二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 267章 軽蔑 ( No.284 )
- 日時: 2011/10/04 21:47
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「……しょうがない。もうこいつに頼るしかないか……」
イリスは戦闘不能となったフローゼルをボールに戻し、嘆息しながら次のボールを手に取る。
「今度こそ……頼んだぞ、アブソル!」
イリスが繰り出したのは、今だ言う事を聞かないアブソルだ。
しかしレジュリアは氷とエスパータイプ。なのでリーティンでは分が悪く、アブソルなら攻防共に有利だ。これで言う事を聞けば、非の打ち所がないのだが。
「……アシドさんからの報告にあったアブソルですね。能力はあなたの手持ちの中で一位二位を争うほど。しかしトレーナーの命令を聞かないという欠点がある……そんな事で、わたくしに勝てるとでも?」
「……やってみなきゃ、分からないだろ」
その後イリスはアブソルに指示を出そうとするが、その前にアブソルは動いていた。
「レジュリア、放電!」
レジュリアは突っ込んでくるアブソルに向かって掌を突き出し、電撃を放つ。
アブソルは頭に思念を集中させ、放たれる電撃に突っ込み、突き抜ける。放電は威力が分散されているため、一点に力を特化させれば強引に抜ける事も出来るのだ。
「小賢しいですね。アイスバーン!」
レジュリアは氷の爆発を起こすが、アブソルは宙返りしながらそれをかわし、鋼鉄の尻尾をレジュリアの頭に叩きつける。
しかしレジュリアは、弱点を突かれたにも関わらず、平然としていた。
「気合球!」
レジュリアは掌に気合を凝縮した球体を作り出し、アブソルに押し付けるようにして放つ。
アブソルはそれを華麗にかわすと、鎌のような漆黒の角でレジュリアを切り裂く。
「成程。確かに相当強いようですね。しかし、アシドさんはそのアブソルに敗れたようですが、わたくしはその程度では倒せませんよ。レジュリア、放電!」
レジュリアは両掌を広げ、そこから電撃を放射する。それは通常の放電よりも放射される範囲が広く、アブソルは後ろに跳んで回避を試みたが、失敗に終わり、電撃を喰らった。
「アブソル、大丈夫か!?」
アブソルはバチバチと電撃を帯びながら、ふらふらとした足取りで立ち上がる。特攻が高いレジュリアの放電は相当な威力だろうが、広範囲に放射した分、威力が下がったようで、なんとか戦闘不能は免れた。
「ですが、体は麻痺しているようですね」
レイの言う通り、アブソルは放電を受け、体が麻痺してしまった。だが体力は限界で、さらに状態異状になっていても、アブソルの闘志は尽きていない。
アブソルは自分の周囲に怒り狂うように蠢く炎を出現させ、レジュリアに向けて放つ。
「怒りの炎ですか。レジュリア、アイスバーンで凍らせなさい」
レジュリアは見るだけで圧倒されてしまうような炎に物怖じ一つせず、氷の爆発を起こし、その炎を凍結させてしまう。
「放電」
そしてそのまま電撃を放ち、氷を砕きながらアブソルに襲い掛かる。
「アブソル、避けろ!」
イリスは叫ぶが、アブソルは麻痺状態で、体が動かない。したがって、放電を避けることができない。
アブソルはまともに電撃を浴びてしまい、今度こそ、戦闘不能となってしまった。
「くっ、アブソルまで……!」
イリスは悔しさで呻きながら、アブソルボールに戻す。
「…………」
そんな折、レイはイリスの事をじっと、睨み付けるように凝視していた。
「……なんだよ」
「いえ、なんと言いますか……むかつきますね、あなた」
軽蔑の感情が丸出しの言葉だった。
「綺麗な言葉を並べ立て、いざとなっては何にもならない。そんな役立たずなものにすがり、他人にそれを押し付けがましくとやくかく言う。本当、苛々しますね」
「…………」
イリスは、返す言葉もなかった。
「エレクトロさんは英雄さんにはなるべく止めを刺すなと言われていますが、ゲーチスさんはやれる時にやればいいと仰ってました。この場合、立場が高いゲーチスさんの言葉を優先させるべきですよね」
すると、レジュリアがイリスに、掌を突き出してきた。これはレジュリアの臨戦態勢、戦う時、攻撃を繰り出す時の構えだ。
つまりレイは、ここでイリスを抹殺するつもりらしい。
「では英雄さん、最後に言い残すことはありますか?」
「……ここで僕が死んだとしても、僕にはまだ——」
「さようなら」
遺言を最後まで聞く気はなかったらしく、レジュリアの掌から気合を凝縮した球が放たれる。
球はまっすぐにイリスに向かって飛んでいき、そして
「テツカブリ、鉄壁!」
ズガァン!という爆発音が鳴り響き、辺りが砂煙に覆われる。
(……あれ?)
数秒後、イリスは自分の体に何の異変もない事に対し、疑問符を浮かべる。服が汚れるどころか、帽子すら残っている。
やがて砂煙が晴れると、その疑問は解消された。
答えは単純明快で、ポケモンがイリスとレジュリアの間に入り、レジュリアの気合球を受け止めたのだ。
「このポケモンは……?」
イリスは図鑑を取り出し、そのポケモンを確認する。
火口ポケモン、テツカブリ。炎と鋼タイプを持つポケモン。体は×が二つ浮き出た鉄色の卵型で、横から二つのゴツゴツした足が生えている。
「イリス、大丈夫かー?」
暢気な口調で現れたのは、イリゼだった。
「父さん……」
「俺だけじゃないぜ」
イリゼは後ろを親指で指すと、もう一人の人物が姿を現した。
「イリス、また会ったね」
「……N……?」
今回もイリスとレイのバトルなのですが、今回もイリスの負けです。しかし今回はアブソル敗北後に、イリゼとNが駆けつけました。最後のイリスの台詞に疑問符が付いてるのは……まあ、深く考えても浅く考えても構いません。では次回は、レイと一悶着ありそうです。お楽しみに。