二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 62章 イリスvsサザンカ ( No.124 )
- 日時: 2011/08/13 09:56
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
レイとのバトルで時間を喰ってしまったイリスとミキは、13番道路で野宿する事となった。
しかしイリスはなかなか寝付けず、夜の散歩と称してその辺を歩いていた。すると
「……なんだこの光景は……」
森の一角にはゴーストタイプのポケモンがうようよしていた。彷徨っている、漂っていると言った方が正確かもしれない。
「風船ポケモンのフワンテ、人形ポケモンのカゲボウズ、かぼちゃポケモンのパンプリー……空恐ろしい光景だな」
イリスは恐怖心どころか半ば呆れた感じでその光景を眺める。
「蝋燭ポケモンのキャンベルに、縫いぐるみポケモンのジュペッタ。さらには手招きポケモンのサマヨールね……異彩を放つポケモンもいるな」
イリスはゴーストポケモン好きの過去から、この状況に物怖じする事はない。まあ、今ではそこまで好きではないが。
「ん……人……?」
イリスはゴーストタイプが集まる中心付近に、一人の男を見つけた。自分が言える事ではないが、こんな夜中にこんな所で何をしているのだろうと思った。
「素晴らしい!まさかイッシュに、こんなにもゴーストポケモンが集まる場所があったなんて!」
……男はなんだか、やけにハイテンションだった。
男は濃い青色のタンクトップシャツに灰色のズボンを履いていて、紫色の髪は一つに縛っている。
「……おや? 君もこのゴーストポケモン達に惹かれてやって来たのかい?」
男はイリスに気付いたらしく、テンションが高いまま歩み寄ってくる。
「いえ、僕はただなかなか寝付けず適当に歩いていたらここに来てしまっただけです」
イリスはありのままの事を言うが、男は全く聞いちゃいなかった。
「君もこの光景を見れば、ゴーストポケモンの素晴らしさが分かるはずだ。ほら、よく見てみるんだ」
イリスは男に促され、ゴーストポケモンがうようよしている方を見る。
やはり何度見ても、空恐ろしい光景に見える。
「……やっぱり、何の魅力も感じないですね」
イリスはつい本音を漏らしてしまい、男は敏感にそれをキャッチした。
「それは頂けないな。ならばこのゴーストマスター、サザンカが君にゴーストポケモンの素晴らしさを教えてあげよう」
「……え?」
と、そんなこんなで、イリスとゴーストマスターことサザンカのバトルが始まった。
「では始めるとしよう。使用ポケモンは三体でシングルバトル、入れ替えは自由だ」
サザンカはルールを簡単に説明し終えると、ボールを構える。
「行くよ、僕の一番手はこのポケモンだ。恨みよ呪いよ、ワラコゾウ!」
サザンカの一番手は、黒い藁人形の腕に赤い目がついたようなポケモン、ワラコゾウ。
「ゴーストマスターって言うだけあって、やっぱりスタンダードなゴーストタイプで来るのか。なら、出て来いフローゼル!」
イリスが繰り出すのは、ミキのハンタマとのバトルで悪タイプ技を習得したフローゼルだ。
「行くぞフローゼル、アクアジェット!」
フローゼルは激しい水流を身に纏い、超高速でワラコゾウに突っ込む。
「ワラコゾウ、毒々だ!」
ワラコゾウはアクアジェットを喰らった後、すぐに毒液を飛ばし、フローゼルを毒状態にする。
「さらに、黒い眼差し!」
ワラコゾウはフローゼルを黒い邪眼で見つめ、逃げられなくする。
「毒状態にしてからの黒い眼差しか。これは持久戦狙いか……フローゼル、一気に決めるぞ。テラーソニック!」
フローゼルは素早く腕を振り、ヒレから黒い衝撃波を飛ばし、ワラコゾウを攻撃。効果抜群なので、かなりのダメージだ。
「やるね。ワラコゾウ、怪しい風!」
ワラコゾウは妖気を含んだ怪しげな風を発生させ、フローゼルを攻撃。しかし、その威力は大した事はなかった。やはり耐久型だろうか。
「フローゼル、氷の牙!」
フローゼルは氷結した牙を伸ばし、ワラコゾウに突き刺す。すると運悪く、ワラコゾウの体は凍りついていき、最終的には氷結してしまった。
「よし、これで決める。ツヴァイテール!」
フローゼルは二又の尾を硬化させ、氷状態となったワラコゾウにその尾を叩きつけようとするが
「ワラコゾウ、大爆発!」
ワラコゾウの体は内から光り、次の瞬間には、爆発した。
ワラコゾウを覆っていた氷は砕け、溶け、散り、フローゼルは爆発に巻き込まれて吹っ飛ばされる。
「フローゼル!」
フローゼルは咄嗟にバックステップをしたお陰で直撃は免れ、まだ戦闘不能にはなっていない。
そして自ら大爆発したワラコゾウは、当然ながら戦闘不能。
「戻れ、ワラコゾウ」
サザンカはワラコゾウをボールに戻し、次なるボールを構える。
「次はこのポケモンだ。妖怪よ妖魔よ、ユカリア!」
サザンカの二番手は、耳が垂れている感じのピンク色の顔に、灰色の体。足はなく、可愛らしい幽霊というよりお化けといった感じのポケモン。妖怪ポケモンのユカリア。
「……戻れ、フローゼル」
イリスはひとまずフローゼルをボールに戻す。ワラコゾウを倒した事によって黒いまなざしの効果は切れ、毒々と大爆発を喰らい、結構負傷しているからだ。
「次はお前だ。頼むぞ、リーティン!」
イリスの二番手は草タイプのリーティンだ。
「……今のところは、順調かな……」
サザンカの呟きは夜の風に掻き消され、イリスには届かなかった。
今回はゴーストマスターことサザンカの登場です。サザンカは非公式のポケモン、ベガの舞台であるトーホク地方のジムリーダーです。さてさて、サザンカは今のところ強いポケモンどころか進化系のポケモンすら出していませんが、これはサザンカの策略で……これ以上はネタバレになるので言いませんが。では、次回もお楽しみに。