二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 344章 千日手 ( No.414 )
日時: 2011/10/30 21:38
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「行くんだよ、ミルホッグ!」
アロエの最後のポケモンは、背中を伸ばしたネズミのようなポケモン。警戒ポケモンのミルホッグだ。
「出たなミルホッグ。メタゲラス、メタルブラスト!」
メタゲラスは口から大量の鋼を撃ち出すが
「ミルホッグ、かわして火炎放射!」
ミルホッグは跳躍してその鋼をかわし、空中から灼熱の火炎を放ってメタゲラスを炎で包む。
「メタゲラス!」
炎が消えると、メタゲラスは倒れ、戦闘不能となっていた。
「くっ、戻れ、メタゲラス」
イリスはメタゲラスをボールに戻す。
「相手はノーマルタイプ。エルレイドはいない、なら——」
そして、最後のボールを構える。
「出て来い、デスカーン!」
イリスが繰り出すのは、棺桶ポケモンのデスカーンだ。
「おや? へぇ、あの博物館荒らしのデスマスが、進化したんだね」
「ええ、まあ。お陰様で」
アロエは懐かしむように言い、イリスも適当に返す。
「さて、ゴーストタイプのデスカーンなら、ミルホッグのノーマル技を無効化できる。デスカーン、鬼火!」
デスカーンはまず、青白い、不気味な火の玉を複数浮かべ、ゆらゆらとミルホッグに向かわせる。
「効かないよ。ミルホッグ、火炎放射!」
ミルホッグは灼熱の火炎を放ち、鬼火を消し去る。文字通り火力が違う。
「アイアンテール!」
そして一気にデスカーンとの距離を詰め、鋼のように硬化させた尻尾をデスカーンに叩きつける。
「くっ、サイコキネシス!」
デスカーンは堅いポケモン。ミルホッグの一撃を余裕で耐え、念動力でミルホッグを操作して地面に叩きつける。
「パワーシェア!」
そして互いの体を発光させ、力を分け合う。
デスカーンは攻撃能力がかなり低いポケモン。なので大抵のポケモンよりその能力が低く、パワーシェアも使いやすい。
「へぇ、そう来るのか……だったらこっちも、ミルホッグ、見破る!」
ミルホッグはカッと目を見開いてデスカーンを凝視する。
「必殺前歯!」
そしてデスカーンに接近し、必殺の一撃が込められた前歯を、デスカーンの体に突き立てる。
「!? デスカーン!」
デスカーンは予想外の攻撃に呻く。
必殺前歯はノーマル技、したがってゴーストタイプのデスカーンに当たらないはずなのだが
「悪いねぇ、見破るは相手の回避率に関係なく、そしてゴーストタイプに当たらない技を当てられるようになるのさ」
つまりこの場合、ミルホッグは必殺前歯をデスカーンに当てられるようになったという事。
技を制限するつもりで選んだデスカーンだが、これではその策もおじゃんだ。
「さあ、どんどん行くよ。ミルホッグ、火炎放射!」
ミルホッグは口から灼熱の火炎を放ち、デスカーンを炎で包む。
「デスカーン、サイコキネシスで消し飛ばせ!」
デスカーンは強力な念動力で炎を消し飛ばす。
「鬼火だ!」
さらに青白い火の玉を複数浮かべ、不規則な動きで揺れながらミルホッグに向かわせる。
「ミルホッグ、打ち消すんだよ。火炎放射!」
「させませんよ。デスカーン、シャドーボール!」
デスカーンは鬼火よりもスピードの速い影の球を発射し、ミルホッグが放つ火炎放射を相殺する。
そしてミルホッグに鬼火が届き、ミルホッグは火傷を負う。
「攻めるぞデスカーン、サイコキネシス!」
デスカーンはミルホッグを念動力で操作し、地面に叩きつける。
「くっ、ミルホッグ、火炎放射!」
ミルホッグは素早く起き上がると、口から灼熱の火炎を放つ。
「サイコキネシス!」
だがこの攻撃はもうデスカーンには通用しない。デスカーンは念動力で炎を振り払う。しかし
「アイアンテール!」
炎を消してすぐにミルホッグが飛んで来る。いや、ミルホッグのアイアンテールが飛んで来た。
「必殺前歯!」
アイアンテールに怯んだデスカーンに、ミルホッグはさらに必殺の一撃を込めた前歯を突き立てる。
「くぅ、サイコキネシス!」
デスカーンは前歯を突きたてたミルホッグを操作し、地面に叩きつける。
だがミルホッグは相当しぶとく、まだ立ち上がる。
「くっそ、いつになったら倒れるんだ……!」
イリスは苛立っている様子。
「残念だけど、このミルホッグは耐久力を第一に考えて育成しているのさ。だからデスカーンの攻撃程度じゃ、早々にやられたりはしない。そら行くよミルホッグ、火炎放射!」
「デスカーン、サイコキネシス!」
ミルホッグは灼熱の火炎を放つが、デスカーンは念動力で素早く消し飛ばす。
「火炎放射!」
デスカーンはそこにアイアンテールか必殺前歯が来ると読んでいたのだが、ミルホッグは再度火炎放射を放ち、デスカーンを炎で包む。
「そう何度も同じ手は使わないよ。ミルホッグ、アイアンテール!」
ミルホッグは鋼のように硬化させた尻尾をデスカーンに叩き込む。
(くっ、あのミルホッグ、いくら耐久型だからって、防御を考えずに突っ込んで、攻撃が激しい……!)
イリスはミルホッグの怒涛の攻撃を止める術はないかと思考する。
(鬼火とサイコキネシスで削ってるから、そろそろ力尽きるはずなんだけど……)
とそこで、イリスは気がついた
(……? 息が上がってる……)
ミルホッグはゼイゼイと、呼吸が荒くなっていた。
そしてもう一つ、イリスは気付いた。
ミルホッグを倒す手立てを。
「……なあんだ、簡単じゃないか」
行うのは簡単。だからあとは、タイミング。
「ミルホッグ、アイアンテール!」
ミルホッグは鋼鉄の尻尾をデスカーンに叩きつける。
(ここじゃない)
「火炎放射!」
一歩退いて、今度は灼熱の火炎を放つ。
(ここでもない)
「必殺前歯!」
次はまた接近し、デスカーンの黄金の体に前歯を突き立てる。
(ここだ!)

「デスカーン、サイコキネシス!」

デスカーンは強力な、今までで一番強い念動力でミルホッグを操作し、束縛する。
「……? 地面に叩きつけたりはしないのかい?」
「ええ、しませんよ」
イリスは余裕を持って答える。
「そのミルホッグは火傷状態。いくら耐久力が高くても、いずれは力尽きる。その証拠に、息も荒くなっていますしね」
確かに、ミルホッグはさっきと同じく、息が上がっている。
「なら話は簡単。こういう念動力で動きを止めて、あとは体力が尽きるのをひたすら待つだけです」
「……!」
アロエはその気長で千日手のような、誰も思いつかないだろう作戦に、目を見開く。
だがすぐに瞼を下ろし
「……参ったよ」
その一言を呟いた後、ミルホッグは力尽きた。



さて、今回はイリスとアロエのバトル、決着でした。アロエの切り札であるミルホッグは、それ自体は弱いのですが、ゲームだとストーリーの進行上、どうしても強敵になります。さて、デスカーンがミルホッグを下した手段ですが、最近どうにも捻った案が思いつかないので、かといってサイコキネシスで普通に攻撃してエンド、というのも味気がないので、ということでこうなりました。ではそろそろ次回予告に移りましょう。次回もジム再戦をしようと思っています。次はヒウンジム、アーティです。お楽しみに。