二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 338章 イリスvsコーン ( No.407 )
- 日時: 2011/11/06 14:09
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
サンヨウジムトライアルバトルフルコース、第二戦。
相手は水タイプ使い、コーンである。
「それでは、お次はこのコーンがお相手します」
コーンは礼儀正しく、そう言った。
「ポッドの火が通り過ぎた熱いバトルは終わり、お次は熱く火照った体を覚ますスープです。じっくり堪能してください」
何気に棘のあるコーンの言葉。というか、ポッドとコーンは波長が合わないようで、デントと比べて仲がよくないように見える。
「では行きますよ。流るる水よ、バクソウオ!」
コーンのポケモンは、一言で言って、骨だった。
カジキマグロのような姿だが、全身の肉がなく、骨だけ。
食べ終わった魚のような、無残な姿だ。
……まあ、れっきとしたポケモンだが。
骨魚ポケモン、バクソウオ。
水・ゴーストタイプのポケモンで、骨だけになることでスピードが格段に上がったらしい。
本当かよ、とイリスは思う。
「ま、でも、ゴーストタイプなら久々のこいつを使ってみるかな。出て来い、デスカーン」
イリスが繰り出すのは、黄金の棺桶に黒い影の腕が四本、触手のように出ているポケモン、デスカーン。
「それでは、バトル開始!」
審判役にシフトしたポッドの号令とともに、バトルが始まる。
「では、まずはこの技。バクソウオ、雨乞い」
バクソウオは天に何かを乞うように祈る。
すると天井が開いたフィールドの空から、ポツリポツリと、雨が降ってくる。
フィールドの天候が、雨天状態となった。
「これで準備は万端。バクソウオ、行きますよ」
コーンは静かに、しかし自信に満ちた声で指示を出す。
「バクソウオ、メガホーン!」
バクソウオは角の様な尖った骨の先端を突き出し
消えた。
「え?」
気がつけばデスカーンが吹っ飛ばされていて、バクソウオは今までデスカーンがいた所にいた。
「な、何が……?」
イリスには何が何だか、全く理解できなかった。
とりあえずデスカーンは起き上がり、次の攻撃に備える。
「バクソウオ、メガホーン!」
また、メガホーン。
バクソウオは消える。しかしデスカーンは吹っ飛ばされない。
今度はしっかりと耐え、反撃に出る。
「サイコキネシス!」
デスカーンは念動力でバクソウオを持ち上げ、地面に叩きつけた。
「ふむ、やりますね。バクソウオ、ドリルライナー!」
バクソウオは錐揉み回転をしながら突っ込んでくる。
しかし、また消えた。
そして流石のイリスも、この辺で気付く。
(これってまさか……)
また、気付けばバクソウオはデスカーンに角の様な骨の先端を押し付け、ドリルのようにその体を削っていく。
「くっ、デスカーン、引き剥がせ!鬼火だ!」
デスカーンは鬼火をちらつかせ、バクソウオを引き剥がす、ついでに火傷状態にもした。
だが
「そのバクソウオ、なんてスピードですか……!」
さっきまでのバクソウオの動き。消えたように見えたのは、速過ぎて視認できなかったから。
バクソウオは体が骨になることで途轍もないスピードを得た。
さらに特性、すいすいにより、雨天時は速度がさらに上昇。
今のバクソウオは、光速だ。
「バクソウオ、シャドーボール!」
バクソウオはまた消える。そしてデスカーンの周囲を旋回しているのか、影の球が次々とデスカーンを襲う。
全く攻撃している所が見えない。バクソウオが影の球を放っているのが分からない。
「デスカーン、シャドーボール!」
デスカーンは試しに影の球を何発か放つ。
しかし、バクソウオには当たらない。
「ふふ、無駄ですよ。ドリルライナー!」
バクソウオはデスカーンの後ろに回りこみ、ドリルのように回転し、デスカーンの体を削っていく。
「サイコキネシスだ!」
デスカーンは念動力でバクソウオを持ち上げるが、バクソウオは自力で念動力から脱した。
「バクソウオ、メガホーン連打!」
バクソウオが消える。
そして次の瞬間、デスカーンの体に刺突を喰らったような衝撃が走る。
一回だけじゃない。二回、三回と、全身にメガホーンの連打を喰らっている。
「やばい……!」
超スピードによる連続攻撃。今までイリスは素早いポケモンを何体も見たが、ここまで速いポケモンは今だかつて見たことがない。
「とりあえず、攻撃力を下げないと……デスカーン、パワーシェア!」
デスカーンはどこにいるのかも分からないバクソウオと、力をシェアする。
パワーシェアは、互いの攻撃力を足して二で割る技。つまり、互いの攻撃力を同じにする技だ。
「バクソウオ、シャドーボールです!」
バクソウオはデスカーンの周囲を旋回し、機関銃のようにシャドーボールを連射する。
「くぅ、デスカーン……」
デスカーンはとにかく堅い。ずば抜けた防御能力が売りだが、しかしこれだけ撃ち込まれれば、そのうち体力も尽きるだろう。
「せめて一発でも当たれば……デスカーン、シャドーボール!」
デスカーンはところ構わず影の球を乱射する。一発でも、マグレでもバクソウオに当たればいいと思ってだ。
そこで、異変は起きた。
いや、異変が収まった、と言うべきか。
「……? 雨が……」
さっきまでザーザーと降っていた雨が、止んでいる。どうやら雨乞いも終わりを迎えたようだ。
そしてその時、イリスはバクソウオの姿を視認した。
雨が上がり、特性、すいすいの効果が消えたのだ。
「デスカーン、シャドーボールだ!」
デスカーンは渾身の力を込め、ようやく見えるようになってきたバクソウオに向かって、影の球を放つ。
影の球はバクソウオに当たり、バクソウオをふっ飛ばし
バクソウオは戦闘不能となった。
「……はい?」
流石のイリスも驚く。バクソウオはまだほとんどダメージを受けていないはずだ。
そりゃ、サイコキネシスやら鬼火やらはあったし、シャドーボールも効果抜群だが、その程度で倒れるとは思わなかった。
「やられてしまいましたか……」
コーンは特に何とも思っていないのか、普通にバクソウオをボールに戻す。
「このバクソウオは、攻撃、素早さ……特に素早さに特化されていましてね、それも異常なまでに。ですから、途轍もなく打たれ弱いのです」
「は、はぁ……」
なんだか釈然としないが、なにはともあれ、イリスの勝利。
サンヨウジムトライアルバトルフルコース、通算成績は、三勝である。
今回は、自分でもビックリするぐらい呆気なく、微妙に終わりました。いや、バクソウオって面白いですね。ちょっと気に入りました。そういえば審判が号令を掛けるのって、サンヨウジムが初めてですよね。さて、またも本編が長くなってしまったので、あとがきはこの辺で。次回はイリス対コーン、決着です。お楽しみに。