二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 355章 鉄心 ( No.441 )
- 日時: 2011/11/03 02:10
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
イリスは一人で、コバルオンの所へと向かう。
コバルオンはフキヨセの洞穴のさらに奥、導の間と呼ばれる場所で、静かに眠っていた。
「…………」
コバルオン水色の体に白い体毛、ギザギザとした金色の角を持つ、有蹄類、鹿か馬のようなポケモンだった。
「……コバルオン」
イリスは意を決し、コバルオンに話しかける。
するとコバルオンは目を開き、体を起こして、イリスを見据える。
”人間か……何の用だ”
コバルオンは、喋った。まるでテレパシーのように、イリスの脳に直接響くようだ。
そしてコバルオンの声は、冷たい鉄のように冷めていた。
しかしイリスは怯まない。
「僕の話を聞いて欲しいんだ」
”断る。人間と話すことなどない”
バッサリと切り捨てられた。取り付く島もない。
「そんな事言うなよ。話せば分かるとは言わないけど、話くらいはさせてくれ」
”断る。何度言っても無駄だ。一応言っておくが、あまりしつこいと、我も牙を向くぞ”
コバルオンは忠告する。
「いいだろ、別に。お前達が人間を忌み嫌っているのは知ってるけど——」
”知っていてのその行動か。今一度言う、あまりくどいようだと、牙を向くぞ”
コバルオンは、再度忠告する。
「だから——」
”三度目はない!”
イリスが声を出しかけたその時
コバルオンは角を構えて突進してきた。
「やっぱそう来るのかよ!メタゲラス!」
イリスは念のため握っておいたボールを素早く投げ、中からメタゲラスを出す。
メタゲラスはイリスの正面に現れ、コバルオンの攻撃を防御する。
”ふん、人間の分際でポケモンを操るか。貴様も我に制裁されたいようだな”
「違う。僕らはただ、お前と話に来ただけだ」
”そんな言葉、信用できるか!”
コバルオンは何もかもを破壊するような勢いでメタゲラスに突進する。
「ぶち壊すか……メタゲラス、メガホーン!」
メタゲラスも角を構えてコバルオンに突進する。
コバルオンの角とメタゲラスの角がぶつかり合い、互いに火花を散らす。
しばらく競り合った後、二体とも身を退いた。力はほぼ互角だ。
”立ち去れ、人間!”
コバルオンはすぐさま鋭く尖った岩を無数に浮かべ、それらを一斉にメタゲラスへと発射する。
「メタルブラストで打ち砕け!」
メタゲラスは口から大量の鋼を光線のように撃ち出し飛来する岩を粉砕し、コバルオンにもダメージを与える。しかし効果いまひとつなので、大きなダメージにはならない。
「ちょっと手荒になるけど、勘弁願うよ。メタゲラス、大地の怒り!」
メタゲラスは地面を踏み鳴らし、地中より大量の土砂を噴射してコバルオンを攻撃。
コバルオンは鋼・格闘タイプ。地面タイプの大地の怒りは効果抜群。
だが
”解き放て、鋼の波動!”
次の瞬間、コバルオンは銀色の光線を発射した。
「!? メタゲラス!」
メタゲラスはその光線の直撃を喰らい、大きく吹っ飛ばされる。
「今のは……メタルバーストか?」
メタルバーストとは、直前に受けた技のダメージを1,5倍にして反射する技だ。
コバルオンは堅いポケモンとはいえ、さっきの大地の怒りは結構効いただろう。だからそれが強化されて跳ね返ってくるダメージなど、想像に難くない。
「メタゲラス、やれるか?」
メタゲラスはなんとか起き上がり、コバルオンと相対する。まだやれるようだ。
「よし、いいぞ。メガホーンだ!」
メタゲラスは頭の角を構え、コバルオンへと突っ込む。
”愚かな。人間などに従うから、我らも鉄槌を下さねばならない。貴様らでは、我には勝てない。切り裂け、正義の刃!”
突如、コバルオンの角が光り輝く。
「! メタゲラス、あれはやばい、避けろ!」
コバルオンは俊敏な動きでメタゲラスに接近すると、その光り輝く刃でメタゲラスを切り裂いた。
「メタゲラス!」
聖なる剣に切り裂かれたメタゲラスは、その場に崩れ落ち、戦闘不能となった。
「くっ、戻ってくれ、メタゲラス……」
イリスはメタゲラスをボールに戻す。
「想像以上の強さだな、まさかメタゲラスがこんなに早くやられるとは……」
イリスは次のボールを選びつつ、コバルオンを見遣る。
コバルオンは相変わらず冷たい鉄のような眼で、イリスを見据えている。
「……よし、次はこいつだ。出て来い、エルレイド!」
イリスの次のポケモンは、格闘タイプを持つエルレイドだ。
「エルレイド、まずサイコカッターで牽制だ!」
エルレイドは肘から念動力の刃を飛ばす。
”効かん!”
しかしコバルオンは全く動じず、その刃を跳ね返した。
「アイスブレード!」
エルレイドは肘の刃を氷結させ、コバルオンに斬り掛かる。
”突き刺せ、岩石の杭!”
コバルオンはそんなエルレイドに対し、尖った岩を無数に発射して迎撃を試みる。
「エルレイド、切り落とせ!」
エルレイドは刃を振るい、襲い来る岩を切り落とす。
「ドレインパンチ!」
そしてそこから一気に距離を詰め、淡く光る拳を叩き込む。
「よし、そこからリーフブレードだ!」
さらにエルレイドは草木の力を宿した刃を振るい、コバルオンを切り裂く。
「ドレインパンチ!」
そして再度ドレインパンチを決める。この連撃にはさしものコバルオンも堪えただろう。
そう、堪えたのだが
”解き放て、鋼の波動!”
コバルオンから、銀色の光線が発射され、エルレイドが吹っ飛ぶ。
「しまった!」
今の技はメタルバースト。エルレイドのドレインパンチのダメージを増量して返されたのだ。
”砕け散れ、終の衝動!”
さらにコバルオンは凄まじい殺気を発しながらエルレイドに突撃し、さらに吹っ飛ばす。
「エルレイド!」
エルレイドは強く壁に叩きつけられ、地面に落ち戦闘不能。
「……なんて強さだ……」
イリスはこの時、救世主と呼ばれしポケモンの強さを、身に染みて実感したのだった。
今回はイリスとコバルオンのバトルです。コバルオンは今までのポケモンなんかと違い、喋ります。ちなみにコバルオンは沈着冷静な性格だそうですが、今回は完全に気が立っていて荒々しいです。というかコバルオンってこんなに強かったっけ……?コバルオンは技を使うのが分かりやすいよう、それぞれの技に台詞がありますので、参考にしてください。さて次回もイリスとコバルオンのバトル。しかしこのバトルはそんなに長引かないと思います。では、次回もお楽しみに。