二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 58章 イリスvsミキ 陸 ( No.114 )
- 日時: 2011/08/12 14:05
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「ゴルドー、エアカッター!」
「リーティン、かまいたちで相殺だ!」
ゴルドーは翼を羽ばたかせて空気の刃を飛ばし、リーティンは空気の渦より真空の刃を飛ばす。
互いの刃はぶつかり合い、相殺し合う。
「マジカルリーフだ!」
リーティンはさらに念力でコーティングされた葉っぱを無数に飛ばし、ゴルドーを切り裂く。
「ゴルドー、龍の息吹!」
だがタイプ相性でマジカルリーフは威力が四分の一になってしまうので大したダメージは与えられず、ゴルドーは龍の力を含んだ息吹を放つ。
「かわしてかまいたち!」
リーティンは横に跳んで龍の息吹を回避し、周囲に空気の渦を作り出し、葉っぱを振って渦より真空の刃を無数に飛ばす。
「ゴルドー、エアカッターで相殺して!」
ゴルドーも翼を羽ばたかせて空気の刃を無数に飛ばし、かまいたちを相殺する。
「フレアバースト!」
そしてゴルドーは激しく燃え盛る翼を羽ばたかせ、銃弾のような炎を放つ。
「リーティン、かわせ!」
フレアバーストは見た目に反して威力がかなり高い技。ダメージが蓄積している今のリーティンがそれを喰らえば、戦闘不能は免れない。
「ここは思い切って突っ込むか……燕返し!」
リーティンは大きく跳躍して上空にいるゴルドーに急接近し、葉っぱを振って切り裂く。
「ゴルドー、こっちも燕返し!」
しかしそれと同時にゴルドーも炎の翼を使い、燕返しを繰り出してリーティンの葉っぱと切り結ぶ。
しばし二体は競り合ったが、空中ではゴルドーの有利なもので、リーティンは押し負け、地面へと落ちる。
「今が好機、ゴルドー、フレアバースト!」
ゴルドーは激しく燃え盛る翼を羽ばたかせ、炎の銃弾を放つ。銃弾は地面に倒れたリーティンに向かって、まっすぐ飛んでいく。
「リーティン、回避だ!」
起き上がって避けようとすればフレアバーストの餌食になるので、リーティンは地面に寝ている状態のまま、転がって炎の銃弾をかわし、起き上がる。
「かまいたち!」
そして空気の渦を作り出し、そこから真空のヤバを無数に飛ばしてゴルドーを切り刻む。
(攻撃は当てられても、決定打にはならない。このままじゃジリ貧か……)
イリスの作戦は、ゴルドーが隙を見せた瞬間に深緑で威力が高まったグラスミキサーをぶつけるというものだが、これがなかなか上手くいかない。まずもってゴルドーは隙を見せないのだ。
「ゴルドー、龍の息吹!」
ゴルドーは上空より龍の力を込めた息吹を放ち、リーティンを攻撃。
「リーティン、葉っぱで防御だ!」
リーティンは葉っぱを盾のように使い、龍の息吹を防御。
しかし、それは失敗だった。
「これで終わりです師匠。ゴルドー、フレアバースト!」
ゴルドーは激しく燃え盛る翼より、炎の銃弾を放つ。リーティンは葉っぱを盾にしていて、銃弾が見えない。フレアバーストは相当な威力の技なので、リーティンの葉っぱの盾なんて、簡単に焼き払ってしまうだろう。
リーティン、まさに絶体絶命の危機。
(こうなれば、一か八か……!)
イリスは決心し、リーティンに技の指示を出す。
「リーティン、グラスミキサー!」
リーティンは葉っぱを高速で回転させ、木の葉の渦を作り出す。木の葉の渦は襲い来る炎の銃弾を飲み込み、上空にいるゴルドーをも巻き込む。渦に捕らわれたゴルドーは地面に叩きつけられる。
「ゴルドー!」
深緑のグラスミキサーを喰らったゴルドーは、目を回していた。戦闘不能だ。
ちなみに、あのタイミングでグラスミキサーをを使わせたのは、それなりに算段があったためである。イリスはゴルドーが攻撃する瞬間にこそ隙を見せると考えていたが、隙は見せてもこちらが攻撃に移れないように技を繰り出していたため、いまいち決心がつかなかったのだ。
それが最後の最後で大当たり、これは、イリスの運が良かったと言うべきだろう。
「…………」
ミキはゴルドーをボールに戻すと、顔を伏せる。ピンク色の前髪に隠れ、目が見えない。
「ミキちゃん……?」
イリスもリーティンをボールに戻し、問いかけるように呼びかける。
「……師匠は、自分勝手です」
顔を伏せたまま、ミキは呟く。
「私達の気も知らずに何も言わず勝手に旅に出て、私達を置いて一人だけ勝手に強くなって……師匠は自分勝手です」
「ミキちゃん……」
ミキの体は、小さく震えていた。
「戻ってほしいと願っても戻ってきてくれない……一緒にいたいと祈っても一緒にいてくれない……師匠の背中について行こうと必死だったのに……なんで——」
ミキはそこで、顔を上げる。
「なんで私を連れて行ってくれなかったんですかぁ……」
ミキは、泣いていた。
「……ごめん」
イリスはそう言いつつ、ミキに歩み寄る。
「確かに僕は自分勝手で傲慢だ。新しく旅立ってからいろんな人に助けられた。それでも僕は強くなろうと奮起して……皆の事を考える余裕がなかった。みんなの気持ちを理解できなかった。でも、皆の事が分からないで、皆の気持ちが理解できないで、強くなれるはずなかった。皆がいないと強くなれない、皆がいてこそ、強くなれる」
イリスはミキの涙を拭う。そして
「また、一緒に旅しようか。僕には、君が必要だ」
静かな炎のように優しく、温かい声で——言葉でイリスは言う。
「……はい」
ミキは頬を紅潮させつつ、俯きつつ言葉を返す。
闘いを経て、英雄とその弟子の絆は、より一層強固なものとなった。
今回は師弟対決決着で、イリスとミキが和解しましたが……自分で書いてて、物凄くハズイです。やっぱり僕は熱血できる少年漫画のようなバトル小説を書くべきですね。読者が燃える物語を書くべきですね。では、修羅場も終えた次回がどうなるかは……全然考えてませんでした。まあ、その辺はなんとかなるでしょう。では、次回もお楽しみに。