二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 78章 罠 ( No.157 )
- 日時: 2011/08/16 20:17
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
イリスは無数の罠が張り巡らされた植物園を進んでいく。
時には罠を避け、罠を外し、罠を壊し、罠に掛かりながら進んでいく。
(なんかこの罠の仕掛け方、誘導されている気がするな……)
仕掛けられた罠は目に見えるものもあれば見えないものもあるが、、基本目に見える所を避けて進めば、あなり掛かる事はない。
植物園を進んで十分ほど経つと、大きな池が見えてきた。
池には蓮などの花や水草が浮いていて、なかなか趣がある。
だがそんな感想も、敵がいれば台無しだ。
「よう、英雄。やっと来たな、待ちくたびれたぜ」
迷彩柄の服に漆黒のコート、髪は緑色で無造作に跳ねている。そしてベルトのバックルには、プラズマ団の紋章が刻まれている。
敵とは、7Pが一人、フォレスだ。
「お前もこっちに来いよ」
フォレスは池の所にいて、イリスを手招きする。
大きな池には大小あわせていくつかの岩があり、そのうちの二つは水際にあり、平らで人が乗れそうな大きさだ。現にフォレスはそこに立っている。
「今回俺は、お前を叩き潰すためだけにこのフィールドを用意したんだ。さあ、お前もそこの岩に乗ってポケモンを出しな」
フォレスが指差すのはフォレスが立っている場所とは反対側の足場。
「…………」
イリスは疑念を持ちながらも、恐る恐るその足場に向かって、一歩踏み出す。
最初の一歩目ではなにもなかった。なのでイリスは気が緩んでしまい、もう一歩踏み出し、罠に掛かる。
「!?」
突如、イリスの足首に何かが絡み付いてきた。青緑色の、植物の蔓のような何かだ。
蔓はイリスを水中に引っ張り込もうとする。その力は尋常ではないほど強く、まともな足場でないイリスが踏ん張る事もできなかった。
「ぐぁ……フローゼル!」
イリスは水中に完全に引き込まれる前にフローゼルを出し、牙で蔓を噛み切らせ、地上へと這い上がる。下手したら死んでいたかもしれない。
「あーあ、失敗しちまった」
フォレスは至極残念そうにうな垂れる。
「な、なんだ今のは!」
イリスはフォレスに激しく抗議するが、フォレスはヘラヘラと笑っていた。
「知りたきゃ教えてやるよ。こいつがこのトラップマスターことフォレスの切り札にして隠し玉。滅多に見れねえワイルドカード」
フォレスはとにかくもったいぶって、その切り札とやらの名を呼ぶ。
「現れろ、アルデッパ!」
その瞬間、水中より化け物が現れた。
いや、正確にはポケモンなのだが。
そのポケモンは2mを遥かに超える大口を開けた食虫植物のようで、触手か蔓のような手と指は原型があるものの、足はもうただの触手だ。
水草ポケモン、アルデッパ。草・水タイプのポケモンだ。
「……あのまま水中に引きずり込まれてたら、僕は今頃あのでかい口のなかで生涯を終えてたってわけか……」
イリスの額からは冷や汗が噴き出している。まあ、アルデッパの恐ろしい相貌を見て、さらに殺されかけたと言っても過言ではないのだから、別段おかしな事ではないが。
「本当はそのつもりだったが、そうもいかなくなった。だから正攻法で攻めるとするぜ」
言ってフォレスは、指をパチンと鳴らす。
「なっ……!?」
すると、空から惑わしポケモンのコクジャクが、地中からドリルポケモンのサンドリルが、後ろの茂みからサーベルポケモンのマカドゥスが現れた。
「言っておくが、逃げるはなしだぜ。どうしても家に帰りたいなら、こいつら全員を倒してからだ」
俗に前門の虎、後門の狼と言う諺があるが、これはそれどころではない。
上から孔雀、下から鼠、後ろはサーベルタイガー、目の前は怪物と、異形揃いで囲まれている。
「でも、やるしかない……!」
言ってイリスは、ボールを三つ取り出し、三体のポケモンを繰り出す。
「出て来い、モココ!キルリア!メタゲラス!」
コクジャクにはモココ、サンドリルにはキルリア、マカドゥスにはメタゲラスを、それぞれぶつける。
そしてアルデッパの相手は、フローゼル。
「どうせお前も、上下と後ろの三体には指示を出さないんだろ。だったら僕もそれに則って、アルデッパにはフローゼルをぶつけてやるよ」
つまり、フォレスはアルデッパにのみ指示を出し、他の三体には指示を出さない。複数のポケモンに、同時に指示を出すというのは結構高度な事なのだ。だからフォレスはまず、目の前のフローゼルを、次に他の三体を倒すつもりなのだ。
まあ、なにはともあれ。まず第一戦はフローゼルvsアルデッパだ。
「フローゼル、アクアジェット!」
フローゼルはまず、激しい水流を身に纏ってアルデッパに突撃する。威力は四分の一だが、まずは最初が肝心だ。
「氷の牙!」
フローゼルは氷結した牙を伸ばし、アルデッパに突き刺す。アルデッパは水タイプが混ざっているので効果抜群ではないが、それなりには効いているだろう。
「アルデッパ、パワーウィップ!」
アルデッパは触手を伸ばし、フローゼルに叩きつけようとするが、フローゼルは俊敏な動きでその触手をかわす。
「ツヴァイテール!」
そしてフローゼルはアルデッパの隙を見つけ、硬化させた二又のを叩きつけて攻撃。
しかし
「今だアルデッパ!捕らえろ!」
アルデッパは両手と触手、大きな口までもを利用して、フローゼルを捕まえた。フローゼルはその束縛から逃れようとするも、アルデッパは放さない。
「逃げようってんなら無駄だぜ。俺のアルデッパの束縛は捕まったら最後、もう逃れる事は出来ないからな。さあ行くぜ。アルデッパ、パワーウィップ!」
アルデッパは触手を一本伸ばし、捕らえたフローゼルの体に何度も叩きつける。
パワーウィップは草タイプ技の中でもトップクラスの威力を持つ技だ。そんな威力で、しかも効果抜群の攻撃をフローゼルが耐えられるはずも鳴く、六発目にて戦闘不能となってしまった。
「さあ英雄、ここからが本番だ。俺様名物罠掛け地獄、たっぷりと味わってもらうぜ」
フォレスは暗い森で獲物を見つけた獣のように、眼光を光らせる。
今回はフォレスとイリスのバトル、開幕です。しかしイリスはフォレスの卑劣な罠によって三体のポケモンが使えず、フローゼルも早速戦闘不能です。では次回もこのバトルの続きを書きたいところですが、次回はミキとハンゾウのバトルです。では、次回をお楽しみに。