二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 349章 仮根 ( No.421 )
- 日時: 2011/10/31 23:10
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「…………」
イリスとカミツレに緊張が走る。今は爆煙で姿が見えないが、程無くして煙も晴れ、二匹の姿が見えるようになる。
立っていたのはライチュウ。
そしてリーテイル。
「ライチュウ!」
「リーテイル!」
——の、どちらでもなかった。
二匹のポケモンはともに、目を回しながら下のネットへと落下。
「……引き分け、か」
「ですね……」
イリスとカミツレは、それぞれのポケモンをボールに戻し、次のボールを手早く構える。
「それじゃあ、早速第二戦のスタートよ。煌け、ヒカリゴケ!」
カミツレの二番手は、苔ポケモン、ヒカリゴケ。コケのような緑色の体に、薄い黄色の尻尾と頭が出たようなポケモンだ。
「ヒカリゴケは、草と電気か。珍しいタイプだな……」
イリスは図鑑でヒカリゴケを調べつつ、そう呟く。
「でも、草が混じってるならちょうどいい。もとよりお前を出すつもりだったから、相手が草タイプなら戦いやすいだろう。出て来い、ウォーグル!」
イリスの二番手は、またも飛行タイプを持つウォーグル。これも足場対策だ。
「ヒカリゴケ、根を張る」
ヒカリゴケはバトルが始まるなり、レールに根っこを張り、体を固定した。
というか、レールに根を張った所で栄養は吸収できないと思う。
「ヒカリゴケはバランス感覚が悪くてね。だからこうやって、レールに根っこを張って体を固定させるの」
つまりヒカリゴケの根っこは仮根ということらしい。
「さて、それじゃあ行くわよ。ヒカリゴケ、マッハボルト!」
ヒカリゴケは素早く電撃を撃ち出し、ウォーグルを攻撃。
「くっ、ウォーグル、ブレイククロー!」
ウォーグルは素早く体勢を立て直し、爪に力を込めてヒカリゴケに突っ込む。
「煌くのよヒカリゴケ、フラッシュ!」
ヒカリゴケは突っ込んでくるウォーグルに眩い閃光を放ち、動きを止める。
「ソーラービーム!」
刹那、ウォーグルが吹っ飛んだ。
「!? ウォーグル!」
ウォーグルは壁に叩きつけられるが、なんとか羽ばたいて体勢を立て直す。
「何だ今のは……いくらなんでも、溜め時間が短すぎる……!」
確かに、ヒカリゴケのソーラービームの短さは異常だった。
「ふふ、そんなに難しいことじゃないわよ。ヒカリゴケは根を張るで栄養分を吸収することはできないけど、代わりに電気を吸収しているの」
「電気?」
「ええ、電気。ほら、このレールを伝ってね」
カミツレはコースターで回りながら、フィールドを指差す。
「このレールには微弱ながらも電気が通っていて、スポットライトなんかに電気を送ってるの。でも今は、ヒカリゴケがその電気を吸収。体内で光エネルギーに変換する事で、素早くソーラービームが発射できるというわけ」
成程。ヒカリゴケの張った根っこはただの仮根ではなかったようだ。とイリスは納得した。
「じゃあ、タネも割れたところで、バトル再開。ヒカリゴケ、マッハボルト連射!」
ヒカリゴケは電撃を素早く連射し、ウォーグルを攻撃。
「ウォーグル、ビルドアップ!」
ウォーグルは襲い来る電撃をかわしながら、筋肉を増強する。
「鋼の翼!」
そして翼を鋼のように硬化させ、ヒカリゴケに突っ込むが
「フラッシュ!」
ヒカリゴケは目が眩むような眩い閃光を放ち、ウォーグルの動きを止める。そして
「ソーラービーム!」
強力な太陽光線を発射し、ウォーグルを吹っ飛ばす。
「くっ、ウォーグル!」
効果はいまひとつだが、やはり特攻の高いヒカリゴケのソーラービーム。相当な威力だ。
「ウォーグル、連撃じゃあフラッシュで止められる。決めるなら一撃必殺だ。ビルドアップ!」
ウォーグルは筋肉を増強し、攻撃力を高める。一気に能力を上げて一撃で決める作戦に出るようだ。
「そういう作戦で来るなら、こっちも早めに決めるわよ。ヒカリゴケ、マッハボルト連射!」
ヒカリゴケは機関銃のように電撃を素早く連射する。
「ビルドアップだ!」
それでもウォーグルはその電撃をかわしつつ、筋肉を増強していく。
「そろそろ行くぞ、ブレイブバード!」
ウォーグルは全身に燃え盛る炎のようなエネルギーを纏い、凄まじい勢いでヒカリゴケに突っ込む。
「ヒカリゴケ、フラッシュ!」
例によってヒカリゴケは眩い閃光を放つが、ウォーグルは減速するだけで止まらなかった。
「止まらない……でも、それなら迎撃するだけ。ソーラービーム!」
ヒカリゴケは強力な太陽光線を発射し、突っ込んでくるウォーグルを攻撃。
しばし両方の攻撃も競り合ったが、やがてウォーグルが押し負け、吹っ飛ばされた。
「ウォーグル!」
幸いウォーグルはブレイブバードのエネルギーが盾になってソーラービームの威力を緩和したが、それでももう体力の限界だろう。
「そろそろ終わりかしらね……ヒカリゴケ、マッハボルト連射!」
ヒカリゴケはマシンガンのように電撃を素早く連射する。
「ウォーグル、とにかくビルドアップだ!最大まで力を溜めろ!」
ウォーグルは襲い来る電撃をかわしながら、筋肉をひたすら増強していく。そして限界まで物理能力が上がった所で
「ブレイブバード!」
ウォーグルは今までで一番激しい、轟々と燃える業火のようなエネルギーを全身に纏い、ヒカリゴケに突撃する。
「ヒカリゴケ、フラッシュ!」
ヒカリゴケは眩い閃光を放つ。しかしウォーグルは止まらなかった。
何故なら炎の濃度が濃すぎて、ウォーグル自身も前がよく見えていないからだ。
「突き進め、ウォーグル!」
ウォーグルはイリスの声に応えるように、速度を増す。
「くっ、だった迎撃よ。ソーラービーム!」
ヒカリゴケは全身の電気エネルギーを光エネルギーに変換し、今までで最も強力な太陽光線を発射する。
ブレイブバードとソーラービーム。両方の攻撃はともに激しく押し合ったが、徐々に徐々に、ウォーグルが押していく。
そして遂にウォーグルは太陽光線を突き破り、ヒカリゴケの張った根を引き千切り、ヒカリゴケを吹っ飛ばす。
「ヒカリゴケ!」
ヒカリゴケは吹っ飛ばされ、ネットに落下した。その目は完全に回っており、戦闘不能だ。
そして
「お疲れ、ウォーグル」
ウォーグルもブレイブバードの反動で、戦闘不能。
両者ポケモンをそれぞれボールに戻す。
二戦連続の引き分けが続いたイリスとカミツレ。
次のバトルが、勝負を決める。
今回はイリスとカミツレのバトル、その二です。カミツレの二番手、ヒカリゴケは特攻が凄いです。ちなみにヒカリゴケの戦術は、1根を張るで体を固定→2マッハボルト連射→3近づいてきたらフラッシュで動きを止める→4ソーラービームでぶっ飛ばす→2に戻る。となっております。それとヒカリゴケの根を張るですが、大元のコケ、コケ植物は根っこで水分を吸収せず、仮根と呼ばれる根っこで体だけを支えています。まあ、中学一、二年くらいの生物範囲を習った人なら分かるでしょう。さて次回はイリス対カミツレ、決着です。カミツレの切り札は例のあれです。なんだかアーティの時にも言いましたね、この台詞。では次回もお楽しみに。