二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 103章 狩猟 ( No.205 )
- 日時: 2011/08/25 23:50
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「ケヒャハハハ!使えないエレクトロの代わりに、僕が直々に出向いたらとんだ大物が二つも掛かってら。これは取らなきゃ損だな。いきなりだが、今回は絶対に逃がせない大物だ、初っ端から解放するぜ」
言うと突如、アシドの腹の辺りから濁った紫色の光が漏れる。
「僕に刻まれている境界の刻印は腹。キュレムの腹を模してんのさ。見るか?」
そう言ってアシドは白衣の下に着ているTシャツを捲り、腹に刻まれた刻印を見せつける。
刻印はゴツゴツした岩みたいな形で、その中にやや崩れたV字型の模様がある。
「ちなみに言っとくと、解放状態なら僕は7Pで最も弱い。けれどそれでも四天王を薙ぎ倒せるくらいの力はあるんだぜ? そうだな……数値化できないからこれは僕の憶測だが、たぶん前に戦った時の五倍くらいはパワーアップしてるんじゃないか? まあこれは低く見積もった場合だがね」
『……!』
その言葉に、イリスもNも驚きを隠せない。
アシドは狡猾で残忍、なので勿論手加減とかもない。徹底的に潰しに掛かってくるのだ。
その力が前回の五倍で、しかも7P最弱らしい。
さとすれば、その先は一体どんな魔窟なのか、想像もつかない。
「さて、それじゃあお喋りはこの辺にして、始めようか。捕縛スタートだ、ダンカンス!オンネット!」
アシドは滝落ちる川に体とは不釣合いなほど大きな球状の頭を持つポケモン、ダンカンスを出し、イリス達の正面には黒く辛うじて人型をしているポケモン、オンネットを繰り出す。
「……N」
「分かってるさ、イリス。あのダンカンスは僕が引き受けよう」
言葉少なく意思疎通をしたイリスとNは、それぞれボールを構える。
「出て来い、リーティン!」
「出て来てくれ、ドサーモン!」
イリスが繰り出すのはリーティン、Nが繰り出すのはドサーモンだ。
まずはリーティンとオンネットのバトル。
「行くぞオンネット、シャドークロー!」
オンネットは影の爪を作り出し、リーティンに向かって襲い掛かる。
「リーティン、かわして燕返し!」
リーティンは素早い動きでオンネットの攻撃をかわすと、葉っぱを振ってその黒い体を切り裂く。
「チッ、だったら毒突き!」
オンネットは腕に毒を染み込ませ、リーティンに突き出す。しかしこれも、リーティンにはかわされる。
どうやらこのオンネット、あまり素早くないようだ。
「グラスミキサー!」
リーティンは跳躍してオンネットの上を取り、葉っぱを高速で回転させて木の葉の渦を作り出す。そしてその渦にオンネットを巻き込んで地面に叩きつける。
「ぐっ、サイコバレット!」
オンネットは大技で決めるつもりか、銃弾のような破壊力のある念動力をガトリングのように発射するが、その狙いはリーティンから逸れていく。
「グラスミキサーは相手の命中率を下げるわざでもある。まあ、下がらない事もあるけど、今回は上手く嵌まったみたいだな」
イリスはニヤリと笑うが、アシドは逆に不機嫌そうな顔だ。
「……どうにも、今日のオンネットは調子が悪いな。チューンアップして間もないから、まだ体がついていかないのかね」
そう呟きつつアシドはオンネットをボールに戻す。交代させる気らしい。
「本当はもっと焦らしてから使いたかったが、しょうがない。獲物を確実に仕留めるためには、このくらい必要だろ」
言ってアシドは、ボールを構える。
「さあ狩猟スタートだ、スモーガス!」
アシドが繰り出したのは、紫色の楕円形の体、その上下に銀色の角みたいな物が生え、傍には体の一部と思われる赤い宝石のような物が付いた立方体が浮いている。
毒煙ポケモン、スモーガス。毒と炎タイプを持つ、稀有なポケモンだ。
「さて、切り札も出したし、一応体面上こう言っとくぜ。プラズマ団の境界を、刻むとしよう」
一方N。
Nとドサーモンはダンカンスの相手をしているのだが、相変わらずダンカンスは指示を受けずに戦っている。
「ドサーモン、アクアテール!」
ドサーモンは尻尾に水を纏わせ。ダンカンスに叩きつける。
「続けて地震だ!」
さらにもう一発、勢いよく尻尾を叩きつける。地震を引き起こす威力を持つ一撃だ、堅いダンカンスといえど大ダメージだろう。
だがそれで引き下がるダンカンスではない。
ダンカンスは滝を下ってドサーモンから距離を取る。ドサーモンはそれを追いかけようと同じく滝を下るが、その瞬間ダンカンスが物凄い勢いで滝を登り、ドサーモンに激突してきた。
「滝登りか……だったらこっちは下から攻めるよ。ドラゴンダイブ!」
ドサーモンは勢いよく水面から飛び跳ね、ダンカンスに向かって急降下。
「ぶち壊す!」
さらにそこで一回転し、尻尾による破壊の一撃を叩き込む。
ダンカンスは水底まで沈んだが、しかしすぐさま浮上してくる。相当耐久力が高いダンカンスだ。
ダンカンスは力を溜めるように頭を引っ込め、次の瞬間ロケットのような勢いでドサーモンに突撃する。
「今度はロケット頭突きか……!」
ドサーモンは急いで体勢を立て直し、反撃に出ようとするが、少し遅かった。
ダンカンスが周囲の岩石を浮かべ、ドサーモンを覆うようにして叩きつけたのだ。
「グランボールダ……しまった……!」
ドサーモンはグランボールダに完全に捕らえられてしまい、地上に上げられてしまった。
まな板のコイならぬ、まな板のサケだ。
そこにダンカンスは思念を集めた頭で強烈な頭突きを喰らわせ、さらに吹っ飛ばす。
「……確かに、前よりも強化されてるっぽいね……」
さて、今回はアシドとのバトル。アシドの切り札は毒タイプのスモーガスです。それから解放した7Pは戦う前の決め台詞がありますが、これはフレイが考案したという裏設定です。厨二臭いとか言わないように、フレイだから仕方ないのです。では次回もアシドとのバトル、イリスはスモーガス、Nはダンカンスとのバトルです・お楽しみに。