二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 323章 失策 ( No.382 )
日時: 2011/10/25 16:15
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「では、第二戦に移りましょうか」
レイは先ほどまで戦っていたテッカニンをボールに戻し、言う。
「そうだな」
ザキも倒れたヘルガーをボールに戻しつつ返す。
そして両者、次のボールを構えた。
「お出でなさい、ヨノワール!」
「行ってこい、エレキブル!」
レイが繰り出したのは、頭に黄色いアンテナ、腹には大きな口がある手掴みポケモン、ヨノワール。
ザキが繰り出すのは、黄色と黒の体躯、背部から二本の触手が伸びる雷電ポケモン、エレキブル。
「エレキブル、グランボールダ!」
またも先に動いたのは、ザキのエレキブル。エレキブルは無数の岩石を浮かべ、ヨノワールを包囲するように放つ。
「ヨノワール、サイコキネシス」
だがヨノワールはその襲い来る岩石を、強力な念動力で止めた。
「このような物はいりませんので、お返しします」
そしてそのまま無数の岩石を、エレキブルに向けて飛ばす。
「ちっ、エレキブル、アイアンテールで打ち落とせ!」
エレキブルは硬化させた二本の触手を鞭のように振るって飛来する岩石を砕いていくが、何発かは喰らってしまう。
「ヨノワール、鬼火です」
ヨノワールは青白い不気味な火の玉を無数に浮かべ、エレキブルへと放つ。
「エレキブル、まとめてぶっ飛ばすぞ!ギガスパーク!」
エレキブルは巨大な電撃の球体を作り出し、それを放って鬼火を次々と打ち消していき、最後にはヨノワールをも巻き込む。
「今だ、ウッドハンマー!」
エレキブルは電撃がスパークする中、ヨノワールに接近。樹木の力を込めた拳を鉄槌のように振りかぶり、ヨノワールに叩き込むが
「ヨノワール、喰らいつく!」
ヨノワールはその一撃では怯まず、腹の口でエレキブルに齧り付いた。
「くっ、ウッドハンマー!」
エレキブルは引き剥がそうとしたのだろう、樹木の力を込めた鉄槌を振り下ろすが、堅いヨノワールはその程度では拘束を解いたりはしない。
「鬼火!」
ヨノワールは腹の口から鬼火を放ち、喰らいついているエレキブルの腹を、間近で焼く。
エレキブルもこの攻撃には堪えるのか、苦しそうに呻く。
「ヨノワール、雷パンチ!」
レイとヨノワールは調子付いてきたのだろう、拳に電撃を纏わせてエレキブルを殴る。
だがそれは、レイにしてはつまらない失策だった。
「エレキブル、アイアンテール!」
エレキブルの硬化された二本の触手がヨノワールに叩き込まれる。すると遂にヨノワールは拘束を解き、エレキブルは解放された。
そして
「ウッドハンマー!」

エレキブルは、レイの視界から消えた。

「え……?」
レイが困惑する中、エレキブルはいつの間にかヨノワールの背後に回っており、樹木の鉄槌を振り下ろす。
「い、今のは……」
「特性、電気エンジンだ」
ザキは、困惑するレイに言う。
「電気エンジンは、電気技を受けると素早さが上がる特性……ったく、まさかそんなことも知らねえとはな……呆れたもんだ」
ザキが言うと、エレキブルはいつの間にかヨノワールから距離を取っていた。これも電気エンジンの効果だろう。
「……まさかの失策でしたね。わたしが、こんな初歩的なミスをするとは」
レイはさほど悔しがらず、かと言って落胆もせず、淡々と答える。
「今日は調子が良いですから、もう少し付き合ってあげましょうか」
レイは、余裕の笑みを浮かべて言った。



「ネクロシア、シャドークロー!」
「ワラガシラ、シャドークロー!」
ムント対ドランの一対一のシングルバトル。
ネクロシアの影の爪と、ワラガシラの影の爪がぶつかり合う。
「炎のパンチ!」
ワラガシラの炎の拳がネクロシアを捉えるが
「アイスブレード!」
ネクロシアの氷結した鋭い鎌も、ワラガシラを切り裂く。
両ポケモンとも一歩退き、睨み合う。
「そろそろ、そのネクロシアも体力が尽きてきたんじゃない?」
「それを言うなら、お前のワラガシラもだろう」
「まーそうだねー……そろそろ、決着かな」
ドランはフッと笑った(ような気がした。表情が見えないため不明)。
「ワラガシラ、シャドークロー!」
ワラガシラは掌の黄色い部分から棘のような影の爪を作り出し、突き刺すつもりでネクロシアへと突き出す。
「ネクロシア、シャドークロー!」
ネクロシアもその爪に対し、両手に作り出した影の爪を操って絡め取り、動きを封じた。
「辻斬り!」
そしてその場で一回転し、ワラガシラの急所を切り裂く。効果抜群でもあるので、相当なダメージだろう。
「ワラガシラ、やられっぱなしじゃあダメだよ。ニードルアーム!」
「クロスチョップだ!」
ワラガシラは両腕にびっしりと棘を生やし、ネクロシアに叩きつけようとするが、ネクロシアは交差させた手刀を振り下ろしてワラガシラの両腕を弾き飛ばす。
「アイスブレード!」
そしてその隙に、ワラガシラを氷結した鎌で切り裂く。
「うーん……そろそろワラガシラも限界っぽいなぁ……よし、ならワラガシラ、最後はパーッと、派手に終わらせようか!」
ドランは見た目に反して熱い口調で叫ぶように言い、そして

「ギガスパーク!」

ワラガシラは今までで一番大きな電撃の球体を頭上に作り出す。その大きさは徐々に大きくなっていき、膨張していく。
大きさが臨界点に達すると、ワラガシラは振り上げていた両手を勢いよく振り下ろし、ネクロシアへと放つ。
バチバチバチ!と耳をつんざくような、雷鳴が轟くような轟音を響かせながら、電撃がスパークする。
果たして、ネクロシアは——

「ネクロシア、辻斬り!」

——まだ、生存していた。
ネクロシアは弾ける電撃の中を突っ切り、ワラガシラに急接近。そして下半身の鋭い鎌を振るい、ワラガシラを切り裂いた。
その姿はまるで、魂を狩る死神のよう……



今回は前半にザキ対レイのバトル。レイは調子に乗ってエレキブルに雷パンチを当ててしまいますが、結構余裕です。まあ、一応序列四位ですからね、腕には相当自信があるのでしょう。後半はムントとドランのバトル。ワラガシラは最後には、ネクロシアによって魂を狩られました……比喩ですけどね。さて今回でひとまずムントとドランのバトルは終了。次回はイリスとフォレスのバトルとかをやったりして、そろそろこの第十一幕にも幕を引きましょう。では、次回もお楽しみに。