二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 72章 画家 ( No.149 )
日時: 2011/08/14 22:37
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

Pベース最上階、即ち九階。
自発的にデインと分かれたムントは、そこにいた。
最上階だからボスがいる、なんてありきたりな事はないが、それでもとりあえずムントは上へ上へと上っていった。
だがしかし、幸か不幸か、ムントは最上階に上るまで、見回りの下っ端を数名倒しただけである。
つまり、暇なのだ。
だがそんな時に都合良く兵は現れるのが、世の定め。というか、お決まりなのだ。
『…………』
ムントは曲がり角で幹部クラスと思われる男と、ばったりと出くわした。
男は二十歳くらいの年齢で、ウェーブした赤い髪に緑色の瞳を持つ青年だ。
「お前が、報告にあった侵入者か」
先に口を開いたのは、男の方だった。
「だったらなんだ」
ムントも言葉を返す。
「ガイア様は見つけ次第始末せよ、つってたけど、正直無駄に戦いたくはねえ」
つまり男は、ムントに見逃してやる、と間接的に言っているのだ。
だがこの場合、相手とタイミングが悪かった。相手はムントで、しかも暇を持て余している状態。そして男は見た感じ強者。これはもう、戦うしかないだろう。
「なんだ、負けるのが怖いのか?」
ムントは挑発するように——というかまんま挑発する。
「っ!……んなわけねえだろ。人が見逃してやろうと言うのに、身の程知らずな奴だな」
言って男は、ボールを構える。やる気のようだ。
「オレはザクラだ。お前は」
男——ザクラは名乗り、ムントにも促す。しかし
「名乗る必要などない。プラズマ団などに名前を記憶されるなど、不愉快だ」
ムントはばっさりと切り捨てる。
「……そうかよ。出て来い、アーボスク!」
ザクラの先発は、コブラポケモンのアーボスクだ。
「行け、オノノクス!」
対するムントのポケモンは、顎斧のオノノクス。
ムントとザクラの戦いが、今始まった。



「ララミンゴ、ドリルライナー!」
「ユニサス、メガホーン!」
ララミンゴは自身が高速回転し、ユニサスに向かって突撃。それに対しユニサスも角を突き出しで立ち向かう。
互いにいしばし競り合った後、ユニサスがララミンゴを押し飛ばす。
ちなみにユニサスの前に戦っていたペガーンは、火傷でかなり体力を削られた後、ブレイブバードで止めを刺された。
「ユニサス、ダイヤブラスト!」
「ララミンゴ、かわして熱湯!」
ララミンゴはユニサスが放つ宝石のように白く輝く光線をかわし、熱く煮えたぎる熱湯を放つ。
だがその対象はユニサスではない。
キリハだった。
「熱っ……!」
キリハは百度前後の熱湯を浴びて、その場に蹲る。
「あら、ごめんなさい。でもそんな風に蹲ってたら、ポケモンが危ないわよ?」
キリハが目を開けると、丁度ユニサスがララミンゴのドリルライナーを喰らっている所だった。効果抜群なので、相等効いているだろう。
「止めよ、ララミンゴ。ブレイブバード!」
ララミンゴは燃える炎のようなエネルギーを身に纏い、物凄い勢いでユニサスに突撃し、吹き飛ばす。
「ユニサス!」
見ればユニサスは戦闘不能になっていた。
「…………」
キリハはユニサスをボールに戻し、次のボールを手に取るが、渋い表情をしていた。
「……あんまりこいつは使いたくないんだけどな……背に腹は代えられないか」
最後に「しょうがない」と呟いて、キリハはポケモンを繰り出す。
「描け、ドーブル!」
キリハの三番手は、尻尾が筆のようになっているポケモン。ドーブルだ。
「ドーブル、キノコ胞子」
ドーブルは虚空に高速でキノコを描く。すると虚空に描かれたキノコから胞子が飛び散り、ララミンゴへと向かって行く。
「!? ララミンゴ、避けなさい!」
ララミンゴは胞子から逃れようとするも、逃げ切れずに胞子を吸い、眠りについてしまう。
「ロックオン」
そしてドーブルは今度はカーソルのようなものを描き、眠っているララミンゴに標準を合わせる。
「止めだ。絶対零度」
ドーブルは最後に氷のようなものを描く。するとララミンゴの体は摂氏-273度の氷に覆われる。
絶対零度は一撃必殺の技。つまり、ララミンゴは戦闘不能である。



「フォレスー」
フレイは再び、地下植物園を訪れていた。
「なんだよ。俺は今から英雄を呼びに行くんだ。邪魔すんな」
「そう言うと思ってー、英雄さんはもう呼んであるよー。あと五分足らずで来ると思うー」
フレイの言葉に、フォレスは眉根を寄せる。
「いつも言っているが、余計な事をするな。俺の完璧な作戦が崩れたらどうする」
「でもさフォレス、あたしがフォレスの作戦に介入して、作戦が失敗した事ってあるー?」
「それは……」
なかった。それどころかむしろ、フレイの介入により、フォレスの作戦は順調に進む事がしばしばあった。
「フォレスは肝心なとこで詰めが甘いからねー。そんなんじゃ一生レイは落ちないよー?」
「そ、それはてめえには関係ねえだろ!チビガキは黙ってろ!」
「あたしの正確身長しらないくせにチビガキなんて、笑っちゃうねー」
「そりゃ終止寝転がってる奴の正確な身長なんざ分かるわけねえだろ!」
フォレスはヒートアップしている。
「……まあいい。もうお前は戻れ。ここにいたら、下手すれば罠に掛かるぞ。場所柄、爆発系のトラップはないが、地面這ってたらトラバサミとかに掛かるぞ」
「そこんとこは大丈夫ー。運でなんとかするからさー」
「限りなく不確かな自信だな……」
そう言ってフォレスはボールからコクジャクを出す。
「コクジャク、この生意気で危険なガキを適当な所に運んでこい」
言われてコクジャクはフレイが着ている浴衣の襟の部分を足で掴み、持ち上げる。
「送ってくれるんだー。フォレス優しいー」
「もうそれでいいからちょっと黙れ。コクジャク、早く行ってくれ」
そしてコクジャクはフレイを連れ、植物園から出て行く。
フレイが危なっかしくて心配というのもあったが、フォレスとしては早く出て行ってほしいという気持ちの方が強かった。
「さて、これで準備万端。あとは英雄が来るのを待つだけか」
フォレスは何が嬉しいのか、顔が綻んでいる。
「さあ、このトラップマスターフォレス様が、罠に嵌めてやるよ、英雄」



今回はリラさんのオリキャラ、ザクラが登場です。リラさん、キャラ崩壊などの不備があればお申し付けください。ちなみに今回キリハのドーブルが使用した戦術は、昔僕の友達が考えたものです。まあ、実現はしてませんがね。では次回もこんな感じで、そろそろ決着を着けていきつつ、イリスやフォレス、フレイのバトルも入れていきます。では、次回もお楽しみに。