二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 331章 燃焼 ( No.400 )
日時: 2011/10/27 22:51
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「出て来い、デンリュウ!」
イリスは倒れたエルレイドをボールに戻し、最後のポケモン、デンリュウを繰り出す。
「デンリュウ、メガショック!」
デンリュウはバチバチと弾ける電撃を放つ。
「ベタデーム、熱湯!」
だがベタデームはその電撃を、あろうことか熱湯をぶつけるだけで相殺してしまった。
エルレイドの攻撃を簡単に打ち破ったことといい、これといい、どうやら攻撃能力が最も高いというのはハッタリではないようだ。
「もう一度行くぜ、熱湯!」
ベタデームは再度煮えたぎる熱湯を発射する。デンリュウは横に跳んでその攻撃をかわし、ベタデームに接近。
「デンリュウ、炎のパンチだ!」
デンリュウは拳に炎を灯し、渾身の力で殴りつける。
だがベタデームは水と炎タイプ。炎技の威力は四分の一になってしまい、効果は薄い。
「アイアンテール!」
さらに体を回転させ、鋼鉄の尻尾も叩き込む。だがこれも、効果は薄い。
「そんなんでベタデームが倒れるかよ、ダイヤブラスト!」
ベタデームは宝石のように輝く白色の光線を発射。デンリュウは寸での所でそれを回避し、掠り傷程度で済んだ。
「やっぱり接近戦はダメだな……デンリュウ、一旦下がってメガショック!」
デンリュウは後ろに飛び退き、弾ける電撃を放ってベタデームを攻撃。
しかしベタデームはほとんど動じない。どうやらこのベタデーム、特攻だけでなく特防もそこそこ高いようだ。
「だったら次は、パワージェム!」
デンリュウは続け様に煌く宝石を無数発射し、ベタデームに打ち付ける。この技も効果抜群だが、ダメージはメガショックとほぼ同じ。
「さて、今度はこっちの番だ。ベタデーム、シャドーボール!」
ベタデームは顔の正面に黒い影の球を作り出し、デンリュウへと放つ。
「デンリュウ、弾き返せ!アイアンテール!」
デンリュウは鋼鉄の如く硬化させた尻尾を鞭のように振るい、影の球を弾いてベタデームにぶつける。無論、メガショックでも動じなかったベタデームだ、そんな攻撃には何の反応も示さない。
「ベタデーム、熱湯!」
ベタデームは熱く煮え滾る熱湯を放ち、デンリュウを攻撃。デンリュウも回避が少し遅れてしまい、直撃ではないがその攻撃を喰らってしまった。
「デンリュウ、大丈夫か!?」
思いの外その熱湯の威力は高く、デンリュウは火傷し、結構なダメージも受けた。
だが、ベタデームの攻撃は止まらない。
「どんどん行くぞ、シャドーボール!」
ベタデームは影の球を発射する。
「くっ、炎のパンチで弾き返せ!」
デンリュウはアイアンテールの時のように、炎を灯した拳で弾き返そうとするが、火傷で攻撃力が下がったためか、弾けずにデンリュウはその球を喰らう。
「ダイヤブラスト!」
そこにベタデームは、宝石のように輝く光線を発射。光線は矢のようにデンリュウに向かってまっすぐ飛び、デンリュウを貫く。
「デンリュウ!」
デンリュウは倒れそうになるが、なんとか持ち堪え、体を起こす。
「へぇ、頑張るじゃねえか、そのデンリュウ。でも、もうすぐお終いだ。決めるぞ、ベタデーム!」
オーバもベタデームも、燃え上がったように気迫が増す。
「ベタデーム、オーバーヒート!」
ベタデームは全身から強大で膨大な火炎を放出し、デンリュウへと襲い掛かる。
その攻撃範囲はデンリュウが避けられるものでもないし、その破壊力もデンリュウが耐えられるものではない。
「くっ、デンリュウ、メガショックだ!」
イリスは無駄な足掻きだと分かりつつも、デンリュウにそう指示を出す。
せめて威力が多少なりとも緩和されればいいと、そのくらいの気持ちで指示をした。
しかし

デンリュウは天空から激しく轟く稲妻を落とし、ベタデームが放つ炎を吹き飛ばした。

「なんだとっ!?」
「い、今のは……!?」
オーバとイリス、両者ともに驚く。
イリスは慌てて図鑑を開くと、デンリュウは新しい技を覚えていた。
「雷……!」
雷、電気タイプ技で、トップクラスの威力を誇る技だ。
「デンリュウ、雷を覚えたのか……!」
イリスは感動とともに、これならベタデームを倒せるかもしれないと、希望も湧いてきた。
「よし、行くぞデンリュウ!雷だ!」
デンリュウは天に電撃を放ち、すぐさま雷鳴を轟かせながらベタデームに稲妻を落とす。
ベタデームには、効果覿面だった。
「いいぞ、これなら行ける……!」
イリスには、勝機が見えてきた。
「さあ、止めを稲妻だ!デンリュウ、雷!」
「そう簡単にやられてたまるかよ!ベタデーム、オーバーヒート!」
デンリュウの稲妻と、ベタデームの火炎がほぼ同時に放たれる。
だが勝負は行うまでもなく決していた。
雷は最初の初撃、べたデームのオーバーヒートを一発で吹き飛ばした。それだけで雷の威力は証明され、しかもベタデームは既に一発オーバーヒートを使用しているため、二発目は威力が下がる。
なのでデンリュウの雷はベタデームの火炎を吹き飛ばし、その黒と赤の体に稲妻を突き刺す。
「ベタデーム!」
全身を痺れさせたベタデームは、ほどなくして力なく倒れた。
「……戻れ、ベタデーム」
オーバは戦闘不能となったベタデームを、力なくボールに戻す。そして
「……フゥ、燃え尽きちまったぜぃ……」
それこそ力なく、本当に燃え尽きたように、そう呟いた。
なにはともあれ、イリス対オーバのバトルは、イリスの勝利である。



イリス対オーバのバトル、今回は決着でした。オーバのこのバトルでの切り札級のポケモン、ベタデームですが、終わってみると他のポケモンよりも地味だったような気がしなくもないです。まあそんなことはどうでもよいのです、今回はデンリュウが新技、雷を習得です。今までやけに敗北率の高かったデンリュウですが、これからはそんなことも減る(だろうと信じたい)でしょう。さて次回からは十二幕。そろそろあの救世主の三匹を出してやろうと思います。というわけで、次回もお楽しみに。