二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 326章 奇遇 ( No.393 )
日時: 2011/10/26 15:49
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「どうやら、丁度いいタイミングで終わったようですね」
ザキとレイのバトルが終了した直後、戦いで脆くなっていた壁に止めを刺すかのように巨大なポケモンと、その持ち主が突っ込んできた。
「エレクトロさんですか……」
現れたのは、恒例のエレクトロ。ポケモンはトロピウスだ。
「おや? レイ、どうしましたか、その殴打されたような傷は」
エレクトロはレイの、ザキに殴られて膨れ上がった頬を見ながら言う。
「別に……何でもないですよ」
「そうですか。まあ、あなたがそう言うのであれば、それでいいですが」
「それよりも……何用ですか」
「撤退しますよ。このラボは捨て、帰還しましょう。一足先に皆は戻っています。残るはあなたと、あなたの部下だけです」
エレクトロはこちらも丁度いいタイミングでシルラとのバトルを終えたサーシャを見つつ、レイに言う。
「……そうですか。ならば、わたくし達も退くとしましょうか。……サーシャ、戻りなさい」
レイはサーシャを呼び戻し、トロピウスに乗り込む。サーシャは自前の飛行用ポケモン(フライゴン)を出してそれに乗る。
「……逃げられると思ってんのか?」
ザキはエレクトロ達が飛び立つ前に、そう言った。
「ええ、思っていますとも。あなた方三人が現在所持しているポケモンの中に、飛行できるポケモン、それも私達に追いつくことのできるポケモンはいませんからね」
「……ケッ」
エレクトロの言う事は、的を射ていた。ザキとシルラは飛行できるポケモンを持っていないし、ミキのポケモンも長時間は飛べない。したがって現在、エレクトロ達を追うことは不可能と言っていい。
「それでは、さらばです」
エレクトロは最後にそう言い残し、飛び去っていった。



その後。
P2ラボに突入したトレーナー達(乱入した者などは除く)はひとまず集まり、結果報告。
吉報はミキが無傷で救出された事。
凶報はミキのポケモンが一体奪われた事。
その中間辺りが、プラズマ団が古生代ポケモンを作り出そうとしている事。
まあいずれにしてもそれらはまだ先の問題で、このラボがプラズマ団の本拠地でないと分かった以上、振り出しに戻ってしまった。
次に行動する時は、必ず向こうがアクションを起こさなければならない。受けの一手という状態だ。
なのでイリスはそれまでの間、無駄だと思いつつもプラズマ団の基地を探し、また己を鍛えていた。



場所はカゴメタウン。
プラズマ団が狙っているという氷の龍、キュレムを祀る人々が暮らす小さな町だ。
イリスは成り行きで、現在その町にいる
「はぁ……一体、プラズマ団はどこにいるのやら」
イリスはベンチに深く腰掛け、溜息を吐く。
「どこかにメインのアジトがあるはずなんだけど、どうしても見つからないんだよな……」
イリスは頭の中で今まで探した場所をリストアップしてみる。
そんな作業をしている最中、ふとイリスに影が差した。
人だ。
「なあ、君。ちょっといいか?」
「はぁ、はい……」
話しかけてきたのは、真っ赤なアフロヘアーが特徴の若い男だった。
「俺さ、知り合いを探してるんだけど、知らないか?」
知るわけないだろ、とイリスは思ったが、勿論もっと柔らかく伝える。
「たぶん知らないとは思いますが……どんな人ですか?」
正直面倒ながらもそう訊くイリスに、男は考え込むような仕種をして
「そうだな……髪は黄色で、ボサボサで、服装は結構チャラいな。でも顔はよくて……あ、機械マニアで、電気タイプをよく使う奴なんだが」
……なんだか覚えがある人物だ。
イリスはそう思いつつ、もう一度尋ねる。
「その人、なんて名前ですか?」
「ん? 名前か? 名前は——」

「オーバ、見つけたぞ」

不意に、また声が掛かる。しかし今度は、アフロヘアーの男に対してだ。
「おお、デンジ!やっと見つけたぞ!」
男は声を掛けた人物——以前イリスと戦ったことのある、デンジの方を向きそう言った。
「お前、いつの間にかいなくなっちまったからどこにいるのかと思って探したぞ」
「それはこっちの台詞だ。俺が帰りの船のチケットを予約していたら、フラフラと消えて。まったく、お陰で予約したチケットの期限が過ぎてしまった。また買い直しだ」
デンジと男——オーバは仲が良いのか、親しげに話していた。
「——ん? イリスじゃないか。奇遇だな」
デンジはオーバの陰になっていたイリスを見つけると、軽く挨拶する。
「お? なんだよデンジ。お前、こいつと知り合いなのか?」
ほぼ初対面なのにこいつ呼ばわり。別に構わないが、少々馴れ馴れしいと思ったイリスだった。
「ああ。いつだったか、バトルをしたことがあってな……そうだ」
デンジはふと、思いついたように言う。
そしてイリスは、次にデンジが言う事を大方察していた。
「オーバ、折角だから彼とバトルをしてみたらどうだ?」
やっぱり。
「それは熱い提案だな……なあ、イリスだっけ? よければ俺とバトルしようぜ」
イリスはこの時、サンヨウジムのジムリーダーの一人、ポッドを思い出したりした。
「オーバはこんな奴だが、シンオウの四天王だ。いい経験になると思うよ」
デンジもそう言って勧めてくる。まあ戦って損をするわけでもない。むしろ得をするだろう。だから
「いいですよ、やりましょうか」
イリスはスクッと立ち上がり、オーバを見据える。
そして、イリスとオーバ、二人のバトルが始まった。



今回はバトルのない回です。プラズマ団が撤収し、イリスはオーバとバトルをします。毎章恒例のジムリーダー、ないしは四天王とのバトルですが、その第二回は炎タイプ使い、オーバです。デンジが出て来ているなら、やっぱりもう一人はオーバでしょう。というわけで、次回はイリス対オーバ、お楽しみに。