二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 291章 瓦礫 ( No.336 )
- 日時: 2011/10/17 23:12
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
崩れ行くビルの中、フレイ、フォレスを初めとするプラズマ団達は、ドランのドラードンに乗り込んだ。どうやらあれに乗って逃げるつもりらしい。
「くっ、逃がすか——」
イリスは駆け出す。しかし
【『ドラードン』、『ハリケーン』】
ドラードンは激しい風……もはや災害となんら変わりない威力の暴風を放ち、イリス達を足止めする。
イリス達は踏ん張って、飛ばされないようにするだけで精一杯だ。
風が止むと、ドラードンはまだ見えるも、結構遠くに行ってしまっていた。
「ヤバイ……早く追わないと!」
皆一様に駆け出し、外に出る。
すると、新たな悲劇が待ち構えていた。
「な……」
「凄い数だな……」
「よく今まで気付かなかったね……」
そこには、百人は超えるだろう、夥しい数のプラズマ団がいた。下っ端なのだろうが、これだけの数を全て倒すのは時間が掛かる。しかしだからと言って、野放しにするわけにもいかない。
「ここは、空を飛べるポケモンを持っている者は、飛んでプラズマ団を追おう」
キリハはそう言いつつ、羽馬ポケモンのペガーンを出し、その背に跨る。
「分かった。出て来て、ドラードン!」
そしてリオも、先ほどのドランのドラードンに匹敵するほど巨大なドラードンを出す。
ドラードンはあまりにも大き過ぎるので、まずはキリハのペガーンに乗り、そこからドラードンに乗り込む。
「俺は雑魚処理かよ……まあいい。行ってこい、エレキブル!」
「居残り組みは悲しいね、サンダース」
ザキはエレキブルを出し、アキラもサンダースに構えさせる。
「それじゃ僕も……デンリュウ!」
イリスも下っ端を殲滅すべく、デンリュウを繰り出す。そしていざ戦おう、とその時
「師匠、私も戦います」
ミキがいつの間にかイリスの側にいて、ボールを構えていた。
「いや、ミキちゃんはプラズマ団を追ってくれ。君は確か、飛行タイプのゴルドーがいたはずだ、僕のリーテイルは進化して間もないから長時間は飛べない。あの二人のことだから大事にはならないだろうけど、戦力は大いに越した事はない」
「でもそれを言ったら師匠達だって——」
「向こうは一分一秒が惜しい状況なんだ。こっちは時間さえ掛ければ倒せる。だから行くんだ」
イリスは強く、念を押すように言った。
するとミキも師匠の言葉だからか素直に聞き入れ、ゴルドーを出し、その足に掴まる。
「それじゃあ師匠、頑張ってください」
「ああ、そっちもね」
そしてミキは飛び立ち、離れ、遠くなっていく。
そしてイリスは、まさか本当にミキが遠くへ行くとは、思いもしなかったのである。
「エレキブル、ギガスパーク!」
「サンダース、ランチェーレ!」
「デンリュウ、メガショック!」
エレキブルが巨大な電撃の球を放ち、サンダースが全身の針を鋭く伸ばして突撃し、デンリュウが強力な電撃を流して、敵は全滅した。
「ふぅ……結構逃げられたけど、とりあえずは全員倒しましたか」
「ああ……それにしても、ヒウン支部、滅茶苦茶になったな。もはや瓦礫の山だぜ」
「明日にでも報道されるでしょうね」
イリスとザキが、崩れ去って跡形もなくなったPDOヒウン支部を見ながらそんな会話をしていると、アキラが割り込んできた。
「そういえば、あの小さな可愛い女の子がいないけど」
「小さな可愛い女の子? ……ミキちゃんなら、プラズマ団を追いましたが」
「違う違う。あのこげ茶色の、ポニーテールの子。ちょっと小生意気な」
「こげ茶のポニーテール……あ!」
そこでイリスは思い出した。
まだイリゼが、この場にいないことに。
「父さん!」
イリスは瓦礫の山に向かって走る。すると
ドォン!という爆発音のようなものが聞こえ、瓦礫の山に穴が開く。そしてその穴から、一人の人物が這い出てきた。
「あー……死ぬかと思ったぜ……」
出て来たのは、イリゼだ。
「父さん、無事だったのか!ゴメン、正直今の今まで忘れてた!」
イリスがそういいながらイリゼに駆け寄ると
「この……親不孝者が!」
ベキッ。
イリスは顎に見事なアッパーカットを決められた。
「うぅ……いや、本当にゴメン。……それにしても、よく助かったね」
「まあ、こいつがいたからな」
イリゼがそう言って、穴から何かが出て来た。
それはポケモンのようで、遮光器土偶のような姿をし、頭にはぐるりと一周、赤い目玉が八つ付いている。
土偶ポケモン、ネンドール。地面・エスパータイプのポケモンだ。
「ビルが崩れた時、咄嗟にこいつを出してリフレクターを張ったんだ。なんとかそれで一時は凌いだんだが、そこから脱出するには一旦リフレクターを解かなくちゃならなくてな……まあ、色々大変だったんだ」
本当に、大変だったようだ。最早生きていることが奇跡のようである。
とイリゼの生存を噛み締めていると、空からキリハとペガーン、リオとドラードンが降りてきた。向こうの追跡も終わったらしい。
「キリハさん、リオさん。水晶は?」
「……すまない、取り逃がしてしまった」
キリハの表情は、とても重苦しかった。キリハだけじゃない、リオもだ。
その表情は、ただ失敗しただけには見えない。もっと大きな、とんでもない失態を犯したようだった。
「……あれ? あのピンク髪の可愛い子は?」
アキラが言う。ピンク髪ということは、十中八九ミキのことだろう。
イリスはあたりをざっと見回すが、ミキの姿は見えない。
そしてイリスは、最悪の、絶対に起きて欲しくない事態を、想定してしまう。
「……もう一つ、すまない」
不意に、キリハがそう切り出した。
イリスの嫌な予感はどんどん募っていく。
しかしイリスは意を決し、キリハ達に尋ねる。
「あの、キリハさん、リオさん……ミキちゃんは……?」
二人はしばしの沈黙の後、リオが口を開いた。
「ミキちゃんは奴らに……プラズマ団に——」
そしてその最後の一言だけは、聞きたくなかった。
「攫われたの」
さて、今回は生き埋めになったイリゼが生還、しかしPDOヒウン支部は崩壊、そして……ミキが誘拐されました。確か八幕でエレクトロが少女誘拐犯になろうとしていましたが、まあそんな感じですね。さてその経緯は次回明かします。次回をお楽しみに。