二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 279章 発見 ( No.311 )
- 日時: 2011/10/11 00:34
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
イリス、イリゼ、Nの三人は、現在ヒウンシティにあるPDOヒウン支部を尋ねていた。
その理由はホワイトフォレストにいたイリスにミキを介してキリハから連絡が来て、「話したい事がある」と言ったためである。
だがそれだけではなく、Nもとびきりの情報があると言って、ならば同時に情報交換をしようという事となり、現在に至る。
「それじゃ、敵の盗聴も危惧されているからね……とりあえずは会議室で話そうか」
キリハに誘導されるまま、イリス達は支部の建物の中を歩いていき、やがて辿り着いたごく普通の部屋へと入る。
部屋の中には大きめのテーブルと、椅子がいくつもある。会議室にはとても見えないが、これでも会議室らしい。
中には既に先客がいて、ヒウン支部の統括であるリオ、セッカ支部の統括であるザキ。それからイリスの弟子のミキ。その三人がいた。
「とりあえずこれで揃ったね……見ない顔もいるけど」
キリハはイリゼを一瞥するが、すぐに視線を逸らす。ちなみにイリスはイリゼの紹介を一切行っていない。だからまあ、キリハは妹か何かと思っているのだろう。
キリハは椅子に着き、それと同様にイリス達も着席する。
「さて、じゃあまずは僕達の情報を提示しようか。……今まで色々あったからちゃんと説明してなかったけど、奴ら——プラズマ団の目的が、明らかになった」
キリハは特に前置きを入れずに、そう言った。
「奴らの目的は、人心を支配してポケモンを解放し、世界を制圧する事。でもこれは、一年前、イリス君のお陰で防ぐことが出来た。とても感謝している」
キリハはイリスを見ながら言う。イリスはというと、顔を赤らめてそっぽを向いていた。どうやら照れているようだ、珍しい。
「しかし奴らは目的自体を諦めてはいないようで、今度も伝説のポケモン——キュレムを使って、世界を武力制圧するつもりらしい。それだけじゃない、こともあろうか災厄の化身とも呼ばれた、イッシュに災害をもたらしたポケモン、トルネロスとボルトロス。さらにはその二体を鎮めたランドロスまでも、手駒としている」
確かに、イリスもその三体のポケモンは見た。直接戦ってはいないものの、あの三体が相当強いのは目に見て分かるほどだ。
「……まあ、こんな確認は置いとくとして、本題はここからだ」
そう言ってキリハは、宝箱のような箱をテーブルの上に置き、中身が見えるように蓋を開ける。
するとそこには、灰色に濁った水晶があった。
「……なんだぁ? この汚い水晶」
ザキはまるで汚物を見るかのように、そう言い放った。
しかしキリハはそれを特に咎めることもなく。
「これは境界の結晶……キュレムを復活、操作するものだ」
『!?』
その場にいた全員が、目を見開く。
つまりこの境界の結晶という物は、現在のプラズマ団からしたら喉から手が出るほど欲しているものだという事だ。
「……なんでそんな貴重な物を、キリハが持ってるの?」
リオが言った。
「いや、僕が持ってたんじゃなくて、この支部の金庫に入ってた。何でかは知らないけど」
実に不思議である。
「……まあつまり、これがなくちゃプラズマ団は何も出来ないわけだから、これを必死で守らなくちゃいけないわけ。それでもとりあえずは金庫に厳重に仕舞っておくから、安心していいよ」
そう言いつつ、キリハはその水晶を箱に戻す。
「……さて、次は君達の情報提供だ。一体、何が見つかったのかな?」
キリハは期待感たっぷりに問う。
この時イリスもイリゼも、Nが持ってきた情報をまだ聞かされていないので、必然的にまだ知らない事になる。そしてNが持つ情報とは——
「はい。実は……プラズマ団のアジトを発見しました」
『!?』
またしても、その場にいた全員が目を見開く。
「それって……一体どこなんだ、N」
「うん、今から説明する」
そう言ってNは、テーブルにイッシュ地方のタウンマップを広げ、東南部の端にある小さな島を指差す。
「ここ……17番水道を通り、18番道路を迂回し、その先の海流を抜けた所にある、P2ラボという研究所のような施設です」
「17番水道、18番道路、か……確かにあの辺は入り組んでいる上に、潮の流れも速い。さらに土地柄、盲点にもなりやすいな……アジトを構えるなら、うってつけの場所ってわけか」
キリハは一人呟く。
「うっし。場所が分かったんなら、早速殴り込みに行こうぜ!」
荒っぽいザキは立ち上がり、拳を合わせた。
しかしキリハはそれを慌てて止める。
「ちょっと待ちなよ、ザキ。場所が分かったからって、いきなり突っ込む事はない。まずは準備を整えてからだ。敵の本拠地に乗り込むんだから、ちゃんとこちらの戦力も確保しないと……」
キリハの言う事はもっともだ。ちゃんと準備をしなくてはならない。
「準備? 強い奴を引き連れていけばいいんだろ?」
「まあ結果的にはそうなるけど……皆は、誰か強い知り合いとかいる?」
キリハがその場にいた全員に尋ねる。
「僕ならまず、チェレンとベルでしょうね……他にもアテはありますけど、彼らとコンタクトを取るのは難しいですね」
「俺も知り合いは兆単位でいるけどよ、どいつもこいつもどこで何してっか分かんねえから、連絡のしようがない」
兆単位は、この星の人口超えてるだろ、とイリスは思ったが口には出さない。最近イリスは心の中でツッコむ事が多いのだ。
「私は……あ」
ミキは心当たりがあるようだ。
「……お前もか」
そしてザキも。その口振りから察するに、ミキとザキは同じ人物を思い浮かべたらしい。
「私も……まあ、いるにはいるかな」
リオも、思い当たる節があるらしい。
「……それじゃあとりあえず、今後は戦力の確保と、どう攻め込むかの作戦立案、それから境界の結晶の守備について話し合おうか。日程はこちらで組むとして——」
その後はこれからのスケジュールなどについて話し合っていた。
しかしイリスは、ずっと気にしていた。
Nの、今まで見せなかった怪しげな笑みを。
さて、今回はバトルのない回でした。とりあえずプラズマ団が捜し求める鍵について明らかになり、本拠地も明らかに。さて、次回からは戦力探し。皆様が募集してくださったオリキャラ達が登場します。……第十幕のタイトル、どうしようかな……?まあそんな事はさて置き、次回もお楽しみに。