二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 92章 変人 ( No.184 )
日時: 2011/08/21 13:32
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/124.html

現在位置、霞掛かる14番道路。
「アブソル、少しは僕言う事を聞いてくれないか?」
イリスは言う事を聞かないアブソルと対話しているが、アブソルはプイッとそっぽを向く。
ポケモンがトレーナーに懐かない場合、まず最初にやる事は大きく分けて二つ。
一つはバトルをして、心を通じ合わせる事。しかしこれは無理だ。アブソルは独断でバトルをするため心もへったくれもない。
二つ目は、ポケモンと仲良くなる事。これにはいろいろな方法があるが、やはり一番は対話だろう、人間のように。
「これは、とんだじゃじゃ馬だな……馬かどうかは知らないけど」
「馬ではないでしょう、少なくとも」
ミキにツッコまれてしまったイリス。
「はぁ……どうするかね……」
とイリスがげんなりしていると、不意に後ろの茂みがガサガサと音をたてて動いた。
そしてそれとほぼ同時にアブソルは動き、茂みに向かって飛び掛かる。
「アブソル!?」
アブソルは茂みに隠れていた何かに飛びつき、押さえつける。その感じからみて、相手は恐らく人間くらいの大きさだ。
「君は何をして……」
イリスは茂みに入ると、アブソルが押さえつけている何かを見つけた。
それは大人の男性、つまりは人間だ。
紫色のシルクハットを被っていて、髪は灰色で長め。服装も紫色のタキシードみたいな服だ。
そして、アブソルにやられたせいか、目を回している。



「で、あなたは誰ですか? 何故に僕らの事を見ていたんですか?」
とりあえずイリスは目を覚ましたらしい男から話を聞くことに。
「私はもすです、もすなんです、はい」
「もすってなんですか、ちゃんと名乗ってください」
「もすはもすです、もすなんです。モスギスさんは四天王なんです」
「そうですか、モスギスさんで四天王なんですか……四天王!?」
イリスはサラリと出て来たワードを聞き流しそうになるが、なんとか突っ込みを入れられた。
「どこの地方の四天王かは知りませんが、なんで四天王がここに……?」
イリスは四天王には見えない胡散臭そうな男に、そう問うが
「実はモスギスさんは死に別れた兄を探す旅をしていて……はっ、もしやあなたが私の兄さん!?」
「んなわけないでしょう!どう見てもあなたより僕の方が年下ですし、死に別れたらもう会えないでしょう!」
息切れを起こし、イリスは深呼吸。
「まあ、四天王がここにいるのはもういいとしましょう。で、なんで茂みから僕らの事を見てたのですか?」
「ふふふ、もすは悪タイプが好きなのです。ふらふらと歩いてたら悪タイプポケモンの香りがして、お花畑が見えて、死に別れた兄さんが見えて——」
「それは悪タイプの香りじゃなく、毒ガスか何かです!それともう兄さんはいりません!」
息切れを起こすほどの壮絶なツッコミ。流石のイリスも呼吸を荒げている。
「ま、まあ、悪タイプ好きのモスギスさんが、アブソルを見つけて見ていた、ってとこですか。それなら納得です」
とイリスが呟くと、モスギスの懐からピリリリリ!という電子音が鳴り響く。
「おっとここでポケナビ着信、一旦CMです」
「別にビデオカメラとかないですけどね、ここ」
イリスの呟きを無視し、モスギスはポケナビという黄色い機械を操作し、どうやら誰かと通話をするらしい。
「もすい、モスギスです」
『もすいじゃねえ!おいモスギス、お前いまどこにいる!』
ポケナビから聞こえてくるのは、起こったような男の声。というか、怒っている。
「ただいま、モスギスさんは、行方不明となっております。ピーという発信音の後に、この電話は爆発しますますま、ぼかーん!」
『ぼかーんでもねえ!俺の話を聞きやがれ!』
モスギスはどうやら、ちょっと、なんというか、変わった人物のようだ。
「もすもす……間違えました、もしもし。おたくはどちらさまでもしょうか?」
『サモギスだよ!お前は自分の兄貴の声も忘れたのか!』
通話相手はサモギスというらしい。というか、兄さんは生きていたらしい。しかも、別れてすらいない。
『もういい、お前がどこにいようと構わん。だが今すぐ戻って来い!お前のくだらん旅行のせいで俺は四天王代理になってんだ!俺の身にもなれ!』
「ぷんぷん、なんだか仲間外れの予感がします。もうモスギスさん帰っちゃいます」
『外れてんのはお前の脳ミソだ!外れたのもお前だ!そして早く帰ってきやがれ!』
ブツッ
通話が切れた。
「これがいわゆる悪戯電話……もうモスギスさんドッキドキ!」
何故か怒られたのにテンションが上がっているモスギス。
そして心の中で変人と確定したイリス。ミキを離れさせといて良かったと心底思う。
「さてさてはてはてもすもす、イリス君、君の悩みを聞こうじゃあないかね」
「なんで急に上から目線になっている上に突然悩みを聞くのかは知りませんが、悩みですか。そうですね、やっぱりこのアブソルが言う事を聞かない事ですかね。これではロクにバトもできません」
イリスはアブソルが入ったボール取り出しつつ言う。
「バトルと言われて構えてしまった、どうももすです、してんのー、しってんのー?」
「その駄洒落はあんまり面白くないです」
イリスが素直な感想を言うと。
「ふふふ、やはり似てますねえ、血は争えない。もすを狙って戦争勃発」
なにやら意味深な事を言い、その後意味不明の発言で有耶無耶に。
「テレレレッテレー!こんな時こそもすの出番!あなたの悩みをこのモスギスさんがズバッとゴルバットクロバットと解決して差し上げましょう!」
「……具体的には、何を?」
イリスはモスギスの意味不明発言にツッコミを入れるのを諦め、そう聞いてみる。
「主に、バトルを」



というわけで、予告通り知る人ぞ知るモスギスさんの登場です。あの人は発言が冗談抜きで意味不明です。まあそんなわけで、似てないと思っても、あの人を再現するのは難しいのです。ご容赦ください。では、次回はイリスとモスギスのバトルとなります。お楽しみに。