二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 300章 宣戦 ( No.348 )
- 日時: 2011/10/20 22:39
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
プラズマ団の根城、P2ラボ。
イリス達は囚われのミキを救うべく、そのプラズマ団の拠点を目指す。
集まった精鋭はイリス、イリゼ、ザキ、チェレン、ベル、トネール、ルース、アキラとここにはいないがリオとキリハ、そして
「シルラでーす。よろしくね」
ザキが連れてきた戦力の一端、シルラ。
その計11名のうち9名が、今からP2ラボへと殴り込む。
「……そんじゃ、簡単な自己紹介も終わったことだ。サッサとボートに乗り込め」
ザキは、カノコタウンの側の海に浮かべているボートに皆を乗せる。
ボートの数は全部で三つだが、使用するのはそのうちの二つ。そこに四、五人ずつ……イリス、イリゼ、ザキ、シルラのパーティと、チェレン、ベル、トネール、ルース、アキラのパーティの二つに分け、時間差で向かう事となった。
最初に出発したのはチェレン達が乗っているボート。そして一時間後に、イリス達が乗っているボートも出発した。
一番道路には(イリス達も知らなかった)陸地があるのだが、今回そこはスルー。岩が密集している所をやや無理矢理突っ切ってショートカットする。
そして17番水道に出て、海流の流れに乗って離島のようになっている18番道路の近くまで来た。ここまでの所要時間、約一時間。
「さてと、チェレン達は今頃P2ラボに着いてるか……僕達も、浜辺に沿って進んで、海流がある所まで行きましょうか。そうすれば流れに乗って、奴らの拠点まですぐです」
「うるせえよ。てめえに言われなくとも、そんくらい分かってる」
ザキは苛立っているのがよく分かる声で、イリスにそう返す。
まあ、無理もないだろう。実の妹であるミキが攫われたのだ。兄として、後悔や報復心もあるだろう。
急くザキに合わせるわけではないが、イリスはエンジンを回して早く目的地に向かおうとする。
しかしそこで、問題が起きた。
バキィと、ボートが真っ二つに割れた。
「うわっ……!」
イリス達はあまりにもいきなりだったので、全く対応できず、17番水道の海流に飲まれていく。
「ぐ……出て来い、フローゼル!」
イリスは素早くボールを開き、フローゼルを出す。
フローゼルは人命救助を行うポケモンでもあり、以前イリスを助けたこともある。
「フローゼル、とりあえず皆を!」
フローゼルは少しだけ渋ったが、もがくイリスを置いて他の者の救助に向かう。
「くっ……うわっ!」
とそこで、イリスに大波が押し寄せ、思い切り流された。
そこで、イリスの意識は途絶える。
気がついた時には、イリスは浜辺で横たわっていた。
ガバリと起き上がり、周りを確認する。
見えるのは果てしなく続く海と、後方に生い茂る自然、それと人工の物と思われる橋。
「ここは、18番道路……ってことは、そんなに流されたわけでもないのか。……いやでも、あの海流に乗ったら間違いなくカノコタウン側に押し戻されていたはず……まさか大波一つでここまで流されたなんてことはないだろうし、じゃあ僕はどうして——」
「お姉さんが助けてあげたんだよ」
ふと、イリスに影が差す。
咄嗟にイリスは顔を上げると、そこには一人の女性……と言っても、まだ成人はしていないよう。
というか、凄い格好をしている。
もう冬真っ盛りだというのに水着、それもビキニ。一応パーカーとオーバーオールを羽織ってはいるようだが、どう考えてもこの季節ではありえない。
……寒稽古?
「……あなたは?」
「お姉さんはユキナっていうの☆よろしくね、坊や」
グサリと、イリスの体に何か見えないものが突き刺さった。
「坊や……」
イリスは思考的にも感情的にも、その歳にしてはやや大人びている。なので率直に坊やと言われて、少し傷ついているようだ。
「えっと……僕を助けてくれたそうで、ありがとうございます」
「いいって、気にしないで☆」
ユキナはグッと親指を立てて言う。
「それから……他に四人、僕より年上の男の人と、年下の女の子と、同じくらいの女の子を見ませんでした?」
年上の男の人=ザキ
年下の女の子=イリゼ
同じくらいの女の子=シルラ
念のため。
「んん? ……いやあ、見てないなぁ……お姉さんもたまたま遊泳してたら坊やが流れてきただけだし☆」
「はぁ……そうですか」
イリスは一瞬最悪の事態がよぎるが、フローゼルが向かったのだから大丈夫だと、自分に言い聞かせる。
「……でも困ったなぁ。どうやってP2ラボに行こうか……ボートはない、フローゼルもいない。それに、皆とも合流しなきゃいけないし——」
イリスが今後の事に思考を巡らせていると、不意に、また影が差した。
しかし今度の影は、味方ではない。
「ケヒャハハハ!こりゃあたまげた。まさかあの海流に流されて助かるなんて。流石英雄、運がいいな」
現れたのは、ジバコイルに乗った7Pアシド。
高らかに笑いながらの登場だ。
「大方お前達は、僕達の拠点を潰しに来たんだろうが、まさか本当に来るとは思わなかったぜ。普通は罠とかガセとか考えるだろ」
もっともな意見だが、イリス達はそれを承知の上で、そして下調べした上でここに来ているのだ。
「……もしかして、僕らのボートが真っ二つに割れたのって」
「おお? やっぱ気付いたか。そうさ、お前らを海に突き落としたのは他でもない、この僕さ。……ダンカンス!」
アシドが大声でポケモンの名を呼ぶと、そのポケモンは海中より現れた。
体に不釣合いなほど大きな頭を持つポケモン、ダンカンス。
以前イリスが溺れた時も、このダンカンスが水中からボートを叩き割っていた。
「ケヒャハハハ!いやあ、まさかこんなに上手く事が運ぶなんて思ってもみなかったよ。さあて、こっから先は、僕の独壇場。ここで骨の髄まで——」
「ねえねえ、何の話? お姉さんにも教えて☆」
アシドの台詞の最中、ユキナは空気を読まずに割り込んできた。
アシドは自分の台詞が中断されたためか、さっきまでの機嫌の良さは消し飛び、途端に不機嫌な顔になる。
「うるせえよ。この僕、アシド様が喋ってる時に割り込んでくるな。オバサン」
ブチィ!
と、何かが切れる音が聞こえた。
「誰がオバサンだって……このヘタレ!」
「なっ……!? この僕が……ヘタレだって……?」
アシドの顔が、みるみる赤く染まっていく。
「このグレイトデジーニアスなアシド様がヘタレだと……いいだろう、その言葉、この僕に対する宣戦布告だと受け取ってやる!すぐにお前を捕縛して、濃硫酸に浸してホルマリン漬けにしてやるからな!」
「やれるものなら!」
言ってユキナはボールを取り出す。
なにはともあれ、ユキナvsアシド、プラズマ団との初戦は、この二人である。
今回は本編が長いので、あとがきは短めに。えーとりあえず、パーセンターさんとプッツンプリンさんのオリキャラ、シルラとユキナの登場です。シルラはまだ一言ぐらいしか喋っていないですが、ユキナはアシドとのバトルフラグ。キャラ崩壊などの不備があればお申し付けください。では次回は二人のバトルということで、お楽しみに。