二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 111章 不屈 ( No.228 )
- 日時: 2011/08/31 20:05
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「エルレイド、サイコカッター!」
「オオペラー、高速移動!」
エルレイドは切断作用のある念動力を刃に纏わせ、一閃して飛ばす。
だがオオペラーは高速で動き回り、一直線に飛ぶエルレイドのサイコカッターをいとも簡単に避けてしまう。
「エアスラッシュ!」
オオペラーはもう一発サイコカッターを放とうとしていたエルレイドに空気の刃を飛ばして切り裂き、怯ませて行動を封じる。エアスラッシュの追加効果と王者の印の相乗効果で怯みやすくなっているのだ。
「ハイパーボイス!」
そこにオオペラーは音による衝撃波を放ち、エルレイドを吹っ飛ばす。
エルレイドはすぐ反撃に出ようとするが、出来ない。どうやらまた怯まされたらしい。
「撹乱飛行!」
オオペラーはエルレイド周囲を動き回って撹乱し、隙を見つけては嘴で突き刺して攻撃。
「くぅ、ドレインパンチ!」
今回は怯まなかったらしいエルレイドは拳を淡く発行させてオオペラーに殴り掛かるが
「高速移動だ」
オオペラーは高速移動でドレインパンチを回避。そしてさらにオオペラーの素早さはまた上がってしまう。
ハヤトのオオペラーは王者の印とエアスラッシュ、その他の技を使ってこちらを怯ませ、相手に極力攻撃させずに勝利するのが狙いだ。だが勿論そんなに上手くいくわけなく、相手が怯まず反撃してくる事もあるだろう。そのためにオオペラーは高速移動を使い、こちらの攻撃をかわし、無傷で勝利しようとしている。
「よく考えるよな……!」
イリスは悔しそうにそう呟く。反撃しようにもエルレイドは怯み、行動不能状態だからだ。
「オオペラー、エアスラッシュ!」
オオペラーは翼を羽ばたかせて空気の刃を飛ばし、エルレイドを切り裂く。
エアスラッシュは飛行タイプの技なので格闘タイプのエルレイドには効果抜群だが、どうやらこのオオペラー、そこまで特攻は高くない。その分素早いのだが、エルレイドは特防が高いのでそうすぐにはやられない。
まあしかし、それも時間の問題だが。
「ハイパーボイス!」
オオペラーは動けないエルレイドに音の衝撃波を放って攻撃する。今度は吹っ飛びこそしなかったが、また、怯んだ。
「撹乱飛行だ!」
さらにオオペラーは撹乱飛行で攻撃。隙あらば嘴の鋭い一撃がエルレイドを襲い、体力を削り、怯ませる。それの繰り返しだ。
「いつまでも調子に乗りやがって……エルレイド、サイコ——」
「させないさ、エアスラッシュ!」
エルレイドがサイコカッターを放つ前にオオペラーのエアスラッシュがエルレイドを切り裂き、エルレイドはまた怯まされて攻撃が中止される。
(やっぱり反撃は無理だな……エルレイドは進化したてでまだ全然戦いなれてないし、僕もあんまり特性とか把握してないんだよな……)
イリスはそう思い、ふと図鑑でエルレイドの事を調べた。バトル中だというのに随分な余裕だが、怯んでしまっては指示を出すのも無意味だ。
「お?」
とそこで、イリスはそれを見つけた。それはオオペラーを打破しうるかもしれない力を秘めていて、しかも今もなお発動している。
(成程な、いくら怯もうとも挫けない、屈する事のない、不滅の心ね。確かにエルレイドにピッタリだ。……これしかないな)
イリスは覚悟を決めると、エルレイドに指示を出す。
「エルレイド!攻撃は止めだ!これからは防御に徹するんだ!」
攻撃せず防御に徹する。それがイリスの指示だった。
「……何を考えているかは知らないが、まあ攻撃しないなら好都合だな。オオペラー、エアスラッシュ連射!」
オオペラーはエルレイドの周囲を旋回して空気の刃を連続で飛ばす。エルレイドは下手に反撃せず、というか反撃できず、なるべく大きなダメージを喰らわないように防御の姿勢を取っている。
(こっからは精神の勝負か……エルレイドの体力が尽きる前に、エルレイドが高速になればいいが……)
そう思っている間にもエルレイドはエアスラッシュを受け続けている。「決めるぞオオペラー!最大の力を込めて、エアスラッシュだ!」
オオペラーは力を溜めるように翼を羽ばたかせ、その勢いが頂点に達するとさらに大きく翼を振りかぶり、最大出力の風の刃を飛ばす。
「エルレイド!」
エルレイドはその刃に切り裂かれ、地面に倒れた。片膝をつき、奉公する武士のようだ。
「終わったな。俺の勝ち——」
ハヤトが言葉を言い切る前に、オオペラーは吹っ飛んでいた。
「え……?」
ハヤトは何が起きたのか理解出来ず、イリスの方を向く。するとそこには
「エルレイド……!」
が、立っていたのだ。
「エルレイド、アイスブレード!」
イリスが指示を出した瞬間、エルレイドは目にも止まらぬ、というか残像を作るようなスピードでオオペラーに接近し、氷結した刃で切り裂く。
「な、何なんだ!?」
ハヤトは状況が今だ理解できていないようで、かなり混乱している。
「特性、不屈の心」
イリスは独り言のように、静かに言った。
「怯みっていうのは、言っちゃえば相手の動きを封じる効果ですよね。成程、確かにそれは驚異的な事ですが、それはあくまで相手より自分の方が速くないと効果はない」
イリスの言う通りだ。だからハヤトはオオペラーを素早さ重視に育て、さらに相手に先制されないよう高速移動まで覚えさせている。
「不屈の心は、怯めば怯むほど素早さが上がる特性。言うなれば怯みキラーですかね。いくら怯まされようとも屈することなく不滅の心で立ち向かう。あなたのオオペラーは相当速いようですが、今のエルレイドはかなり怯まされたお陰で」
エルレイドは距離を取ろうとしたオオペラーに向かって駆け出し、一瞬で距離を詰める。
「そのオオペラーより、遥かに速くなりましたよ」
そしてエルレイドは淡く光る拳をオオペラーに喰らわせ、地面に叩きつけるように振り下ろす。
「さあ止めだ、エルレイド。アイスブレード!」
エルレイドは両肘の刃を氷結させてオオペラーを切り裂く。防御能力が低いオオペラーは効果抜群の刃で切り裂かれ、戦闘不能となった。
今回はイリスとハヤトのバトル、決着でした。勝負の決め手は特性、不屈の心。まあ分かる人は分かったと思います。話は変わりますが、こういう使う事があまりない特性の効果が発動されると、ちょっと嬉しくなりますよね。不屈の心の他にも負けん気とか、怒りのつぼとか、千鳥足とか。……え?僕だけですか?まあ冗談はこのくらいにして、次回予告です。次回は意外な急展開。伏線張ってたあの人の登場です。お楽しみに!