二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 84章 灯台 ( No.168 )
日時: 2011/08/18 23:40
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/124.html

「やっばいねー……どうしようかフォレスー?」
「お、俺に聞くな……解放すれば勝てないこともないだろうが、俺の手持ちは今ゼロなんだ、どっちにしろ戦えねえよ……つーかこの状況、ほとんど詰んでるだろ。俺たち終わってるぜ……」
シンオウ地方のチャンピオン、シロナの登場により、フォレスとフレイはかなり狼狽していた。
「さて、貴方達。覚悟はいいかしら?」
シロナはボールを構えたままフォレスとフレイにそう言うが、どう見ても覚悟ができている風には見えない。
「おいフレイ、お前まだポケモン持ってるなら戦えよ。戦わずに捕まるよりマシだろ?」
「無理無理、ニートンはやられちゃったし、切り札は置いてきちゃったから、残りの二匹じゃどう足掻いても勝てないよー。力量差くらい分かるでしょ、フォレスでもー」
なにか、二人は行き伸びるために必死だった。
とその時、二人には救いの手が差し伸べられるのだった。

「フォレス、フレイ!無事ですか!?」

天井を突き破って——否、破壊して現れたのは、全長10mは超えようかという、巨大なドラゴンポケモンだった。
神龍ポケモン、ドラードン。見た目はドラゴンというより、胴の長い龍のような姿をしている。そしてその大きさは、通常固体のドラードンよりも遥かに大きい。
「フォレス、フレイ、早くドラードンに乗ってください。カントー、ホウエン、イッシュのチャンピオンをも凌ぐほどの強さを持つシンオウのチャンピオンが来てしまっては、これ以上の戦闘は私達の負け同然です。メインの目的は達せましたから、ドランのドラードンに乗って退却します」
どうやらこのドラードンはミカンと戦っていたドランのポケモンらしく、エレクトロは皆を一気に退却させるためにこの大型ポケモンに乗ってフォレスとフレイの救出に来たようだ。
「助かったよエレクトロー!フォレスとは大違いだー!」
「その発現はムカつくが、確かにその通りだな。助かったぜ」
フォレスとフレイは素早くドラードンに乗り込み、ドラードンは上昇を始める。
「待ちなさい!天空に舞え、ガブリアス!」
シロナが繰り出したのは、これまたドラゴンというよりも鮫か恐竜のような外見をしたマッハポケモン、ガブリアス。
ガブリアスは腕に付いている翼を折り畳むと、超高速——というか音速でドラードンに突撃していき、まさに天空を舞う龍だ。
しかし、7Pもそんない甘くはない。

「レジュリア、アイスバーン……」

ガブリアスの音速突撃がドラードンにヒットする直前に、氷の衝撃波がガブリアスを襲い、全く予想していなかった攻撃にガブリアスは下へと落ちてしまう。
「レイ、ありがとうございます。助かりました」
ガブリアスを攻撃したのは、レイのポケモン、レジュリア。
レジュリアはルージュラの進化系で、ルージュラよりも体型がスリム、顔もかなり人に近い。
「ガブリアス!」
ガブリアスはドラゴン・地面タイプなので氷タイプの技は威力が四倍。さらに奇襲のような攻撃だったので、一撃で瀕死になるような一撃だろう。
しかしシロナのガブリアスは、大ダメージではあるもののまだ戦闘不能ではない。流石チャンピオンのポケモンと言うべきか。
だがそれでも、プラズマ団を逃がしてしまった事には変わりない。
「それでは皆様方、私達はこれにお暇させて頂きます。シロナさん、あなたの登場は私達にとっては脅威なものですが、あなたは自分からステージに上がる事で、私達の枷を外してしまったのです」
「……?」
シロナは意味が分からないと言うように疑問符を浮かべている。それもそうだ、イリスにだって分からない。
「次に出会う時は、私達の本当の力をお見せしましょう。それでは、さらばです」
エレクトロは最後にそう言い残し、7Pの面々は去っていった。



その後はミキやリオが来て、いろいろあった。
リオはどうやらシロナの事を知っているようだったが、まあ今は関係のない事だろう。
結局プラズマ団はほぼ全員逃げてしまい、残った者達も下っ端で、特に有益そうな情報は得られなかった。
Pベースで戦ってくれたトレーナー達は、戦いが終わるとそれぞれどこかへと行ってしまった。
イリスはPベース(元サザナミ観光局本部)の地下のさらに下に、何故アブソルが入ったボールがあったのか調べてみた。
キリハが言うには、イッシュは昔、風神雷神と呼ばれる悪戯好きなポケモンにより、嵐や雷雨で被害を受けていたらしい。
そしてその被害を最も早く察知したのが、当時発展途中だったサザナミタウン。
アブソルは災いを察知するポケモンで、サザナミタウンにアブソルが現れ、それでサザナミの人々はいち早く災害を知る事ができた、と言う。



翌日、シロナはリオに用があるとかなんとかで、シロナがイッシュの四天王カトレアから借りている別荘にリオを招いている。
そしてイリスは得にする事もなく、一人でサザナミタウンにある小さな灯台に来ていた。寂れ放題の灯台で、今にも崩れそうだ。
「——何を、しているんですか?」
不意に、ちょっと広くなっている灯台の頂上で海を眺めていたイリスに、声が掛かる。
「あなたは確か、ミカンさんでしたか。別に何をしているわけでもないです。ただ適当に、暇を潰しているだけです」
イリスはミカンに向けていた視線を再び海に移し、事も無げに呟くように言う。
「それなら、私とバトルしませんか?」
唐突に、ミカンはそう切り出してきた。
「バトル?」
「はい。私、実はジョウトという地方でジムリーダーをしているのですが、ジョウトのトレーナーは強く、ジムリーダー修行のために、今はイッシュに来ているんです」
イリスはどうしようかと少し考えるが、まあ結果は見え見えだろう。
「構いませんよ。やりましょうか」
かくして、ミカンとイリスの、灯台でのバトルが始まった。



今回は本編がちょっと長いですが、あとがきも長くいきます。今回はシロナさん登場で、バトルにはなりませんでしたが、ガブリアスが出てきました。シロナさんと言えばやっぱりガブリアスですよね。アニメ仕様で登場の台詞も入れてみました。そしてレイの切り札であるレジュリアは置いといて、アブソルについてです。まあ、適当に考えたのでこれもスルーしてもいいですか。最後はミカンとのバトルフラグです。これでイリスは新たな旅で6人目のジムリーダーとの対決、場所は灯台で、サザナミタウンもジョウトのアサギシティも海があります。まあ、サザナミの海は海水浴場ですが、それでも接点は多いです。というわけで、次回はイリスとミカンのバトル。やけに長くなった第七幕ですが、次回もお楽しみに。