二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 274章 初心 ( No.298 )
- 日時: 2011/10/10 00:55
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「行くぞリーテイル、まずはエアスラッシュ!」
リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、無数の風の刃を飛ばし、ググズリーを切り裂く。
「怯むなググズリー、ブレイククローだ!」
ググズリーは爪に力を込め、リーテイルに飛び掛かる。
しかしリーテイルは何と言うこともなく飛翔し、その攻撃を回避する。
「リーフブレード!」
そしてリーテイルは猛スピードで下降し、尻尾の葉っぱでググズリーを切り裂く。
「続けてダイヤブラストだ!」
さらにリーテイルは手にエネルギーを凝縮し、宝石のような白色の光線を発射する。
ググズリーはそれをかわそうとしたが、直撃を外すので精一杯だった。
「相当なスピードだな……ググズリー、辻斬り!」
「リーテイル、リーフブレード!」
ググズリーは鋭い爪を構えて駆け込み、リーテイルも刃のような尻尾で迎え撃つ。
リーテイルは高速で尻尾を振り、ググズリーもリーテイルの脇を通り過ぎる。
見ればリーテイルの脇腹に、爪で引っ掻いたような深い傷。ググズリーの腹にも、刃で切り裂かれたような切り傷がある。
「まだだ、ブレイズキック!」
ググズリーはすぐさまリーテイルに向き直り、足に炎を灯して蹴り掛かる。
「リーテイル、ロイヤルバーン!」
リーテイルは振り向き様に吸収した自然の力を爆発させ、衝撃波を放つ。
ググズリーは攻撃途中でその衝撃波を避けられるわけもなく、吹っ飛ばされた。
「強いな……」
ボソリと、イリスは呟く。
進化したリーテイルの強さは、その使い手であるイリスすらも驚かせるものだったという事だろう。
「ググズリー、もう一度ブレイズキック!」
「何度来ても返り討ちにしてやりますよ。リーテイル、ロイヤルバーン!」
ググズリーは足に炎を灯して蹴り掛かり、リーテイルは爆発起こし、自然の力が込められた衝撃波を放つ。
ググズリーは衝撃波を喰らって吹っ飛ばされるかと思いきや、ググズリーは衝撃波を突き破り、リーテイルにブレイズキックを叩き込む。
「リーテイル!」
ブレイズキックは炎タイプの技。故に草タイプのリーテイルには効果抜群。しかしロイヤルバーンで威力が緩和され、戦闘不能までは至らない。
「ブレイズキックを繰り出せばロイヤルバーンが来ることは容易に予想できたからね。最初からそれを蹴破る気で突っ込めば、突破できない事もないさ。さあググズリー、次はブレイククローだ!」
ググズリーは爪に力を込め、リーテイルに飛び掛かる。
「リーテイル、エアスラッシュ!」
対するリーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、風の刃を無数に飛ばし、ググズリーを切り刻む。
「付け入る隙がないな、そのリーテイル」
「そう言うセンリさんのググズリーは、随分な耐久力ですよ」
お互い、嫌味のように賞賛する。
「リーテイル、リーフブレード!」
リーテイルは尻尾の葉っぱをググズリーの脳天に振り下ろす。
「ググズリー、受け止めろ!」
しかしその斬撃は、ググズリーが両手で尻尾を挟むように掴み、受け止めた。
というか、これはもう真剣白刃取りだ。
「ブレイズキック!」
ググズリーは尻尾を引っ張ってリーテイルを自分の近くまで引き寄せ、炎を灯した足でリーテイルを思い切り蹴り上げる。
流石のリーテイルも効果抜群の攻撃を直撃で喰らい、かなりのダメージだ。
「くっ、ダイヤブラスト!」
リーテイルは空中で体勢を立て直し、宝石のように輝く白色の光線を発射し、ググズリーを吹っ飛ばす。
「立ち上がれ、ググズリー!ブレイククロー!」
ググズリーは立ち上がって跳躍し、力を込めた爪を振り下ろしてリーテイルを叩き落とす。
「今だ、インファイト!」
さらに落下と同時にリーテイルに超連続打撃を浴びせる。効果はいまひとつだが、ググズリーの攻撃力があれば相当な破壊力になる。
「くぅ……リーテイル、大丈夫か?」
リーテイルはインファイトを耐え凌ぎ、ググズリーとの距離を取る。だがその体は無数の打撃痕が残り、かなりのダメージを受けた事が分かる。
「次にあの大技を喰らったら、間違いなく戦闘不能だな……リーテイル、慎重に行くぞ。エアスラッシュ!」
リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、風の刃を無数に飛ばす。
「ググズリー、インファイトで全て打ち砕け!」
ググズリーは目で視認し難いエアスラッシュを、漏れなく全て拳で相殺してしまった。
「ブレイククロー!」
そしてそのまま爪に力を込め、リーテイルに飛び掛かる。
「リーテイル、回避だ!」
リーテイルは大きくバックステップして、ググズリーの攻撃を回避する。
「逃がさん!ググズリー、インファイト!」
ググズリーは地面にめり込んだ腕を引き抜き、リーテイルとの距離を一気に詰める。
(ヤバイ……!)
ググズリーは既にリーテイルの懐に潜り込んでいて、拳を振り抜こうとしている。リーテイルは進化して中、遠距離用の技を多数覚えたものの、こうして距離を詰められると、手の出しようがない——
「リーテイル、ロイヤルバーン!」
——わけでもなかった。
リーテイルはググズリーが拳を振り抜くよりも速く、自然の力を爆発させ、衝撃波を放つ。
ググズリーは至近距離どころかほぼ零距離から大技を喰らって吹っ飛ばされる。
「ググズリー!」
地面に倒れ伏したググズリーは目を回しており、戦闘不能だった。
「ポケモンバトルとは、元来ポケモンとトレーナーの絆を深め合うもの。そしてそれができれば、トレーナー同士の絆も深まる。つまりポケモンバトルは、相手に自分の気持ちを伝える手段の一つでもある。トレーナーの基本の心得だが、思い出したかな?」
「ええ、お陰様で。基本過ぎて、今まで完全に忘却してましたよ。初心忘れるべからず、ですね」
バトルの後、イリスとセンリはバトル前と同じように倒れた木の幹に腰掛け、話し合っていた。
唯一違うところがあるとすれば、イリスがどこか、清々しい表情をしているという事くらいか。
「……ふむ、やはり君は、似ているな」
「よく言われます」
「本当によく似ているよ。私の息子に」
「え? 息子?」
イリスはジムリーダーに会う度、彼に似ているだのなんだのと言われてきたが、具体的な人物を言われたのは初めてだった。
「私の息子も、君くらいの歳なのだが……今はどこにいるのかも定かではないよ」
しかしセンリは、むしろ楽しそうな表情をしていた。
「さて、私もそろそろ行くとしよう。ジムもあまり長い間開けておくわけにもいかないかなら」
そう言いながら、センリは腰を浮かせ、立ち上がる。
「ではまたどこかで会えると良いな、イリス」
「そうですね。……色々ありがとうございました」
センリは軽く微笑むと、イリスの前から立ち去っていった。
さて、今回は驚くほど本編が長くなってしまいました。書きたい事がないでもないのに、もうすぐ文字数制限に掛かってしまいます。なので今回はあとがき短めでいきます。えー今回で第九幕は終了です。次回からは第十幕に移行します。というわけで、次回もお楽しみに。