二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 371章 零下 ( No.466 )
- 日時: 2011/11/15 00:52
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「では行くぞ。氷河海獣、トドゼルガ!」
ハチクの二番手は、巨大な水色のトドのようなポケモン。氷割りポケモンと分類されており、口から伸びる巨大な二本の牙がその所以だろう。
「こりゃまたごっついのが出ましたね。でもそのくらいじゃ怯んだりはしませんよ。ディザソル、神速!」
ディザソルは神の如き速度でトドゼルガに突撃する。
だがトドゼルガの耐久力もユキノオーの負けず劣らず高く、ビクともしない。
「トドゼルガ、絶対零度!」
そして次の瞬間、ディザソルの周囲がピキピキと凍り始める。
「……っ、これははやばい……ディザソル、退け!」
直感で危険を察知したイリスはそう叫び、ディザソルもそれに応じて大きく跳び退った。
「絶対零度は一撃必殺の技。それをこんな序盤から使ってくるなんて……!」
イリスもハチクとのバトルは二回目で、さらに今まで色々なトレーナーと戦ってきたが、いきなり一撃必殺技を使うような者はいなかった。そのためか、驚きを隠しきれない。
「絶対零度だけではないぞ。トドゼルガ、地割れだ!」
次のトドゼルガは二本の牙を地面に勢いよく突き刺し、地面をかち割った。そうしてできた大地の裂け目は、ディザソルに迫っていく。
「ディザソル、絶対に当たるなよ!」
ディザソルは前進するように斜め前に跳んで地割れを回避。当たれば即戦闘不能だ。絶対に避けなくてはならない。
「一撃必殺の技を二つも覚えさせるか、普通……?」
イリスは愚痴るようにそう零すが、すぐに頭を切り替える。
「ディザソル、辻斬り!」
ディザソルは一瞬でトドゼルガに接近すると、その水色の巨体を漆黒の刃で切り裂く。
「トドゼルガ、絶対零度!」
だがやはりトドゼルガは余裕で耐え、一撃必殺の絶対零度を放つ。
これだけは絶対に当たれないので、ディザソルは後ろに跳んでかわすが
「波乗りだ!」
そこに大波が押し寄せてディザソルを押し流す。波が引くと、そこにはディザソルの倒れた姿。しかしまだ戦闘不能ではないようだ。
「くっ、ディザソル、怒りの——」
「シグナルビーム!」
ディザソルが憤怒の炎を放つ前に、トドゼルガのカラフルな光線が発射され、ディザソルは吹っ飛ばされた。
「ディザソル!」
流石のディザソルも効果抜群の技には耐え切れなかったようで、目を回して戦闘不能となっていた。
「戻れディザソル、よくやった」
イリスは労いながらディザソルをボールに戻し、次のボールを構える。
「そのトドゼルガは、一撃必殺の技で相手の動揺を誘い、その隙に通常攻撃を叩き込むスタイルと見ました。それならこっちは、素早さ重視で攻め立てますよ。出て来い、リーテイル!」
イリスの二番手は草・飛行タイプのリーテイル。相性が悪いように見えるが、氷技は絶対零度だけなので、元から喰らう気はない。
「行くぞリーテイル、エアスラッシュ!」
リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、空気の刃を無数に飛ばし、トドゼルガを切り刻む。
「むぅ、トドゼルガ、シグナルビーム!」
トドゼルガはカラフルな光線を発射するが、そんな単発攻撃はリーテイルには当たらない。
「それに、もう一つの一撃必殺、地割れは地面技だからリーテイルには効かない。それだけで随分トドゼルガの動きを制限できます。リーテイル、リーフブレード!」
リーテイルは一気にトドゼルガに接近すると、鋭い葉っぱを振ってその巨体を切り裂く。
流石に効果抜群の技は通用するのか、トドゼルガは呻く。
「トドゼルガ、絶対零度!」
「リーテイル、深追いはするな。一旦退け!」
リーテイルは絶対零度で凍りつく空気から飛び出し、凍死を免れる。
「ドラゴンビート!」
リーテイルは大きく息を吸い込み、次の瞬間、龍の鼓動のような音波を咆哮のように口から放つ。
あまりの凄まじい音波にトドゼルガは、吹っ飛びこそしなかったが大きく後退した。
「なんて威力……しかし、トドゼルガも負けてはいない。波乗りだ!」
トドゼルガは大きく吠えると、どこからともなく大波を呼び寄せ、リーテイルを押し流さんとする。
「ロイヤルバーンで吹き飛ばせ!」
だがリーテイルは至極冷静で、迫り来る大波に自然の爆発によって生じた衝撃波をぶつけ、波に穴を開けてそこから脱出。
「もう一発ロイヤルバーン!」
そしてそのままトドゼルガに接近し、間近で爆発を起こして攻撃する。
「リーフブレード!」
「そう何度も喰らうわけにはいかんな。絶対零度!」
リーテイルは鋭い尻尾の葉っぱを振りかぶるが、周りの大気が凍りつくのを感じ、すぐさま身を引く。
「危ない危ない……何度もどころか、こっちは一発だって喰らえないっていうのに。リーテイル、ドラゴンビート!」
リーテイルは龍の鼓動のような音波を咆哮として放つ。
「トドゼルガ、波乗り!」
トドゼルガは大波を起こして音波にぶつけ、音波を相殺。
「シグナルビーム!」
そこにシグナルビームが発射され、リーテイルは直撃を受けた。
「くっ、リーテイル!」
リーテイルは吹っ飛ばされるも空中で体勢を立て直し、着地。
もう一押しでトドゼルガは倒せる。そのくらいまで体力は減っているだろうが、しかしその一押しが押せない。
イリスはなるべく考えないようにしているが、しかしそれでも頭の片隅に、絶対零度を喰らって倒れるビジョンが見えてしまうのだ。それがここに来て、踏み出せるはずの一歩を押し止める。
「くっ……」
そんな葛藤を抱くイリスにリーテイルはふと振り返る。
そして、頷いた。
「リーテイル……分かった」
そんな数秒程度のやり取りでイリスは決心し、リーテイルに指示を出す。
「リーテイル、リーフブレード!」
リーテイルは尻尾の葉っぱだけでなく、背中の葉っぱも、両手の爪をも構え、トドゼルガに飛び掛かった。
「トドゼルガ、絶対零度!」
トドゼルガは襲い来るリーテイルに対し、空気中を凍りつかせ、全てを氷結させる零下273℃の世界を創り出す。
だがその程度ではもうリーテイルは止まらない。リーテイルは尻尾、背中、爪の刃を全て駆使し、トドゼルガをあらん限り切り刻む。
「トドゼルガ!」
その無数の斬撃を浴びたトドゼルガは、遂に戦闘不能となったが
「よくやった、リーテイル……」
リーテイルも止まらなかった絶対零度に凍りつき、戦闘不能となった。
「ふむ、引き分けか。では次で決着となろうな」
「ええ、そうですね」
ハチクとイリスはそれぞれポケモンをボールに戻す。
そして、次のボールを構えた。
今回は前回の続き、対ハチク戦その二です。ハチクの二番手はトドゼルガなのですが、正直自分で書いて思いました。こんなに一撃必殺の技を連続使用するポケモンなんているのか?と。いやだって絶対零度に地割れと二つも一撃必殺技覚えているんですよ。まあ一応、一撃必殺の技で相手を牽制し、そこに普通の技を繰り出して体力を削るのがこのトドゼルガの戦法なんですけどね。さて文字数もそろそろ限界なので、あとがきはこの辺で。次回はハチク戦決着です。お楽しみに。