二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 367章 イリスvsフウロ ( No.458 )
日時: 2011/11/08 23:27
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「デンリュウ、パワージェム!」
「オオスバメ、燕返し!」
フキヨセシティ、フキヨセジム。
ジムリーダーは飛行タイプ使い、フウロ。
「アイアンテール!」
「鋼の翼!」
イリスは飛行タイプ使いのフウロに対し、セオリー通り電気タイプのデンリュウを繰り出した。
そしてフウロのポケモンもシンプルなノーマル・飛行タイプのオオスバメだ。
「やるねぇ、イリス君。一年前とは大違いだよ」
「それは、お互い様でしょう」
デンリュウの鋼鉄の尻尾と、オオスバメの鋼の翼が弾き合い、互いに距離を取る。
「デンリュウ、雷だ!」
「オオスバメ、かわして辻斬り!」
デンリュウは激しい稲妻を落とすが、オオスバメは素早い動きでそれを回避。デンリュウの脇を通り過ぎ、その通り間際に翼で切り裂く。
「燕返し!」
さらにオオスバメは宙返りするようにデンリュウの方へと戻ってきて、再度翼で切り裂く。
「流石は飛行タイプ、単発の雷じゃ当たりませんか……だったらデンリュウ、パワージェム!」
デンリュウは額から煌く宝石を無数に放つ。
「問題ないよ。オオスバメ、燕返しで全部切り落として!」
オオスバメは目にも止まらぬスピードで襲い来る無数の宝石に突っ込み、その宝石を全て切り落とす。
「デンリュウ、炎のパンチだ!」
オオスバメが全ての宝石を切り落とした刹那、デンリュウの炎の拳が繰り出される。
「かわして辻斬り!」
だがその拳も、オオスバメは華麗に回避し、そのままデンリュウを切り裂く。
「もう一撃、鋼の翼!」
そしてそこに鋼鉄の翼も打ちつけて追撃。
「やっぱ速いな……さて、どうするか」
イリスは考える。
オオスバメは素早い。とにかく速い。段違いのスピードを持っている。
だがその分防御力は低いだろうとイリスは読んでいて、恐らく雷を一発撃ち込んでやれば戦闘不能になるだろう。
だが速くこちらの攻撃は回避されるか防御されるか相殺されるかの三択なので、どうしてもダメージを与えられない。
「せめて一撃でも入れば、そこから勝機が見出せそうな気がするんだけどな……」
幸いなのは、オオスバメの攻撃が軽い事と、ほとんど効果がいまひとつなことだろう。
どうやらこのオオスバメは元々高い素早さに加え、素早さ特化で育てているようなので、余計速い。
だがその分他のステータス——攻撃など——は低いようで、さらに覚える技の性質上、電気タイプのデンリュウに効果的なダメージを与えられる技は少ない。
だから一撃や二撃でやられるようなことはないが
「それでも、どんな小さくて弱い攻撃でも積み重なれば致命傷になる。蓄積すればいずれ倒れる。オオスバメ、燕返し!」
オオスバメは素早い動きでデンリュウに接近、その体を翼で切り裂く。
「くぅ、デンリュウ、パワージェム!」
デンリュウは無数の煌く宝石を発射するも、オオスバメは全発回避。やはり当たらない。
「鋼の翼!」
そしてオオスバメの鋼の翼がデンリュウにヒット。
ダメージが溜まるなら攻撃を避ければいいと思われるが、そうもいかない。
素早さが早いということは、それだけ移動スピード、攻撃スピードも速いということで、こちらも避け難いということだ。それにダメージが溜まれば動きも鈍くなってしまい、さらに避け難さが悪化する。
「オオスバメ、辻斬り!」
オオスバメは一撃ではなく、連撃でデンリュウを体を切り裂く。
デンリュウの体力はまだ結構残っているが、それでもいつまで保つものか。
「燕返し!」
オオスバメが物凄いスピードで突っ込んでくる。
そこでイリスは一か八か、賭けに出た。
「デンリュウ、アイアンテール!」
オオスバメが突っ込んでくるのに合わせて、鋼鉄の尻尾を思い切りスイングしたのだ。
当たればよし、当たらなければ反撃が来るだろう。
結果は当たった。オオスバメは直線で突っ込んだものだから軌道の修正が間に合わず、デンリュウのアイアンテールを真正面から喰らったのだ。
まあそれでも、燕返しのスピードでアイアンテールの威力をかなり減衰する事はできたようだが、しかしオオスバメに生じた隙をイリスは見逃さない。
「雷だ!」
デンリュウは空中で体が流れてしまっているオオスバメに雷鳴轟く稲妻を落とす。
雷は電気技の中でもトップクラスの威力を誇る大技だ。それをオオスバメが効果抜群で喰らって、耐えられるはずがない。
そう、イリスは思っていたが
「な……っ!?」
果たしてオオスバメは、起き上がった。
だが雷に打たれて全身は麻痺し、ほとんど戦闘不能だ。
「……なかなか見上げた根性ですね。でも、それだけ消耗すればもう倒すのは簡単です」
「どうかな。このオオスバメはなにも、スピードと根性だけが取得じゃないよ」
フウロはまだ自信満々に言うが、イリスは既に勝った気でいた。
バトルは最後まで何が起こるか分からないというのに。
「デンリュウ、炎のパンチ!」
デンリュウは拳に炎を灯し、オオスバメに殴り掛かる—

「オオスバメ、空元気!」

——寸前にオオスバメは気力を振り絞って起き上がり、殴り掛かるデンリュウに物凄い勢いで連撃を叩き込む。
デンリュウはオオスバメの連撃で吹っ飛ばされ、戦闘不能となった。
「デンリュウ!?」
まさかイリスはここでオオスバメが起き上がるとは思っていなかったが、それ以上に今の一撃(いや連撃なのだが)でデンリュウが戦闘不能になったことの方に驚く。
まだデンリュウの体力は半分以上あった。それにオオスバメの攻撃力もそこまで高くないので、たかがタイプ一致の攻撃でやられるとも思えないのだが
「空元気は自分が状態異常の時、威力が跳ね上がる技。さらにオオスバメの特性、根性も同じように状態異常の時、攻撃力が底上げされる。そのデンリュウも、流石にこの威力上昇の相乗効果には耐えられなかったみたいだね」
フウロは得意げに言う。
イリスはそれを聞きながらデンリュウをボールに戻し、次のボールを構えた。
「……まあでも、そのオオスバメももう限界でしょう。ですから僕は、次を見越してポケモンを出さなくてですね」



今回は再戦シリーズその六、イリス対フウロなのですが……実は最近、風邪をこじらせましてね……しばらく更新できなかったのですよ。ですがもうほとんど治ったので、更新します。ですがまあ病み上がりなのでペースは落ちますが、いつもの更新速度はうざいくらいでしょうから、丁度いいでしょう。さて話を戻しましょう。今回はさあ出ました、素早さだけが取り柄で有名、オオスバメです!……え?そう思ってるのは僕だけ?まあ確かに今回は素早さよりも根性の方が活躍してますね。では次回もイリス対フウロ、その二です。お楽しみに。