二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 364章 父母 ( No.452 )
日時: 2011/11/04 21:01
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「行くぞエルレイド、アイスブレード!」
エルレイドは両肘の刃を氷結させ、ニドキングに斬り掛かる。
「ニドキング、ポイズンスピア!」
ニドキングは自身が切り裂かれるのも厭わないかのように、毒を帯びた長い角を突き出す。
結果、エルレイドの刃はニドキングを切り裂いたが、ニドキングの角もエルレイドの体に突き刺さった。
「くっ、エルレイド、サイコカッター!」
エルレイドは返す刀で念動力を纏わせた刃を振り、ニドキングを切り裂く。
「ドレインパンチだ!」
さらにニドキングの懐へと素早く潜り込むと、淡く発光した拳を腹に叩き込む。
流石のニドキングも腹部への攻撃は効くのか、少しよろけてしまい、その隙にエルレイドは一旦ニドキングから距離を取る。
「よし、とりあえずは一定距離を保ったままにして、攻撃時に接近。すぐに身を退くのが最善かな。エルレイド、サイコカッター!」
エルレイドは肘を振り、刃状の念動力を高速で飛ばす。
ニドキングは突撃などのスピードはそこそこ高いが、小回りは利かない。なのでその刃も避けれずに切り裂かれる。
「リーフブレード!」
そしてエルレイドはその隙にニドキングに接近し、草木の力を宿した刃で切り裂く。
「くぅ、ニドキング、アイアンテール!」
ニドキングは鋼鉄のように硬化させた尻尾を薙ぎ払うように振るが、エルレイドは素早く後方に跳び退ってその攻撃を回避する。
「ならば、ファイターショックですわ!」
ニドキングは拳を振り抜いて強烈な衝撃波を飛ばすが、これもエルレイドには当たらない。
「エルレイド、連続でサイコカッター!」
エルレイドはとにかく念動力の刃を無数に飛ばす。
ニドキングは単発のサイコカッターも避けられないのに、これだけの量の刃を回避するなんて不可能だ。なのでニドキングは、その数多の刃に切り刻まれた。
「アイスブレード!」
エルレイドはそんなニドキングの隙を見つけては接近し、氷結した刃で切り裂く。効果抜群なので、結構効いているだろう。
「もう一発、ドレインパンチ!」
エルレイドは体を屈めて、ニドキングの顎に淡く光る拳をアッパーカットのように叩き込む。
ニドキングは重量があるので吹っ飛びこそしなかったが、大きく仰け反った。
「さらに一発!」
そしてその隙をイリスが逃すわけもなく、エルレイドは再度淡く光る拳をニドキングに叩き込む。
しかし

「ニドキング、大地の怒り!」

ニドキングはエルレイドの拳を受け止めると、エルレイドの手を掴んだまま大地を踏み鳴らしてエルレイドの真下の地面から大量の土砂を噴出し、エルレイドを吹っ飛ばす。
「しまった……エルレイド!」
エルレイドは思わぬ反撃に受身も取れず、地面に叩きつけられるように落下した。
ニドキングの攻撃力はそれなりに高く、さらにこのニドキングの特性は同じ性別のポケモンと戦う時に攻撃力が上がる闘争心。それにタイプ一致も相まって、相当なダメージになっただろう。
「エ、エルレイド、大丈夫か?」
エルレイドは今の一撃で全身ズタボロになったが、なんとか立ち上がる。しかしそれでも、もはや満身創痍。気力だけで立っているようなものだ。
「あらあら、思いの外打たれ弱いのですね。その辺りは見た目通りですか……それではそろそろ決めましょう。ニドキング、ポイズンスピア!」
ニドキングは毒を帯びた長い角を突き出し、エルレイドへと突進する。
ニドキングは重量級だが、それは突進する場合に限っては非常に有利なのだ。何故なら重いということは、勢いさえつけば速度が増す。つまりありていに言えば、重さを速さに変換しているのだ。
「くぅ……エルレイド、サイコカッターだ!」
エルレイドは刃に念動力を纏わせ——ようにも、体力の限界が近いためか、その念動力が安定しない。
そうもたついている間にもニドキングは迫ってくる。その距離、約5m。
4m、3m、2m。
ニドキングはどんどん迫ってくるが、エルレイドの念動力は全く安定せず、これでは攻撃どころか防御もできない。
絶体絶命の危機。
ニドキングとの距離が遂に1mを切り、ニドキングの毒の角が、エルレイドの体に突き刺さる——

ガガガガガガガガッ!

——直前に、エルレイドの真正面で何かが弾けた。
ただ小気味良い音とともに、ニドキングが吹っ飛ばされたのだ。
「なっ!? ニドキング!」
地面に叩きつけられるように落下したニドキングは、どんな攻撃を受けたのか、腹部に無数の弾痕のような痕があるだけだった。
「……お戻りくださいませ、ニドキング」
ミヤマは先の二体のように、慈愛に満ちた表情で戦闘不能となったニドキングをボールに戻す。
「あなたがどのような技を使ったかは存じませんが、しかしわたくしのニドキングを倒すほどの大技である事は推測できます」
ミヤマは言う。
だが当のイリスも、エルレイドが新技を習得したらしい以上のことは分からない。
「父の無念は母が晴らす。ニドキングの遺恨は、このポケモンが引き継ぎます。おいでませ、ニドクイン!」
ミヤマの四番手は、ニドキングに似た、しかしニドキングと違って母性的なポケモン。体は青い鱗で覆われ、角は短く、女性的なシルエット。
ニドキングと同じドリルポケモンと分類されるポケモン、ニドクインだ。
「……へぇ、ニドキングと対になるポケモンか」
イリスは図鑑でエルレイドの新技を調べながら、ニドクインを見遣り、そう呟く。
「それでは参りますわ。怨恨織り交ぜた激しい毒の嵐を、とくと味わってくださいまし!」
本日三度目のミヤマの台詞。
それにイリスは
「父が来ようと母が来ようと、全部返り討ちにしてやりますよ。……、まあ、父親よりも母親の方がやりにくいかな」
ミヤマをけしかけてきたイリゼの事を思い出しながら、(分かり難いが)憤慨するのであった。



今回はイリス対ミヤマ、えーっと、その四ですね。エルレイドはミヤマのニドキングにやられそうになりますが、この土壇場で新技習得。ニドキングを撃退しましたが、お次はニドクインの登場です。ちなみにエルレイドの新技は一つではなかったりします。まあそれは次回ですね。エルレイドがニドキングを下した技はなんなのか。……まあそれは、ニドキングの傷跡を見ればおおよそ予想はつきますがね。ということで、次回もお楽しみに。