二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 366章 小柄 ( No.454 )
日時: 2011/11/05 12:24
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「頼むぞ、フローゼル!」
イリスの最後のポケモンは、氷技も覚えるフローゼル。
素早さも高いのでコモラゴンに有利だと思うのだが……
「コモラゴン、龍の舞」
コモラゴンは龍の如く激しく舞い、攻撃力、素早さを高める。
「毒突き」
そして指に爪に猛毒を帯びさせ、突き刺すようにフローゼルへと襲い掛かる。
「フローゼル、氷の牙で迎え撃て!」
フローゼルは氷結した牙を伸ばしてその突きを止めようとする。しかし龍の舞で上がったコモラゴンの攻撃力、それをフローゼルが止められるわけもなく、フローゼルは吹っ飛ばされつつも威力を相殺するので精一杯だった。
そう、それだけのことが、精一杯。
「本当速いな、このコモラゴン……!」
ミヤマのコモラゴンは、その巨躯にしてはありえないほど速い。龍の舞で素早さも上がっているとはいっても、流石に度が過ぎる。
だかやスピードタイプのフローゼルでも、受け止める——実際は受け止め切れていないが——のが精一杯なのだ。
「くっそ、フローゼル、スターフリーズ!」
「コモラゴン、潜る」
フローゼルは巨大な星型の氷塊を投げつけるようにコモラゴンへと放つが、コモラゴンは一瞬にして地面に潜り、その氷塊を回避。
さらに次の瞬間、コモラゴンはフローゼルの足元から這い出るように現れ、強烈な爪の一撃に引き裂かれる。
「ぐぅ、氷の牙!」
フローゼルはその一撃をなんとか耐え、氷結した牙を伸ばしてコモラゴンに突き刺す。
「気合パンチ!」
そして動けないコモラゴンに気合を込めた拳を叩き込む。しかし
「ぶち壊すですわ」
コモラゴンは握った拳を鉄槌のように振り下ろす。フローゼルは寸前で身を退いたため当たらなかったが、地面はクレーターのように凹んでいる。
「速いくせに力もある……ミヤマさん。そのコモラゴン、一体なんなんですか?」
イリスはミヤマに尋ねる。
「ふふ、それは漠然とした物の訊き方ですわね……しかし、お答えしましょう。わたくしのコモラゴンはまず、他の四体のように防御を特化させず、素早さを重点的に育てましたの」
それは分かる。しかしあの瞬間移動のような素早さは、それだけでは説明がつかない。
「まあしかし、そんなものは所詮は理屈。さてイリスさん、このコモラゴンを見て、何か気付く事は?」
ミヤマは突然、そんなことを言う。
「何か気づく……? ……!?」
「お気付きですか、流石です。そう、このコモラゴンは、小さいのです」
イリスが以前見たコモラゴンは、相当大きかった。なのでコモラゴンのデフォルトの大きさを知らなかったから今まで気付かなかったが、ミヤマのコモラゴンはかなり小さい。精々イリスと同じくらいの身長だ。巨躯とか言ったが、あれはコモラゴンの凄まじい気迫に気圧され、そう感じただけのようだ。
「体が小さいという事は、それだけ体重も少ない。体重が少なければ、その分素早く動ける。つまりはそういうことですわ」
つまりミヤマは、小さく元々素早さが高かったコモラゴンの素早さをさらに特化させて、最速のコモラゴンを創り上げた。
「ではお喋りはこのくらいにして、コモラゴン、毒突き!」
コモラゴンは毒を帯びた腕を突き刺すように振り下ろす。
「フローゼル、かわしてアクアテール!」
フローゼルは跳躍して毒突きをかわし、コモラゴンに水を纏わせた二又の尻尾を叩きつけるが、しかし体が小さくても防御力は残っているようで、あまり効いていない。
「やっぱり高威力で氷技のスターフリーズをぶつけないとダメか……」
しかしスターフリーズは飛び攻撃。素早いコモラゴンに当たるわけもない。
「コモラゴン、ぶち壊す!」
コモラゴンは全てを破壊するように気迫でフローゼルに突進する。
「フローゼル、かわしてスターフリーズ!」
フローゼルは振り下ろされる鉄槌をかわして巨大な氷塊を放つが
「潜るです」
コモラゴンは一瞬で地面に潜り、氷塊を回避。
そして次の瞬間、フローゼルの真下の地面から現れる。
「くっ、気合パンチ!」
コモラゴンが繰り出す強烈な爪の一撃を、フローゼルは気合を込めた拳で弾こうとするが、攻撃力は向こうの方が上。なので威力が減衰されるだけに終わった。
「くぅ、どうすれば……!」
スターフリーズを確実に当てる方法。それが見つかればイリスの勝利は保障されたようなもの。しかし見つからないから、イリスは模索する。
「……そうだ」
イリスは閃いた。スターフリーズを確実に当てる方法。いや、確実とは言い難いが、しかし確率は高いだろう。
「よし、行くぞフローゼル!スターフリーズだ!」
フローゼルは巨大な氷塊を作り出し、コモラゴンへと放つ。
「ふふ、無駄ですわ。コモラゴン、潜る」
コモラゴンは飛来する氷塊を地面に潜って回避。ここまではイリスの作戦通り。そして
「氷の牙!」
フローゼルはコモラゴンが這い出る前に氷結した牙を地面に突き刺し、地面は凍結していく。
「……コモラゴン?」
すると、コモラゴンはいつになっても出て来ない。
この時ミヤマの脳裏には、最悪の展開が浮かんでいる。
そして不幸な事に、その展開は当たっていた。
「フローゼル、気合パンチ!」
フローゼルは地面に思い切り拳を叩きつけ、地面を抉る。

すると土砂とともに、氷漬けになったコモラゴンが飛び出す。

「どんなに速くても、こうやって氷漬けにすれば、動きようがありませんよね!」
これはいつだったか、ホドモエジム再戦時、ヤーコンのモグルトンに使った戦法だ。
しかしあの時とは違って、コモラゴンは完全に凍り付いている。ドラゴン故に氷には弱いのだろうか。
「さあ終わりです。フローゼル、スターフリーズ!」
フローゼルは今までで最も巨大な星型の氷塊を作り出し、投げつけるようにコモラゴンへと飛ばす。
「コモラゴン!」
飛来する氷塊はそのままコモラゴンに激突し、小柄なコモラゴンは吹っ飛ばされる。
そしてここで奇跡などは起こらず、コモラゴンは戦闘不能となった。
「……負けてしまいましたか」
ミヤマは今までで一番慈愛に満ち溢れた表情で、コモラゴンをボールに戻す。
「激しい毒の嵐は、英雄の手で鎮められてしまいました……」



今回はイリス対ミヤマ、決着です。ミヤマのコモラゴンはかなり速いのですが、そのスピードが上手く描写されていないようだったので、少しばかり補足を。そうですね、ミヤマのコモラゴンはイリスのフローゼル、リーテイルを上回り、ディザソルの神速に匹敵します。ちなみにミヤマのコモラゴンですが、どのくらいの大きさかというと、イリスと同じくらい……より実は少し小さいです。大体150cm、1,5mくらいです。ではこれで弟十二幕も終了。次は弟十三幕へと移行します。いや、それにしても終わりも近づいてきましたねぇ……次回をお楽しみに。