二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 359章 草原 ( No.445 )
日時: 2011/11/03 20:18
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

”英雄よ、一つ尋ねてもよいか?”
フキヨセの洞穴から出る途中、コバルオンはイリスにそう言ってきた。
「別に構わないけど……なに?」
”貴様は我らに力を貸してくれと言っていたが、具体的に何をすればよいのだ?”
確かにその通りだ。
というか、イリスはコバルオンを説得する時、ドサクサに紛れて何気なく自分の要求を入れ込んでいた。
「ああ、それか。実は僕達は、君達の言う信用できない、悪い人間達と戦っているんだ」
そう前置きし、イリスはプラズマ団について大まかに説明する。
「——で、今は奴らの拠点を探しているとこ。君達には、奴らとの戦いの手助けと、拠点を探して欲しい。奴らの科学力はかなりのものだ。もしかしたらポケモンにしか発見できないような場所にアジトを構えているかもしれない」
”成程、了解した。ではテラキオンとビリジオンが納得し次第、すぐさま行動に移ろう。しかし……”
コバルオンは満足いかないと言うような表情で言った。
”貴様の話を聞く限りおいては、奴らは陸海空のどこにでも基地を構えていそうだな。我らは陸地においてはどこへでも調べられるが、海と空はどうしようもない”
「確かにそうだろうけど、でもそれはしょうがいことだよ。僕だってできないことを頼んだりはしないよ」
”いや、確かに我らは陸地しか調べられないが、水中を探索できる奴がいないわけでもない”
コバルオンはもったいぶるように言う。
「……どういうこと?」
”我らは別れる前に、弟子がいたのだ。奴ならもしかしたら、我ら以上の働きをするやも知れぬ”
「へぇ……で、その弟子っていうのはどこにいるの?」
”我らと奴の波長は合わなくてな、正確な場所は分からんが、ここより北、やや東だ。仄かに龍の香りがする”
どうやら波動は、香りも分かるらしい。
「それって、ソウリュウシティじゃない?」
リオが言う。確かに龍といえば、イッシュではソウリュウシティだ。
「となると、僕らの次の目的地はソウリュウシティ。もしくはその近辺か……」
指針も決まり、とりあえずイリス達は歩み続ける。
……未だ、フキヨセの洞穴から出ることは出来ないイリス達だった。



ヤグルマの森。
複雑な地形で入り組んでいるこの森は迷いやすい。
「ここ、どこだろ……?」
そしてベルは、そんな迷いの森で、道に迷っていた。
「ポケモンについて詳しくなろうと、ポケモン達を追っかけてたら、こんな所に来ちゃったよ……フワライドは疲れてるし、どうやって抜けようか……」
ベルがそう途方に暮れていると、ふとベルは顔を上げる。
「……あれ?」
そこは森の中とは思えないほど開けている、草原のような場所だった。しかし少し遠くにはちゃんと木々が生えているので、森の中なのは確かなのだが
「ここは……?」
さっきと違った意味合いで、ベルは呟く。
とりあえず歩いていると、草原の真ん中に、これまた奇妙な具合に木々が生えていて、何かを隠すようにそこを覆っている。
ベルは興味本位でそのその木々を掻き分け、中を覗く。すると
「うわぁ……ポケモンかな?」
そこには、一匹の美しいポケモンがいた。
草のように鮮やかな緑色の、ヤギかレイヨウに似た有蹄類のような体。細身でしなやかな体躯は、顔つきも相まって中性的な印象を与える。一見すると分かり難いが、側頭部から後ろに反って伸びているのは刃のようだ。
”……意外と早く来たのですね。貴方は、コバルオンの言っていた使者でしょうか”
そのポケモンはゆっくりと起き上がると、まっすぐにベルを見つめる。
「あ、えっと……」
ベルはわけが分からず、しどろもどろになる。
”まあここにいるということはそうなのでしょう。私の名はビリジオン、以後お見知りおきを。……では、早速始めましょうか”
ベルはまだ何も理解していない。しかし、ビリジオンの行動からこれだけは分かった
「出て来て、ベロベルト!」

ビリジオンはベルに向かって突っ込んできた。

つまりこれは、戦う意思があるということ。
「ベロベルト、激突!」
ベロベルトも向かって来るビリジオンに対し、全力で突っ込むが、ベロベルトの攻撃は呆気なくかわされた。
”切り結べ、草木の刀”
そしてビリジオンはベロベルトに接近し、鋭い緑色の刃でベロベルトを切り裂く。
「リーフブレード……!? ベロベルト、スプラッシュ!」
ベロベルトは水飛沫を散らしながらビリジオンに攻撃するが、ビリジオンは軽快な動きでそれをかわす。
”当たりませんよ。斬り返せ、燕の一閃”
さらにビリジオンはベロベルトを刃で何度も切り裂く。
「うぅ、炎のパンチ!」
”舞い狂え、毒の朽葉”
ベロベルトは炎を灯した拳を突き出すが、ビリジオンは流れるような動きでその拳を回避。毒が含まれた葉っぱを無数に飛ばし、ベロベルトを切り刻む。
「ポイズンリーフ……ベロベルト、パワーウィップ!」
ベロベルトは長い舌を伸ばしてビリジオンに叩きつけようとするが、やはり当たらない。
「激突!」
さらにベロベルトは全身全霊でビリジオンに突っ込むが、これも外れ。
どうやらビリジオンは、素早さが高く、回避しながらの攻撃を主戦法にしているようだ。
「ベロベルト、もう一度激突!」
ベロベルトは再度全身の力を振り絞ってビリジオンに突っ込むが

”切り裂け、正義の刃!”

ビリジオンは自ら突撃してくるベロベルトに突っ込み、紙一重でその攻撃をかわす。
さらにその一瞬の交錯で、光り輝く刃でベロベルトを切り裂いた。
「ベロベルト!」
切り裂かれたベロベルトは倒れ、戦闘不能となる。
「戻って、ベロベルト」
ベルは戦闘不能のベロベルトをボールに戻し、次のボールを構える。
「なんだかよく分からない事態になったけど、なんかだ面白そうだし、このまま行っちゃおうか!」
ベルは相変わらずマイペースだが、最近それにも磨きがかかってきた。



今回はベルとビリジオンのバトルです。ベルは今作で影の薄くなった人、その三に含まれるキャラクターだったりします。ビリジオンって、見た目はいいんですけど、実践ではおよそ使い物にならない、とまでは言わないまでも、結構使いにくいですよね。弱点多いし、飛行は四倍だし、技も微妙だしで、他の二体と比べても見劣りしますよね。それと今回はもう一体の存在を仄めかす発言があります。まあそれは次幕からですね。まずは今です。ベル対ビリジオンです。というわけで、次回もお楽しみに。