二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 94章 幻覚 ( No.188 )
- 日時: 2011/08/21 19:39
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/124.html
霞掛かる14番道路を進んでいるうちに、イリスはふと違和感を感じた。
「どうしました、師匠?」
ミキはイリスが立ち止まったので、何事かと声を掛けてくる。
「さっきから……全く先に進んでない気がする」
「なに言ってるんですか。れっきと進んでますよ。足だって動いてますし」
とミキが反論すると
「そうじゃなくて、そう、迷路とかで言う所の、同じ場所をぐるぐる回っているような気がする、ってやつ。それの、直線版だよ。ミキちゃん、ゴルドーを出して」
ミキは促されるまま、火の鳥のようなポケモン、ゴルドーを出す。
「霧払いは覚えてないだろうけど、この辺だけでいいから吹き飛ばしてみて」
「はい。ゴルドー、お願い」
するとゴルドーは翼を羽ばたかせ、霧を吹き飛ばそうとするが、霧は消えない。
「やっぱりか……どうも、ここに閉じ込められたっぽいね」
「別に閉じ込めてなどいませんよ」
イリスが事も無げに呟くと、霧が濃い前方より、人影が見える。そして
「私の目的は、あなた方を閉じ込める事ではありませんので」
その人物は、7Pが一人、エレクトロだ。
肩まである黄色い髪に、執事服。プラズマ団の紋章が入った手袋までしている、7Pのまとめ役。
そしてその横には、人魂のようなポケモン。幻影ポケモンのファントマだ。
「私の目的は、あなた。英雄のお弟子さんですからね」
エレクトとはミキを指差し、言い放つ。
「英雄さん、あなたは自分では知らないと思いますが、英雄というのはその運命を背負う代わりに、力を得る事ができるんです」
「……力?」
身構えていたイリスは、エレクトロの言葉を反芻する。
「ええ、元プラズマ団の王であるNは、ポケモンと話せたとか。そのような力です。そして英雄はその力を得て、周りにも影響を及ぼす」
エレクトロは続ける。
「そこで私は英雄に最も近く、最も影響を受けているであろうあなたの弟子をプラズマ団の拠点に連れて帰り、調査させて頂きます。ご心配なく、私は女性を乱暴に扱ったりはしないので。まあ、調査をするのはアシドですから、どのような苦痛を受けるかは分かりかねまして、その先は保障できませんが」
それではどっちにしろ、連れて行かれたら終わりである。
「……弟子を守るのも師匠の務め。そんなに少女誘拐犯及び監禁、暴行の罪で国際警察に行きたいなら、まずは僕を倒してからにしてもらえるかな」
イリスは一歩踏み出し、ボールを構えた。やる気のようだ。
「ふむ、まあこうなる事は想定済み。良いでしょう、この7P最強の名を持つエレクトロが、お相手いたします。ファントマ」
エレクトロはファントマを呼び、戦闘態勢を取らせる。どうやらファントマで戦うようだ。
「炎タイプが相手なら、このポケモンだ。出て来い、フローゼル!」
イリスのポケモンは、水タイプのフローゼル。タイプ相性的に、ファントマには有利だ。
「では、行きます。ファントマ、催眠術」
ファントマは一瞬でフローゼルの目の前まで行くと、フローゼルの両目を凝視し、眠りへと誘う。
「フローゼル、氷の牙!」
フローゼルは眠りにつく寸前に氷結した牙を伸ばしてファントマに突き刺し、攻撃。効果はいまひとつだが、ファントマはエレクトロの下へと後退した。
「成程、レイ、アシド、フォレス、フレイを退けただけはありますね。では次はこれです。ファントマ、シャドーボール!」
ファントマは黒い影の球体を作り出し、フローゼルに向かって発射する。
「フローゼル、かわしてアクアジェット!」
フローゼルは横に跳んで影の球を回避し、激しい水流を身に纏ってファントマに突撃。効果抜群なので、かなりのダメージだろう。
「煉獄です!」
ファントマは自分と同じ紫色の炎を竜巻のように放ち、フローゼルを攻撃。
「フローゼル、煉獄は簡単にかわせる!ジャンプしてテラーソニック!」
フローゼルは跳躍して煉獄をかわし、素早く腕を振って黒い衝撃波を放つ。衝撃波はファントマに直撃し、大ダメージを与える。
「まだですよ。神通力!」
ファントマは念動力とは違う、神々しき力でフローゼルの動きを止め、地面に叩き落す。
「フローゼル!」
フローゼルはまだ戦闘不能ではないが、体が動かせないらしい。
「ファントマの神通力に捕まったら最後。自力では抜け出せません。煉獄です!」
ファントマは紫色に燃える紅蓮の炎を放ち、フローゼルを包み込む。
「フローゼル……!」
炎が消えると、フローゼルはまだ戦闘不能ではなかったが、かなりダメージを受けていた。流石は煉獄、と言ったところか。
「では、これでフィニッシュです。シャドーボール!」
とファントマが影の球を撃ち出し、フローゼルに当たる直前
フローゼルは水を纏った尻尾で、その球を切り裂いた。
「!」
そしてそのままフローゼルはファントマに急接近、気合を込めた拳を叩き込み、地面をへと叩き落す。
「今のは、アクアテールに……気合パンチ……新しい技を覚えたのか!」
どうやらそうらしい。そしてフローゼルの気合パンチを喰らったファントマは、目を回している。戦闘不能だ。
「戻りなさい、ファントマ」
エレクトロはファントマをボールに戻し、気付けば周りの霧も晴れている。どうやらさっきまでの霧は、ファントマの幻覚だったようだ。
「ふむ、これは予想外です。恐るべき英雄の成長、とでも言いますか」
エレクトロは淡々とそう言い、少しだけ、微笑む。
「それでは、そろそろ本腰を入れましょう」
今回はイリスvs7P最強、エレクトロのバトルです。まあ、短かったですけどね。そして最後の最後でフローゼルがアクアテールと気合パンチを習得。あ、ちなみに気合パンチはあにめ版を参考にしているので、絶対に後攻になるような事はないです。攻撃を喰らえばキャンセルという設定も、半分くらいないです。では、次回は本気になったエレクトロとのバトルです。お楽しみに。