二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 82章 怠惰 ( No.164 )
日時: 2012/07/10 22:28
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: QpE/G9Cv)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/124.html

「ぐっ……だが、相手はたかがポケモン一体。こっちは四体だ。負けるわきゃねえ」
フォレスはアブソルの登場に少々たじろいだものの、すぐに冷静さ取り戻す。
「コクジャク、ブレイブバード!サンドリル、ドリルライナー!マカドゥス、グランボールダ!アルデッパ、パワーウィップ!」
フォレスは四体の持つ最大級の技を一斉に指示し、アブソルに襲い掛からせる。
「アブソル、あれを喰らったらやばいぞ!まずは避け——」
と、イリスが言う頃にはアブソルは既に動いていた。

アブソルの漆黒の鎌が、襲い掛かる四体のポケモンを切り裂き、闇へと沈めた。

「んな!?」
フォレスは驚きのあまり、それ以上の言葉が出なかった。
それもそうだろう。フォレスといえど7Pでは序列三位、かなりの実力者だ。
そのポケモンが、たった一匹のポケモンに全滅させられたのだ。それも、一撃で。
「…………」
一方、イリスは宣言通りフォレスのポケモンを全て倒したと言うのに、浮かない顔——というより、苦い顔をしていた。
「アブソル、お前……」
アブソルはフォレスのポケモンを全て倒した。それは紛れもない事実で、アブソルの功績だ。
しかしイリスは、攻撃ではなく回避を命じた。
より正確に言うならば、アブソルはイリスの命令を聞かずに攻撃をしたのだ。
つまり、まとめると

アブソルはイリスの言う事を聞かないのだ。

アブソルは見つめるイリスを、赤い眼差しで見つめ返す。
「くっそ、作戦台無しじゃねえか!俺はこれからどの面下げてレイさんの前に立てばいいんだよ!」
……フォレスはそんな二人の事など全く気にせず、作戦失敗に嘆いていた。
その時

「フォレスまた負けちゃったのかー。仕方ないねー」

地面を這って現れたのは、赤い髪をロングポニーテールにし、簡素な淡いピンク色の浴衣、背中にはプラズマ団の紋章が入った団扇を差している少女。
7Pの一人、フレイだ。
「フレイ……!」
「だからフォレスは詰めが甘いって言ってるんだよー。まあ今回に限っては仕方ないだろうけどねー」
フレイは眠たげな声でそう言う。
「さてと、フォレスが失敗しちゃったらその後始末はあたしが引き受けるよー。そういうわけで、この7P序列二位のフレイちゃんが相手をするよー。ニートン、出番だよー」
寝転がったままフレイはボールを取り出し、ポケモンを繰り出す。
繰り出されたポケモンは、怠けポケモンのニートン。
壷のような体に、赤い縫いぐるみのような手足。雰囲気は如何にも怠けてます、といった感じで、フレイにはピッタリだ。
「お……おいおい、初っ端からそいつ使うのかよ……」
フォレスはニートンが繰り出されるのを見て、焦ったような声を出す。
「紛いなりにも相手はフォレスのポケモンを四体全滅させたポケモンだしねー。んじゃ、ニートン、シャドーパンチだよー」
フレイの気の抜けた指示に連動して、ニートンも気の抜けた感じに影の拳をロケットパンチのように放つ。
「アブソル、かわして——」
イリスもアブソルに指示を出そうとするが、それよりも早くアブソルは動き、独断で攻撃する。
アブソルは影の拳を切り裂き、ニートンに接近。さらに鎌のような角で、通り間際に切り裂く。あれは辻斬りだ。
「効果抜群は痛いねー。ならお次は危険な毒素でー」
フレイはその気の抜けた声とは裏腹に、危険そうな技名を指示する。
案の定、ニートンは如何にも危険そうな毒の塊を作り出し、アブソルに向けて放つ。
しかしそこは流石アブソル。その攻撃を疾風のような動きで回避した。
ちなみに毒素が当たった地面の草花は、一部は溶解、一部は腐敗した。やはり危険な毒素だ。
アブソルはさらに動きが鈍重なニートンの背後を取り、思念の頭突きをぶつける。
ニートンもカウンターのシャドーパンチを繰り出すが、アブソルはジャンプでかわし、壷の蓋みたいな頭にアイアンテールを叩き込む。
「あんまり強くないな……」
イリスはふと呟く。もしかしたらニートンは強いのかもしれないが、アブソルがそれ以上に強いのかもしれない。まあどっちにせよ、このままなら勝てるだろうと、イリスは楽観視していた。
だが相手は7Pだ。そんなに甘いはずがない。
「そんじゃーまー、そろそろ行きますかー」
フレイは気の抜けた声で、ニートンに指示を出す。

「ニートン、大欠伸だよー」

と、フレイが指示を出してすぐ、ニートンは大口を開けて欠伸をし出した。
正直イリスはふざけてんのか、と思ったが、そうではない。
その大欠伸を見てしまったアブソルは、足が崩れ、地面に倒れる。見れば目を閉じて寝息を立てて——眠っていた。
「!? アブソル!」
まさか欠伸で寝ると思わなかったイリスは驚き、アブソルに呼びかけるが、返事はない。
「大欠伸を舐めちゃいかんさー、これはかなり有用な技だからねー。というわけでー、決めちゃうよー。ニートン、アサルトエスだよー」
ニートンはフレイから指示を受けると、ゆっくりと立ち上がる。そしてのそのそと見ていてイラつくようなゆっくりとした動きでアブソルに近づく。
すると次の瞬間、ニートンはさっきまでの気だるげな雰囲気が嘘のように、アブソルを連続で殴打し始めた。タコ殴りである。
「あ、アブソル!」
しかしアブソルは起きない。
「無駄だと思うよー。大欠伸の催眠効果は高いから、そう簡単には起きないよー。そうして寝ているうちにニートンのアサルトエスでボコボコにして、起きた時には戦闘不能さー。あ、でも戦闘不能じゃ起きられないかー」
と、フレイは無気力だが、笑っている。小悪魔のようだ。
「さあ行くよニートン! 君の力はこんなもんじゃないさ!」
……イリスはふと思った。
「あいつ、性格変わってないか……?」




今回はアブソルでのバトルですが、アブソルはイリスの言う事を聞きません。そして遂に7Pの隠し玉、フレイ登場です。フレイの一番手はネタだと思うようなポケモン、ニートンです。ちなみにニートンの画像はいつも張っているURLには乗ってないので、今回に限って別に張りました。さらにラストではフレイの本性(?)が明らかに。……なんか、自分で作っておいてフレイがちょっと可哀想な子に、将来とか不安だ……。まあ、この作品自体創作なので、問題ないでしょう。ちなみに僕はインターネットスラング、ネット用語って言うんですかね?とかそういうのはあまり知らなかったりします。では、次回はフレイトのバトルが本格化(?)します。お楽しみに!