二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 83章 考古 ( No.165 )
- 日時: 2011/08/18 10:29
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/124.html
その後、アブソルは大欠伸による眠り状態から復活したものの、ニートンの意外な戦闘力に追い詰められていた。
あと、何故かフレイがやけにハイテンションになっている。
「フレイはなんというか……二次元の産物とでも言えばいいのか、そういうのが好きな奴なんだ」
ポケモンゼロでもう戦えないフォレスと、アブソルが言う事を聞かずに指示する意味のないイリスが、二人揃って木の幹に寄りかかって適当に駄弁っていた。
「あいつは生まれつき足の骨が異常に脆くてな、立ち上がっただけで、自重で骨が砕けるほどだ。だからいつも寝転がって、移動の時は他人のポケモンを使うこともしばしばだ」
「そうだったのか……」
プラズマ団にも、いろいろ事情があるようだ。
「そんな体質なもんだから、外で遊ぶ事などできない。で、俺が昔あいつに漫画を一冊貸してみたら……大いに嵌まり、エスカレートして現在に至るわけだ」
成程、とイリスは納得した。
「ちなみにあいつの伸ばした語尾はキャラ作りらしい。根っこは怠け者だから、気だるげなオーラとかは本当だけどな。……変な奴だよな、そんなにキャラ立ちしてなにが面白いんだか」
フォレスはそう言うが、7Pは結構皆キャラが濃いだろう、とイリスは言いかけて止めた。
二人は駄弁るのを止め、アブソルとニートン(フレイ)のバトル観戦に集中することにした。
「ニートン、シャドーパンチ!」
ニートンは拳に纏わせた影を、ロケットパンチのようにアブソルに放つが、アブソルはそれを回避。そして思念を込めた頭突きを喰らわせる。
「危険な毒素!」
次にニートンは毒性の高い毒の塊を作り出し、アブソルに向けて放つ。しかしこれもアブソルは回避し、今度は鋼鉄の如く硬化させた尻尾をニートンの顔面に叩き込む。
「ほら、あいつテンションが高いあまり、キャラ作るの忘れているだろ? あいつは波長の合うニートンでバトる時に限って、かなりハイテンションになるんだ」
確かにフレイは語尾を伸ばしていない。その上今までほとんど見せなかったエクスクラメーションマークまで出ている。まあ、寝転がっているから見た目は勢いなど感じないが。
「ニートン、大欠伸!」
ニートンは大口を開けて欠伸をし、アブソルの眠気を誘う。
だがしかし同じ轍は踏まないのか、アブソルはジャンプして大欠伸をかわす。
「ニートンはあいつの手持ちで二番目に強いが、今回は相手が悪かったな。ゴーストタイプのニートンじゃ、どうしたって悪タイプのアブソルには攻防ともに敵わねえ」
それはフォレスの言う通りで、ニートンが大欠伸をかわされて出来た隙をアブソルが目聡く見つけ、鎌のような角で切り裂いた。
辻斬りはゴーストタイプのニートンには効果抜群。さらに辻斬りの効果とアブソルの特性、強運により急所も切り裂いたので、全体的に能力が低めなニートンは戦闘不能となった。
「……あー、ニートン負けちゃったかー」
フレイはさっきまでのハイテンションぶりが嘘のように、気だるげな声となった。
「まーでもー、そのアブソルも限界みたいだしー、あと一発でも打ち込めば勝てるかなー」
確かに、アブソルはニートンとのバトルでかなり体力を消耗している。これ以上戦えばやられるだけだろう。
「というわけでー、やっちゃいますよー。あたしの次のポケモンはー——」
とそこで、フレイの言葉が途切れる。
『フレイ、聞こえますか!?』
フレイが耳に付けている無線機か何かから、声が聞こえてくる。この声と口調は7Pのエレクトロだが、彼らしくもなくかなり焦っているようだ。
『今すぐ撤退します!その場に誰かいれば、飛行できるポケモンに乗って脱出してください!』
「どうしたのエレクトロー? なにがあったのー?」
フレイはのんびりとした口調でエレクトロに問う。
『悠長に説明している暇はないのです!早く脱出しないと、彼女が——』
その時だった。
コンクリートの天井を突き破り、何かがこの地下植物園へと入ってきた。いや、突撃してきたと言えばいいのかもしれない。
「ふぅ……よかった、間に合って」
砂煙が舞う中聞こえてくるのは、落ち着いた女性の声だ。
「とりあえず、この砂煙が邪魔ね。ウォーグル」
姿の見えない女性がそう言うと、砂煙は一気に吹き飛んだ。
見えるのは鷲のような大型の鳥ポケモン、イリスも所持している勇猛ポケモン、ウォーグルだ。
そしてその傍らに立っているのは、なんとも美しい女性だった。長い金髪に黒いコート。特徴的な髪飾りをしている。
「な……あいつは……」
「これは……確かにやばいかも……」
その女性の姿を見るなり、フォレスとフレイは冷や汗を浮かべている。
「君がイリス君ね」
女性は呆然としていたイリスの傍まで歩み寄ると、イリスの名を呼ぶ。どうやらイリスの事を知っているようだが、イリスはこの女性を知らない。
「あの、あなたは……?」
なのでイリスはとりあえず名前を聞く。
「私はシロナ。シンオウ地方のチャンピオンで、今はイッシュの歴史について研究しているの」
その女性——シロナの言葉に、イリスは目を見開いた。
「シンオウ地方のチャンピオン!? なんでそんな人が、ここに?」
イリスは狼狽しつつそう訊ねるが、シロナは冷静に、短く返す。
「君を助けるため」
そしてシロナは、静かにボールを構えた。
今回は言わずと知れた親王のチャンピオン、シロナの登場です。いやあ、ダイヤモンドではかなり苦戦したものですよ。弱点なしのミカルゲとか、弱点突きまくってくるルカリオとか、攻撃と素早さが高いガブリアスとか。では次回はシロナ登場でフレイとバトるのか、次回をお楽しみに。