二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 63章 小細工 ( No.125 )
- 日時: 2011/08/13 10:47
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「リーティン、燕返しだ!」
リーティンはユカリアに急接近し、葉っぱを振って切り裂く。
効果は普通だが急所に当たったのか、ユカリアは痛そうに呻いている。
「ユカリア、鬼火!」
ユカリアは青白く燃える不気味な火の玉を出現させ、リーティンに向かわせる。
リーティンはその火の玉をかわそうとするが、火の玉はリーティンの行動をを先読みしたように動き、リーティンに火傷を負わせた。
「まだだよ。黒い眼差し!」
ユカリアは先発のワラコゾウのように黒い邪眼でリーティンを睨みつけ、逃げられなくする。
「毒々の次は鬼火かよ……」
「それだけじゃないよ。ユカリア、呪い!」
突如ユカリアの体に釘が突き刺さり、ユカリアの体力を削る。そしてその次の瞬間、リーティンの体にも釘が突き刺さった。
「鬼火と呪い……随分と陰湿な攻撃ですね……」
どうやらサザンカの作戦は、黒いまなざしで逃げられなくし、毒々、鬼火、呪いなんかの相手の体力をじわじわと奪っていく技で削る事のようだ。
「それなら速攻で決めるのみ!リーティン、マジカルリーフ!」
リーティンは念力でコーティングされ、相手を追尾する葉っぱを飛ばし、ユカリアを切り裂く。
「グラスミキサー!」
さらに葉っぱを高速で回転させて木の葉の渦を作り出し、それにユカリアを巻き込んで地面に叩きつける。
呪いで体力を削った事もあり、ユカリアは出て来て早々瀕死寸前だ。
「このまま攻め落とすぞ、燕返し!」
リーティンは呻いているユカリアに急接近し、葉っぱを振って切り裂く。
「止めだ、グラスミキサー!」
リーティンはその場で跳躍してユカリアの上を取り、葉っぱを高速で回転させて木の葉の渦を作り出す。そしてその木の葉の渦にユカリアを巻き込み、地面に叩きつける——
「ユカリア、怨恨!」
——直前でユカリアは恨みつらみのこもった魂をリーティンにぶつけ、そのまま戦闘不能となる。
「戻れユカリア、良くやった」
サザンカはユカリアをボールに戻す。そして最後のポケモンが入ったボールを構える。
「さてイリス君、君は僕の今までのポケモンと戦って、どう感じた?」
サザンカはポケモンを出さず、イリスに問いかけてくる。
「……正直な事を言わせてもらえば、弱いです。ワラコゾウもユカリアも、鍛えられてはいるけどそこまでじゃない、まるで捨て駒のようだった」
イリスは正直な感想を言う。
「半分正解かな。確かにワラコゾウもユカリアも、最後の一体と比べれば雑魚も同然。でもねイリス君、彼らには彼らにしかできないことがある。要は役割分担って奴だ」
最後に「論より証拠だ」とサザンカは言って、ポケモンを繰り出す。
「さあ、これが僕の最後のポケモンだ。人魂よ霊魂よ、ジバクン!」
サザンカの最後のポケモンは、奇妙なポケモンだった。
まず手がなく、体は赤紫色で目は赤色、顔のような部分の鼻に相等する所は黄色で、そこから下は紫色。頭からは触角のようなものが後に伸びていて、紫色をしている。
人魂ポケモン、ジバクン。ノーマル・ゴーストタイプを持つポケモンだ。
「これまた、おかしな奴が出てきたものだ」
確かにおかしなポケモンではあるかもしれない。
「とりあえずは先手必勝!燕返し!」
リーティンは一気にジバクンとの距離を詰め、葉っぱを振ってジバクンを切り裂く。
しかしリーティンの振った葉っぱは、ジバクンの体を通り抜けてしまった。
「え……?」
その予想外の光景に、イリスは唖然としてしまう。
しかしすぐに気を取り直し、リーティンに指示を出す。
「リーティン、一旦離れてマジカルリーフだ!」
リーティンは大きく後に跳んでジバクンとの距離を取り、念力でコーティングされて追尾する発破を飛ばす。
しかしこれも、ジバクンの体を通り抜けてしまう。
「無駄だよ。そのリーティンが悪タイプの技を覚えていない限り、このジバクンを倒す事はできない」
サザンカは勝ち誇ったように言う。
「このジバクンの特性は不思議な守り。この特性は効果抜群となるタイプの技以外の攻撃を無効化する特性だ。そしてジバクンはタイプ上、悪タイプしか弱点がない。つまり、悪タイプの技で攻撃しなければ、このジバクンを倒す事はおろか、ダメージを与える事すらできない」
サザンカのその言葉を聞き、イリスは絶望する。
(悪タイプの技しか受け付けない……それって、フローゼルのテラーソニックでしか倒せないって事じゃないか……!)
しかもそのフローゼルはワラコゾウとのバトルで消耗しているうえ、毒状態で体力も削られている。ジバクンがどんな技を覚えているかは知らないが、たぶん攻撃を二、三発喰らえばやられるだろう。
そしてこの時、イリスはサザンカの策略に嵌った事に気付く。
サザンカはまず、悪タイプの技を覚えているフローゼルを毒状態にして体力を削り、大爆発でダメージを与えて後退させた。もうこの時点でイリスは詰まれたようなものだ。
フローゼルの体力は削られ、他のポケモンではジバクンには太刀打ちできない。
「これこそがゴーストタイプさ。根暗に恨み、陰湿に呪い、性悪に祟る。この惑いの小細工こそが、ゴーストタイプの真髄さ!」
今回はサザンカの切り札、ジバクンが出てきました。特性はヌケニンと同じ不思議な守りですが、こちらは弱点一つで体力も一ではないという鬼畜なポケモンです。次回、イリスは強敵ジバクンをどう攻略するのか……お楽しみに。