二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 299章 視点 ( No.346 )
日時: 2011/10/19 23:16
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「レディバル、攻撃指令!」
レディバルは無数の天道虫を呼び出し、エルレイドを襲わせ、さらに自分も前へと出る。
「またか……!」
正直この攻撃、かなり厄介だ。威力が高いだけでなく、こちらの急所を狙ってきたり、さらに避け難い。そんな多角的に襲い掛かる攻撃は、エルレイドからしたら非常に厄介なのだ。
「にしても、この天道虫はどこから——」
とそこで、イリスはふと思い至った。
もしかしたら、攻撃指令を破れるかもしれない、秘策を。
「……でもそれにはまず、こっちをどうにかしないとな」
イリスは向かい来る天道虫とレディバルを見て、エルレイドに指示を出す。
「エルレイド、とにかくサイコカッターを撃ちまくれ!」
エルレイドは両肘の刃に念動力を込め、目にも止まらぬスピードでその刃を連続で飛ばす。
放たれた刃は天道虫を切り裂くのは勿論、レディバルにも飛んでいく。
「効かん!雷パンチ!」
レディバルは拳に電撃を纏わせ、飛来する念動力の刃を相殺する。
「エルレイド、アイスブレード!」
エルレイドは刃を氷結させ——さらに通常よりも強力な冷気を纏わせ、群がる天道虫を切り裂く。
いや、天道虫だけではない。周りの地面や岩肌ごと切り裂き、凍結させている。
「エルレイド、逃げ回りながらアイスブレード!」
エルレイドは一箇所に留まらず、動き回って刃を振るい、襲い来る天道虫を切り裂いていく。
「そんなことで、レディバルの攻撃指令から逃れられると思うな。レディバル、攻撃指令!」
レディバルは攻撃用の天道虫を追加し、エルレイドへと向かわせる。
「エルレイド、とにかくアイスブレードだ!」
エルレイドは頑なに技を変更せず、天道虫達を氷結した刃で切り裂き、凍結させていく。さらにその影響か、周りもどんどん凍っている。
「攻撃指令!」
天道虫の数が減ってきたら、攻撃指令でどんどん追加していくレディバル。
しかしエルレイドはどんなに追加しようとも、片っ端から次々と切り裂いていく。
そして
「レディバル、攻撃指令!」
「エルレイド、アイスブレード!」
レディバルが使役する天道虫達を、刃の一振りで一掃し終えたエルレイドは、レディバルを見据える。
「サイコカッター!」
そして念動力を刃に纏わせ、高速で飛ばす。
だがレディバルは
「防御指令!」
防御用の天道虫を呼び出して盾を作り、サイコカッターを防御する……はずだった。

しかし、天道虫はほとんど現れなかった。

「何ッ……!?」
集まったのは指で数えられるほどの数で、その程度ではエルレイドのサイコカッターは防げない。なのでレディバルは、サイコカッターの直撃で切り裂かれた。
「くっ……一体、何が——」
「簡単なことです」
イリスが言う。
「天道虫は近くの岩場から這い出して、レディバルの下に集まる。だったら当たり一帯を凍らせてしまえば、指令技を防ぐことは可能です」
今まで攻撃一辺倒になっていたため気付かなかったが、フィールドはエルレイドのアイスブレードにより、見事に氷漬けにされていた。
「天道虫はどこから出てきてるのか、と視点を変えて考えた結果です。……では、そろそろ仕上げ、行きますよ」
エルレイドは、刃を構える。
「エルレイド、リーフブレード!」
「レディバル、雷パンチ!」
エルレイドは刃に草木の力を宿して斬り掛かり、レディバルは拳に電撃を纏わせて殴りかかる。
しかし天道虫による援護がないレディバルの拳は大した事がなく、エルレイドは素早く懐に潜り込んで腹部を切り裂く。
「追加だ、ドレインパンチ!」
さらにエルレイドは拳を淡く発光させ、レディバルに強烈なアッパーカットを叩き込む。
レディバルは大きく吹っ飛ばされて宙を舞うが、浮遊する足場に乗り、体勢を立て直す。
「むぅ……まさか俺のレディバルがここまで追い詰められるとはな。あまり時間を掛けては、逆にやられるだけか……そのエルレイドも、かなり疲弊しているだろうし、ここは最大の力で決めに掛かる」
シバは拳を地面に打ちつけ、気合を出す。
「行け、レディバル!インファイト!」
「エルレイド、迎え撃て!サイコカッター!」
レディバルは上空から拳を構えて急降下し、エルレイドは両肘の刃に念動力を込めて構える。
レディバルは残像が見えるほどの超高速で拳や蹴りを繰り出すが、エルレイドも負けず劣らずのスピードで二つの刃を振るい、レディバルの攻撃を相殺する。
「レディバル!」
「エルレイド!」
そしてレディバルとエルレイドの最後の一撃がぶつかり合い、互いの体が流れる。
「そこだ、エルレイド!」
その決定的な好機をイリスは見逃さず、エルレイドは返す刀で刃を振るい、レディバルの背中を切り裂く。
そしてレディバルは、その場に崩れ落ちた。



「視点を変える。それだけで人の行く道も変わる。悪い事があれば、悪い事を解決する事でより良くなると考える。それが大事なのだ……か」
イリスはシバとのバトルを終えると、ネジ山を出てセッカシティに来ていた。
「それなら試練とは言わずとも、そしてミキちゃんには悪いけど、彼女が攫われた事で奴らを倒す明確な理由ができた、とでも考えようか」
ピリリリリ
と、イリスのライブキャスターが鳴った。イリスは慣れた手つきで通話ボタンを押すと、画面が表示され、キリハの顔が見える。
『イリス君、あまり時間がないから手短に伝えるよ。プラズマ団の拠点だが、本当にあった。ガセじゃない。今日はとりあえず休んで、明日、カノコタウンの側にある海に集合してくれ。僕とリオは、P2ラボ周辺で待機しているから、なるべく早く来てくれ。頼んだよ』
「了解です」
と言って、イリスは通話を切る。
「……アジトは本物。ってことは、誘ってるのか……いや、別に何でもいいか」
イリスは今日はもう休もうと、ポケモンセンターの宿舎に向かう。
「罠でも何でも、一度嵌まるのも一興だ」



さて、遂にイリス対シバ、決着しました。エルレイドはフィールドを凍らせる事でレディバルの指令技を封じたのです。え?外から出て来ないのかって?……まあそこは気にせず。次回は待ちに待った(?)十一幕。ミキ奪還のためにプラズマ団の拠点、P2ラボへと乗り込みます。ではでは、次回もお楽しみに。