルに、ハンタマは再度氷柱のような拳を叩き込む。効果いまひとつとはいえ、何度も喰らっているためダメージがかなり蓄積している。
「くっ、ツヴァイテールだ!」
フローゼルは体を捻って硬化させた二又の尾をハンタマに叩きつけようとするが
「ハンタマ、かわしてシャドーパンチ!」
ハンタマはバックステップでツヴァイテールを回避し、すぐさま拳に影を纏わせ、ロケットパンチのように撃ち出す。
「やっぱり、遠距離からの攻撃は厄介だな……!」
とは言っても、フローゼルには遠距離攻撃の手段がないので、反撃する事もできない。しようにも迂闊に近づけばハンタマの返り討ちに遭うので、積極的に動けないのだ。
「そろそろ決めるよハンタマ。回し蹴り!」
ハンタマはフローゼルとの距離を一気に詰め、強烈な回し蹴りをフローゼルの脇腹に炸裂させ、吹っ飛ばす。
「これで止め、シャドーパンチ!」
そしてハンタマは吹っ飛ばされているフローゼルに向かって、影の拳をロケットパンチの如く撃ち出す。ダメージが蓄積しているフローゼルだ、このシャドーパンチがまともに入れば、戦闘不能になってしまうだろう。
「フローゼル!」
今まさに影の拳がフローゼルに当たる、その時
フローゼルは素早く腕を振り、ヒレから黒い衝撃波を放ってシャドーパンチを切り裂いた。
衝撃波はそのままハンタマにも向かっていき、突然の事態に反応できなかったハンタマはその衝撃波に切り裂かれる。
「なんだ、今の技……」
イリスは図鑑を開き、技の詳細を調べる。
≪テラーソニック・悪タイプ
切断作用を持つ黒い衝撃波を放つ技。喰らった相手は恐怖心を煽られ、動きが鈍る≫
「テラーソニック……これなら、ハンタマに対抗できる!」
図鑑を見る限りテラーソニックは悪タイプの技で、しかも遠距離攻撃。ならばハンタマに有効な上、近づかずに攻撃もできる。
「フローゼル、テラーソニック!」
フローゼルは腕を振り、ヒレから黒い衝撃波を放つ。
「ハンタマ、かわして!」
ハンタマは急いでかわそうとするが、足がもつれてその場に倒れてしまい、衝撃波に切り裂かれる。
「テラーソニックは相手の恐怖心を煽って動きを鈍らせる技。即ち相手の素早さを下げる技。フローゼル、テラーソニック!」
フローゼルは一息でハンタマの目の前にまで接近し、ヒレに纏わせた黒いエネルギーを直接ハンタマにぶつけ、切り裂く。
耐久力が低く、効果抜群の技を三連続で喰らっているハンタマだ。いくら根性があったところで、流石にもう戦闘不能になるだろう。
しかし、バトルは最後まで分からないものだ。
「ハンタマ、カウンター!」
ハンタマはテラーソニックで受けたダメージの二倍分の威力を持つ拳を握り締め、フローゼルの腹に叩きつける。
「フローゼル!」
フローゼルはあえなく吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられ、地面へと落ちる。そして、戦闘不能となった。
「戻ってくれ、フローゼル。君はよくやってくれたよ」
イリスはフローゼルをボールに戻す。確かにフローゼルは、ハンタマを満身創痍にまで追い詰めたので、十分に役目を果たしたと言えよう。
「さあ、最後はこのポケモンだ。頼むぞ、リーティン!」
イリスの最後のポケモンは、エースであるリーティンだ。最近出番がなかったようなので、ここで活躍してもらうのだ。
「リーティン、燕返し!」
リーティンはハンタマに急接近して懐に潜り込み、葉っぱを振るい切り裂く。
「ハンタマ、まだだよ!氷柱パンチ!」
「かわしてグラスミキサー!」
ハンタマは燕返しをなんとか耐え切り、氷柱のような拳を突き出すが、リーティンは跳躍してそれを回避。そして葉っぱを高速で回転させて木の葉の渦を作り出し、ハンタマをその渦に巻き込む。
「ハンタマ!」
渦から解放されたハンタマは目を回し、戦闘不能になっていた。フローゼルとの戦いで相当体力と気力を消費してただろうから、当然と言えば当然である。
「ありがとうハンタマ、戻って」
ミキはハンタマをボールに戻し、最後のポケモンが入ったボールを取り出す。
「私の最後はこのポケモンです。頼んだよ、ゴルドー!」
ミキの最後のポケモンは、炎鳥ポケモンのゴルドー。分類通り、炎の翼と尾を持つ美しくも雄々しいポケモンだ。
「炎・飛行タイプか……」
イリスは苦い顔をする。それもそうだろう、炎タイプも飛行タイプも草タイプであるリーティンが苦手とするタイプ。リープンの時なら水技のモイスカットがあったため幾分楽だったろうが、進化した今はもうその技を忘れている。なので、苦戦を強いられる事となるだろう。
「師匠、これで最後です。覚悟は出来てますか?」
ミキはキリッとした顔で、イリスに訊ねてくる。
「……当然!」
そしてイリスは、覚悟を決める。
イリス対ミキ、師弟対決も、もうすぐ終結である。
今回はイリスとミキの師弟対決、その四です。タイトルにある「肆」は昔の字体、というより、金銭証書などで間違いを防ぐためになんとかかんとか。興味のある人は調べてみてください。今回はフローゼルが新しい技、テラーソニックを覚えましたが、ハンタマに負けてしまいました。まさかのどんでん返しこそが、ポケモンの真髄なのです。では、今回のあとがきはこの辺にして、次回はイリス対ミキの師弟対決、決着です。お楽しみに。