二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 324章 機敏 ( No.383 )
- 日時: 2011/10/26 23:58
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「ちっ、いくら俺の手持ちで最も弱いとはいえ、解放状態でのコクジャクがやられるとはな……」
フォレスはコクジャクをボールに戻しながら、愚痴るように言う。
「まーでも、最初のズルズキン、次のメタゲラス、最後のデンチュラで、6タイプ入手できた……おっと、ドランが戦ってる野郎のポケモンを合わせれば、さらに2タイプ。計8タイプか」
そういえば、イリスはそのことを完全に忘れていた。カセットを作るのに足りないタイプは13だと言っていたから、これで残りは5タイプ。
「さーて、どうするかな。このままバトルを継続させるか、それとも——」
とフォレスが思案していると、フォレスの無線機に通信が入った。
「誰からだ……? 何だ」
『フォレス、聞こえるー?』
声の主は、7Pのフレイだった。
「フレイか。どうした?」
『えっと、報告かなー? もし誰かと交戦中なら、そのバトルを早めに切り上げて戻れって、ゲーチスがー』
フォレスはやや怪訝そうに眉を寄せるが、そうか、とだけ返し、通信を切断する。
「さてと、俺達は撤退するが、お前達はどうするよ」
「……追えるものならおいたいところだけど、残念なことに今回、僕らの目的は仲間の救出だ。だからそっちを優先させる」
「あっそ……おーい、ドラン!」
フォレスはイリスに言葉を適当に返すと、今し方バトルを終えたドランを呼ぶ。
「ドラドーンを出せ!撤退だ!」
「りょうかーい」
ドランは子供っぽく言うと、新たなボールを取り出し、天空に向かって投げる。
出て来たのは、見るものを圧倒するほど巨大な神龍ポケモン、ドラドーンだ。
初めにドランが、次にフォレスが、そのポケモンに素早く乗り込む。
「じゃあな英雄ども!俺達はこの辺でお暇するぜ!」
「ばいばーい」
そしてフォレスとドランは、空の彼方へと消えていった。
場所は変わり、最終ラウンド。ザキ対レイ。
「エレキブル、ウッドハンマー!」
エレキブルは電気エンジンによる加速も合わせ、ヨノワールに樹木の鉄槌を叩き込む。火傷で攻撃力が下がっているとは思えない威力だ。
「ヨノワール、喰らいつく!」
ヨノワールは接近してきたエレキブルに、腹の口で喰らいつこうとするが
「かわしてグランボールダ!」
エレキブルはそのずんぐりとした体にしては機敏な動きでヨノワールの攻撃を避ける。そして空中に無数の岩石を浮かべ、ヨノワールを包囲するようにして放つ。
「くっ、ヨノワール、サイコキネシスで抜け出しなさい!」
ヨノワールは岩石の塊に閉じ込められてしまい、念動力で砕こうにも力が足りない。ヨノワールは防御能力は高いが、攻撃能力は低いのだ。
「エレキブル、アイアンテール!」
エレキブルは背部から伸びる二本の触手を鋼鉄のように硬化させ、ヨノワールを幽閉した岩石の塊に叩きつけ、砕き散らしてヨノワールを吹っ飛ばす。
「これで終わりだ、ギガスパーク!」
エレキブルは両手と触手を天に向け、全身の電気を一点に集中させる。
電気は一つの球体となり、その大きさは次第に巨大化していく。
「あれは避けられないですね……ヨノワール、防御しますよ!鬼火とサイコキネシス!」
ヨノワールは青白い鬼火を放ち、それをサイコキネシスで操って密集させ、盾のようにする。
これはその昔、イリスのデスカーンが使っていた戦法だ。
「やれ、エレキブル!」
エレキブルは最大まで巨大化した電撃の球を放つ。球は鬼火の壁にぶち当たり、止まる事無く突き進む。
そしてヨノワールを捉えた。ヨノワールは激しい電撃を浴びて全身を痺れさせ、電気が消えると地面に伏した。
「……戻りなさい、ヨノワール」
レイは戦闘不能となったヨノワールをボールに戻す。
「戻れ、エレキブル」
そしてザキも、エレキブルをボールに戻した。
「今のところは互いに一勝一敗。正直わたくしとしては、解放状態でここまで押されるとは思いもしませんでした」
レイは特に驚いた風もなく、淡々と言う。
「ですがそれも、次の一戦で決まりますけどね。さあ、始めましょうか、最後のバトルを」
レイはそう言いながら、ボールを構える。
「……ごちゃごちゃとうるせえなぁ……」
ザキは心底レイのことが鬱陶しいとでも言うように、ボールを構えた。
「お出でなさい、ヤミクラゲ!」
「行ってこい、テペトラー!」
レイが繰り出したのは、目が退化したクラゲポケモン、ヤミクラゲ。
ザキが繰り出すのは、鋭い眼光を持つ河童ポケモン、テペトラー。
どちらも水タイプだが、格闘タイプを持つテペトラーの方が、悪タイプを持つヤミクラゲに有利だ。
「……ここは報告にあった例のブーバーンが来ると読んでいたのですが……外れてしまいましたか」
「当たり前だ。お前如きに、俺の考えが読めるものか」
暴君舐めんな、と最後にザキは付け足すように呟く。
「……まあ、相手が誰であろうと何であろうと、わたくしのポケモンはそう簡単には倒せませんけどね」
「ほざけ。てめえのポケモンなんざ、速攻でぶっ飛ばしてやんよ」
レイとヤミクラゲ、ザキとテペトラーは、それぞれ構えた。
ザキ対レイ。このP2ラボでの戦いの最終楽章が、今始まる。
さて、前回のイリスのとフォレスのバトルを〜とか言いましたが、ごめんなさい、この二人のバトルは終了させる方向にしました。フォレスはドランとともに去っていきます。ちなみに、他の人達(一部除く)も撤退しています。今回は前半が短く後半が長いです。後半はザキとレイのバトルの続きです。結局、ヨノワールはエレキブルにやられてしまいました。まあ、あれはゲームで言うコマンドミスですね。さて、次回は久しぶりに一章丸々使って二人のバトルを書きつつ、この戦いを終結させようと思います。ではでは、次回もお楽しみに。