二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 293章 イリスvsシバ ( No.340 )
日時: 2011/10/18 01:19
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

ネジ山。
もうすぐ冬だが、まだ雪は積もらないこの鉱山で、イリスはプラズマ団のアジトを探していた。
だが、正直イリスはそれどころではなかった。
残って戦うと言ったミキを送り出したのは、紛れも無い自分。
そして一緒についていく事もしなかったも、紛れも無く自分。
さらに、プラズマ団がミキを狙っているというのも一番よく知っていたのも、自分だ。
自己嫌悪。
イリスの心の中を満たすのは、それだけだった。
「くっそ……!」
ザキも相当だったが、こっちもこっちで重症である。
「何が師匠だよ、弟子も守れないでそんな称号を持つ資格なんてないっての……!」
ネジ山の硬い岩肌に拳を打ちつけるイリス。
と、その時。
頭上の岩穴から、音が聞こえてくる。何かを砕くような音。
イリスはもしかしたらプラズマ団のアジトかもしれないと淡い希望を持ち、素手で岩肌をよじ登る。
そして普通なら雪が積もらないといけない岩穴の中を覗きこむと、淡い希望はあえなく潰えた。
そこにいたのは、一人の男だった。
肌寒いこの気候で上半身裸、下は道着のようだ。黒く長めの髪の毛は、後ろで一つに括られている。
男は相当鍛えているのか、筋肉質で、素手で岩を砕いていた。
鍛錬の最中だろうか。
「ふぅ……む?」
男はイリスの存在に気付き、振り返る。
「誰だ」
「あ、えっと……」
イリスはしどろもどろになっている。いつもならサラッと言葉が出てくるが、今はどうしてかなかなか出ない。
「トレーナーか……ふむ、丁度いいな」
男はイリスの側へと歩み寄る。相当大きな男だ。背は高いというより巨大。山のような男である。
「俺の名はシバ。己を鍛えるためにイッシュにいるのだが、なかなか良いトレーナーが見つからなくてな。お前なら、良い特訓相手になりそうだ」
男、シバはそう言うが、イリスは今、そんな気分ではなかった。
「すいません、今はちょっと、そういう気分では……」
「……何か思い悩んでいるようだな」
シバはピシャリと言う。
「ならばその悩み、バトルで解決すればよい。ポケモンバトルは万能だ。どのような悩みも、大抵は解決に導いてくれる」
そうなのだろうか。仮にそうだとしても、自分の悩みはそうやって解決できるのだろうか。イリスはそう思った。
「いや、でも……」
「ウー!ハーッ!行け、エビワラー!」
シバはいきなりポケモンを繰り出した。
それはボクサーのような姿をしたパンチポケモン、エビワラー。格闘タイプのポケモンだ。
「問答無用か……!しょうがない。出て来い、デンリュウ!」
イリスが繰り出すのは、電気タイプのデンリュウだ。このチョイスに深い意味はない。
逆に言えば、何も考えずにポケモンを出してしまうほど、イリスは思い悩んでいるという事だ。
「行くぞエビワラー。バレットパンチ!」
エビワラーは弾丸のようなスピードでデンリュウに接近すると、高速の拳を叩き込んだ。
「デンリュウ、怯むな!炎のパンチ!」
デンリュウも拳を握り、炎を灯してエビワラーに殴りかかるが、エビワラーはサッと体を横にずらし、その一撃をかわす。
「パンチポケモンのエビワラーに、拳の攻撃は通用せんぞ。エビワラー、冷凍パンチ!」
エビワラーは拳に冷気を纏わせ、デンリュウを殴り飛ばす。
「サイコパンチ!」
次に念動力を込め、素早く撃ち出してデンリュウを追撃。
「バレットパンチだ!」
最後に弾丸の如きスピードで急接近し、追い討ちを掛ける。
恐るべきパンチングスピードだ。
「くっ、デンリュウ、メガショック!」
デンリュウはバチバチと弾ける電撃を放ち、エビワラーを攻撃。しかしエビワラーはそこまで効いていないのか、結構平然としている。
「特防が高いのか……? だったらこれだ。アイアンテール!」
デンリュウは尻尾を鋼鉄のように硬化させ、勢いをつけてエビワラーに叩きつけようとするが

「エビワラー、気合パンチ!」

エビワラーはアイアンテールを余裕でかわし、拳に最大限の気合を込めてデンリュウを殴り飛ばす。
「デンリュウ!」
デンリュウは岩肌に体を打ちつけ、大ダメージを負ったものの、なんとか戦闘不能は免れた。
「攻撃は全部パンチか……でも一瞬で接近するバレットパンチや、遠距離からも攻撃できるサイコパンチもあるし……強敵だな」
デンリュウは起き上がり、構える。
「デンリュウ、パワージェム!」
デンリュウは煌く宝石を無数に発射する。
「エビワラー、バレットパンチ!」
エビワラーは襲い掛かる宝石を全て、弾丸のような速度のジャブで粉砕した。
「サイコパンチ!」
そして念動力による右ストレートロケットパンチが、デンリュウを襲う。
「ぐっ、デンリュウ……」
「冷凍パンチ!」
エビワラーは素早くデンリュウに接近し、冷気を纏った左ボディーブローがデンリュウの体に叩き込まれる。
「気合パンチ!」
そして決めの、右ストレート。それがデンリュウの顔面に直撃し、デンリュウを吹っ飛ばす。
「デンリュウ!」
吹っ飛ばされたデンリュウは流石に気合パンチは耐え切れなかったようで、目を回して戦闘不能になっていた。
「戻れ、デンリュウ」
イリスはデンリュウをボールに戻す。
「どうした。お前の力はこの程度か」
シバは挑発でなく、本心で言っているかのように言う。
「……だったら、もっと凄いのを見せてあげますよ。出て来い、フローゼル!」
イリスの二番手は、海イタチポケモンのフローゼルだ。
それを見るなりシバは、思い出したように叫ぶ。
「さて、ここからが本番。俺達のハイパーパワー、得とその身に感じるがいい!」



さて、今回はイリス対シバです。その幕の区切れごとに、今まで各地方のジムリーダー戦をやっていましたが、今度は四天王戦です。最初のお相手は格闘使い、シバです。正直、シバってあんまり記憶に残ってないんですよね。精々覚えていて手持ちと順番くらいですね。彼は金銀版(はたまたHH、SS)で唯一留任している四天王なんですよね。まあシバの話はこの辺にして。次回もイリス対シバです。次はキックの達人が登場するかもです。お楽しみに。