二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 345章 イリスvsアーティ ( No.417 )
日時: 2011/10/30 22:52
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

ヒウンシティ。
先日この街にあるPDOの支部が倒壊し、一時は大騒ぎになったのだが、今はそんな事は忘れたかのように、この街は賑わっている。
ヒウンジム。
このジムのジムリーダーは、芸術家としても有名なアーティだ。
「やあやあイリス君、久し振りだね。なに、バトル? いいよいいよ、今ちょうど製作に行き詰っていた所なんだ。君とのバトルなら、もしかしたら新しいインスピレーションが見つかるかもしれない。喜んで受けて立とう」
ということで、イリス対アーティ、三対三のシングルバトルが始まった。



「さて、それじゃあまずは僕からポケモンを出すとしよう。出て来てくれ、ワークロ」
アーティの一番手は、青色の、地味な感じの蟻ポケモン、ワークロ。
「ワークロは正直言って、華やかなポケモンじゃない。だけど真面目な性格で、働き者なんだ。ポケモンは見た目だけじゃない。勿論見た目も重要だが、何よりその内に秘めたハートが大切なんだ」
アーティの鬱陶しい自己満足トークを聞き流し、イリスもボールからポケモンを繰り出す。
「出て来い、リーテイル!」
イリスの一番手は、飛行タイプも備えるリーテイルだ。ワークロは虫・格闘タイプなので、結構有利に戦える。
「行くぞリーテイル、エアスラッシュ!」
リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、空気の刃を無数に飛ばす。
「ワークロ、かわして襲撃だ!」
ワークロはその小さい体で素早く動き回り、空気の刃を回避。そしてリーテイルの背後に来ると、強烈な一撃を喰らわせる。
「まだだよ、雷パンチ!」
さらに電撃を纏わせた拳を突き出し、リーテイルを殴り飛ばす。
「くっ、リーテイル、エアスラッシュ!」
リーテイルは空中で体勢を立て直し、無数の空気の刃を飛ばす。
「ワークロ、回避だ」
ワークロは素早い身のこなしで空気の刃を避け続ける。
「流石は働き者のポケモン、すばしっこいな……リーテイル、ダイヤブラスト!」
リーテイルは宝石のように輝く白色の光線を発射するが、これもワークロは避ける。
「ワークロ、襲撃!」
ワークロは素早く動いてリーテイルの背後を取り、拳を叩き込む。
「跳び膝蹴りだ!」
さらに細い脚を折り曲げ、膝でリーテイルを思い切り蹴り飛ばす。
効果はいまひとつだが、結構威力は高い。
「リーテイル、ダイヤブラスト!」
リーテイルは吹っ飛ばされながらも宝石のように輝く光線を発射するが、ワークロはかわす。
「素早さ、回避率の高いワークロか……これは厄介だな」
どんな攻撃でも、当たらなければ意味がない。
攻撃が当たらなければ、何をしたって勝てっこないのだ。
「リーテイル、リーフブレード!」
「ワークロ、かわして雷パンチ!」
リーテイルは尻尾の鋭い葉っぱでワークロに斬り掛かるが、ワークロはサッと横にかわして電撃の拳を叩き込む。
だがそこに、イリスは隙を見つけた。
「今だリーテイル、ロイヤルバーン!」
リーテイルは自然の力を爆発させ、ワークロを攻撃しようとするが

「ワークロ、おだてる!」

ワークロはなにやら腰を低くし、リーテイルをおだて始めた。
「な、なんだか知らないけど、まあいいか。リーテイル、ロイヤルバーン!」
リーテイルは自然の力を爆発させようとするが、暴発してしまい、自分が吹っ飛ぶ。
「リ、リーテイル!?」
今までこんなことはなかった。なのでその奇行に、イリスは驚く。
「おだてるは、技名通り相手をおだてて、混乱状態にする技さ。しかし、代わりのおだてられた相手は特攻が上がるけどね」
アーティは技の説明をする。
それにしてもこのワークロ、何だか妙におだてるが似合う。何故だろう。
「リーテイル、混乱なんて気にするな。エアスラッシュ!」
リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせるが、空気の刃はどれも明後日の方向に飛んでいった。
「無駄だよ、ワークロにおだてられたんだ、早々混乱は解けやしない。襲撃!」
ワークロは素早くリーテイルに接近、不意討ちのような一撃を叩き込む。
「くぅ、リーフブレード!」
リーテイルは尻尾の葉っぱを振るが、葉っぱが切り裂いたのはワークロではなくリーテイル自身だった。
「跳び膝蹴り!」
「ダイヤブラスト!」
リーテイルは宝石のように輝く光線を発射しようとするが、暴発。その隙にワークロは跳び膝蹴りを入れる。
「雷パンチだ!」
さらにワークロは吹っ飛んだリーテイルに電撃の拳を叩き込む。
リーテイルの耐久力は、低いというわけではないが高いわけでもない。なので物理アタッカーであるワークロの攻撃をしこたま喰らって、かなりピンチな状況だ。
ここで深緑が発動し、草技で逆転しようにも、今は混乱状態。下手に暴発しては自爆で受けるダメージも増えてしまう。
「ワークロ、襲撃!」
だがただジッとしていても、ワークロの攻撃が飛んでくる。
「ヤバイな、この状況……!」
リーテイル、絶体絶命。
と、思ったのも束の間。リーテイルは正気を取り戻したのか、徐々に顔つきが変わっていく。
「混乱が解けたのか……?」
リーテイルはまだ足元がおぼつくも、その目はいつものように鋭い。
「ワークロ、雷パンチ!」
だが次の瞬間、ワークロの電撃の拳がリーテイルの腹にめり込み、思い切り上空へと殴り飛ばされる。
「そろそろ決めるよ、跳び膝蹴り!」
ワークロは地面を蹴り、思い切り跳躍する。それと同時に小さな膝も突き出し、止めを刺しに来る。
だが、今のリーテイルには、そんなものは脅威ではない。

「リーテイル、エアスラッシュ!」

リーテイルは膝を構えて突っ込んでくるワークロに無数の空気の刃を飛ばし、その小さな体を切り刻む。
「っ! ワークロ!」
エアスラッシュはタイプ相性でワークロには威力四倍、さらにおだてるで特攻も二段階上昇している。
ワークロは虫タイプらしく防御面はあまり高くないようで、そのエアスラッシュを喰らっただけで戦闘不能となった。
「うーん、負けてしまったか……戻れ、ワークロ」
アーティは少し残念そうにワークロをボールに戻す。
「まあでも、今のバトルで何かを掴んだ気がするよ。最初は普通の兵士を出したけど、次はいきなり女王の登場だよ」
アーティは意味深なことを言い、次のボールを構えた。



今回はイリス対アーティ、再戦です。アーティの一番手は働き蟻そのものと言っていいようなポケモン、ワークロ。いや、おだてるがよく似合うポケモンです。……はい、ワークロさん、ごめんなさい。もう言いません。……まあ、それと、ワークロ自身と、アーティの言動から、アーティが次に繰り出すポケモンは容易に想像できますね。さて次回もイリスとアーティのバトル。それにしても、再戦シリーズはいつまで続くのやら……一応、どのくらいで区切りをつけるかは決めています。では、次回もお楽しみに。