二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 281章 竜 ( No.316 )
日時: 2011/10/12 00:56
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

イリスはプラズマ団の本拠地に乗り込むべく、戦力を確保するためにイッシュを放浪していた。
そして来たのがソウリュウシティ。
もはやイッシュをほぼ半周して今だ一人しか見つけられていないイリスだが、ここに来てもう一人発見した。今度は知り合いだ。
ソウリュウシティの中央部にある、結構面積がある広場。主にトレーナー同士でバトルをする広場なのだが、そこでポケモントレーナー、ムントがバトルをしていたのだ。
「オノノクス、ドラゴンクロー!」
オノノクスは両手の爪に龍の力を込め、相手に襲い掛かる。
「ボーマンダ、大文字!」
対する相手——青い体に赤い翼を持つドラゴンポケモン、ボーマンダは、口から大の字の灼熱の火炎を放ち、オノノクスの攻撃を阻もうとする。
しかし炎技ではドラゴンタイプの硬い鱗には敵わず、オノノクスは大文字を突っ切ってボーマンダを引き裂く。
「もう一度ドラゴンクロー!」
「ボーマンダ、こっちもドラゴンクローだ!」
オノノクスとボーマンダは龍の力を爪に込め、互いに激突し合う。
普通ならそこで競り合うところなのだろうが、思いの他早くケリはついた。
オノノクスが吹き飛ばされたのだ。
「くっ……」
オノノクスは吹っ飛ばされながらも辛うじて体勢を立て直し、ボーマンダを睨み付ける。しかしガンつけるならボーマンダの方が上だった。何故なら、ボーマンダの方が目付きが悪いからだ。
「……流石と言うべきか、そのボーマンダ」
ムントが、相手のトレーナーに対してそう言った。
「俺のアギルダーとアーボスクを連続で下し、通常ではない特性、自信過剰で攻撃力を底上げしている。その破壊力は、大したものだ」
どうやらあのボーマンダは、ムントのポケモンを二体、既に倒しているようだ。さらに特性、自信過剰によって攻撃力も倍増しているらしい。
その言葉に対し、相手のトレーナー——灰色のショートヘアーで、目が隠れかけている、青のジーンズと黒いTシャツ、灰色のコートという出で立ちの男は、どうと言うこともなく、返答する。
「そりゃどうも。でも、先鋒のアギルダーは攻撃がたまたまクリティカルヒットしただけだし、次のアーボスクにしたって上手く弱点を突けただけだ。それに、攻撃力が倍増したボーマンダのドラゴンクローを喰らって平然としているあんたのオノノクスだって相当強い。さっきまでは運が良かっただけだ」
「バトルは、運勢でも左右されるものだろう」
「まあ、それもそうだな」
話もそこそこに、二人はバトルを続行する。
「攻撃力で劣るなら、こちらも強化すれば済む話。オノノクス、龍の舞!」
「ならこっちは攻撃力を上げられる前に攻め倒す。ボーマンダ、雷の牙!」
オノノクスは龍のように激しく舞い、ボーマンダは牙に電気を帯びさせてオノノクスに突っ込む。
「行け、ボーマンダ!」
「オノノクス、瓦割り!」
両者の攻撃が激突する。その時だった。

フッと、空が暗くなった。

『……?』
両者ともに攻撃を止め、空を見上げる。さっきまで快晴だった空は、現在、暗雲に包まれていた。
……いや、違う。空は暗雲になど包まれていない。空から降り注ぐ太陽光を遮っているのは

【懐カシキ『龍の里』ヨ】

巨大な、龍のようなポケモンだった。全長で15メートル以上はある——以前イリスが見たモスギスのティラノスの、二倍以上大きなポケモン。
神龍ポケモン、ドラードンだ。
そしてその巨大なポケモンの背に乗るのは、7P、ドラン。
真っ黒なローブに身を包み、プラズマ団の紋章が縫い付けられたフードで顔を隠している。長い藍色の髪の毛だけがフードから垂れ下がるように出ていて、より一層不気味に感じる。
だが奴の最大の特徴は、そこではない。合成音声のような、それでいて怪物の呻き声とも取れそうな、奇怪な声。脳に直接響いてくるようで、もはや人間——生物かどうかも怪しい。
【……イヤ、今回ノ任務ニ私情ハ厳禁。サシテ我ハ情ヲ捨テシ物。此度ハ英雄共々ノ戦力調査】
ドランは奇怪な声で、独り呟く。
「……何だあいつ? 何が何だか分からないんですけど?」
ムントの相手をしていたトレーナーは、ひとまずバトルを中断してドランを見上げる。
【『ドラードン』、英雄ノモトヘ】
ドランがそう言うと、ドラードンは高度をどんどん下げていき、やがて街の樹木を押し潰し、道路に亀裂を走らせて着陸する。
【辛苦ヲ伝エヨ、『ワラガシラ』】
ドランはボールから、藁人形のような辛みポケモン、ワラガシラを繰り出す。
「……これはもう、バトルパート突入か」
イリスもボールを取り出し、ポケモンを繰り出そうとした所で

「ボーマンダ、大文字!」
「オノノクス、ドラゴンクロー!」

ワラガシラはボーマンダの口から放たれる大の字の炎に焼かれ、その後襲い掛かるオノノクスの強烈な爪の一撃に吹っ飛ばされる。
「!」
【…………】
その光景に、イリスは驚き、ドランは……無反応に見えるが、実の所はどうなのだろう。
「ムントさんと……えーっと……」
そういえば名前知らなかったな、とイリスは今更ながら思う。
「あ、俺の名前? ルースだけど?」
「ああ、そうですか。僕はイリスです」
トレーナーの名は、ルースと言うらしい。
「ま、折角のバトルを台無しにしてくれたんだ。不意討ちの二発くらい、貰ってもいいだろ」
ルースはドランに対し言う。いきなりの攻撃の理由はそれらしく、ムントもたぶん同じ理由だろう。
【戻レ、『ワラガシラ』】
ドランはワラガシラをボールに戻す。戦闘不能ではないが、不意討ちの二連続攻撃は流石に堪えたようで、出て来て早々退場である。
【……標的変更。マズハ、ソノ二人カラダ】
ドランはムントとルースの方を向き、そう言い放つ。



えー、まず最初に、大光さんのオリキャラ、ルースが登場しました。大光さん、キャラ崩壊などの不備がありましたらお申し付けください。そして、はい、今回は久々にドランが登場しました。ワラガシラは速攻でノックダウンです、ざまあですね。ドランは今までもたまーに登場していますが、台詞はなしです。だって、面倒くさいですから。だったらなんでそんな設定にしたんだよ、って感じでしょうが……だってまさか、使っている途中で機能が変化するなんて、思わないじゃないですか……。まあそんな事はさて置き、次回はムントとルースの二人がドランとバトります。ちなみにこの二人の組み合わせに深い意味はないです。ただ、ボーマンダとオノノクス、そしてドラードンと三体のドラゴンポケモンが揃っていたからというだけです。では、次回もお楽しみに。