二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 277章 天災 ( No.306 )
日時: 2011/10/10 15:57
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「バンギラス、ジオインパクト!」
バンギラスは膨大な銀色のオーラを身に纏い、アブソルへと突撃する。
しかしアブソルは軽快な動きでそれをかわし、バンギラスの脳天に鋼鉄の尻尾を叩き込む。
「おお、頭を打たれてくらくらくらくらサクラビス。バンギラス、今こそサクラビスの敵を討つ時です!地震!」
バンギラスは大地を割る勢いで地面を踏み鳴らし、地震を起こす。
だがこの地震も、アブソルには当たらない。アブソルは跳躍して地震を回避すると、バンギラスの体を連続で切り裂く。
だが辻斬りは悪タイプの技で、同じ悪タイプのバンギラスにはほとんどダメージがない。
「もす……なかなかすばしっこいアブソルですね。よし、ここは君の必殺技、『トキメキが止まらないわモスギスビーム』を使うのです!……あはい、使えないですか。ショボーン……ではストーンエッジで」
物凄い適当な感じだが、バンギラスは鋭く尖った岩を自分の周囲に無数に浮かべ、それらを一斉に発射する。
対するアブソルは頭に思念を集め、襲い掛かる鋭き岩を全て砕き、バンギラスに接近。そのまま鋼鉄の尻尾を腹部に叩き込む。
「うーん……やっぱりどうも、決定力不足だな……」
イリスはアブソルに指示を出すことがないので、その間にバンギラスの様子を観察することにした。
バンギラスは鎧ポケモンと分類されるだけあって、相当硬い。いや、それは四天王モスギスが育てたというのもあるだろうし、実の所バンギラスは防御よりも攻撃に秀でているのだが、それでもイリスからすれば生半可な攻撃が効かない、防御の高いポケモンに見える。
実際、リーテイルのロイヤルバーン二発、エルレイドのドレインパンチ連発を喰らっても、効きはしたが倒れはしなかった。
つまりこのバンギラスは攻撃力が高く、防御力が高く、体力もある。種族として上位の存在であるということが分かる。
……まあそれでも非の打ち所くらいはあるもので、巨体ゆえの高ステータスだが、巨体ゆえに小回りが利かない。だからアブソルはちょこまかと動き回って、隙を見つけては攻撃しているのだ。
「バンギラス、地震!」
バンギラスは大地を踏み鳴らし、地震を起こす。
だがアブソルは何と言うこともなく跳躍してその攻撃をかわす。しかし
「バンギラス、捕まえるのです!」
モスギスのその一言で、バンギラスはアブソルを捕らえた。
いくらアブソルでも、空中にいては逃げようがない。
「しまった……アブソル!」
イリスは叫ぶが、もう遅い。
「バンギラス、ぶち壊す!」
バンギラスはアブソルを空中に放り、そこから鉄槌を振り下ろすように腕を叩きつけ、地面へと叩き落す。
効果いまひとつなのでギリギリ戦闘不能は免れたものの、大ダメージを受け、立ち上がる事すら出来ない。
「変わりませんね」
唐突に、モスギスは言った。
「確かに君も君のポケモンも変わったようですけど、そのアブソルだけは変わってないですね。もすの如く不変です」
モスギスは、割かし真面目な顔で言った。
「ポケモンはただ育てるだけじゃ進化しないです。愛情込めて、真心込めて、友情を深め合って、もすのようになって、初めて強くなれるのです」
せめてこういう時くらいは真面目に喋れ、とイリスは思わなくもないが、口には出さない。
(……確かに、思いを伝えるなら、プラズマ団より先にアブソルだよな)
イリスは意を決し、アブソルに語りかける。
「アブソル。お前が何で言う事を聞かないのか、何で僕に反抗的なのかは知らない。僕が気に入らないのか、僕の実力が足りないのか、僕のないが悪いのかも分からない。もしかしたら長い間あんな暗く狭い所に閉じ込められて、人間不信なのかもしれない。でも、お前が一生僕の言う事を聞かなくても、僕はお前を見捨てたりはしないからな。だって——」
イリスはいきを大きく吸い、そして

「お前は、僕の仲間だから!」

アブソルは目を見開く。しかし、立ち上がることは出来ない。
「……まあ、もすでもないのですから、そう簡単にバンギラスの攻撃を受けて立ち上がれはしないでしょう。ではではもすもす、止めを刺しましょう。バンギラス、ジオインパクト!」
バンギラスは膨大な銀色のオーラを身に纏い、アブソルへと突撃する。
アブソルは立ち上がることも出来ずに、ただ、蹲るだけ。
しかしそんなアブソルに、奇跡が起きる。
「アブソル……!」

その時アブソルは、光り輝いた。

「こ、これは……!」
「進化の光……」
光に包まれたアブソルは、その光りの中で姿を変えていく。
そこにいたのは、アブソルの面影を残しながらも、アブソルとは違うポケモン。
漆黒の鎌のような角と、悪魔の羽のような尻尾は二枚の刃となり、足の踵にも黒い刃が突き出ていて、より凶悪な相貌となったが、どこか優しげな雰囲気が出ている。
災害ポケモン、ディザソル。アブソルの進化系だ。
「アブソル……進化、したのか……?」
イリスがそう呟くと、アブソル——否、ディザソルはコクリと頷いた。
以前のアブソルなら、絶対にそんな仕種はしなかっただろう。
「これはビックリ仰天。もすをここまで驚かせるなんて、才能ありますよ。もすすすす」
イリスはとりあえずモスギスの言葉を無視。ディザソルを見据える。
「……頼むぞ、ディザソル」
ディザソルは再度コクリと頷き、バンギラスと相対する。まるで、災害に立ち向うかの如く。



さて、今度はアブソルが進化しました。最近は進化が多発しております。と言っても、ちょっと前にリーテイル、今回のディザソルだけですが。いや、それにしてもディザソルは格好良いです。何がと問われれば全てと返すくらい格好良いです。そして次回はその格好良いディザソルが大暴れ。なので次回もお楽しみに!