二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 19章 氷女 ( No.49 )
日時: 2011/07/31 23:55
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「げっしゃ、戻って」
茶色い髪の女性が、げっしゃというニックネームらしいブラッキーをボールに戻す。見た感じ戦闘不能ではないようだが、かなりのダメージを受けていた。戻して正解だろう。
そしてそれと同時にプラズマ団——7P(セヴンプラズマ)の方もポケモンを戻す。
「……あなたは?」
茶髪の女性がイリスに尋ねる。
「僕は、イリスといいます。キリハさん……PDOという組織の人に、ここで戦っている人がいるから救援に行ってくれと頼まれて来ました」
「そうですか……ありがとうございます。私はユウナです。よろしくね」
女性——ユウナは可愛らしい笑顔でそう言う。だがそぐにその顔も、真剣なものとなる。
「……一人増えましたね。まあ、別に構いませんわ。一応名乗ってあげましょう、わたくしは7Pのレイ」
7Pのレイは丁寧な口調で言うが、エレクトロのように礼儀正しいとは言えない。その声は凍てついていて、氷柱のように鋭く、こちらを冷たく突き刺すような声だ。
「二人になったという事は、ダブルバトルになるのかしら……?」
レイはボールを二つ出しつつ言う。
「……ユウナさん、ポケモンはまだいますか?」
「いるけど……本当に戦わないといけないの……?」
イリスはその言葉を聞き、少し戸惑う。どうやらユウナは平和主義な所があるようで、バトルする気満々、というわけではないようだ。
「ユウナさん、僕はまだあなたと知り合ったばかりであまり偉そうな事は言えないですが、それでも今は戦うべき時です。ここで戦わなくては、被害は拡大します。それに、皆戦っているのに自分が戦わないなんて……倫理的にどうでしょう」
イリスの言葉でユウナは少々戦意が出てきたのか、ボールを握り締める。
「うん、分かった。あまり気は進みませんが……戦うとします。出て来て、イヴ!」
ユウナが繰り出したのは、薄紫色のしなやかな体躯と二又に分かれた尻尾を持つポケモン、太陽ポケモンのエーフィだ。先ほど戻した月光ポケモンのブラッキーとは、進化元が同じのようだ。
「じゃ、僕はこいつかな……出て来い、リーティン!」
イリスが繰り出すのは発芽ポケモンのリーティンだ。まだ進化して間もないが、それでも新しい手持ちの中では最強だ。
「……出て来なさい、テッカニン、ヨノワール」
レイが繰り出したのは、忍ポケモンのテッカニンと、手掴みポケモンのヨノワールだ。
テッカニンはセミのような姿をしており、羽を高速で羽ばたかせて飛んでいる。かなり速そうだ。
ヨノワールは黒い体には目も足もなく、腹に口のような黄色い切れ込み模様と目玉模様がある。こっちは逆に鈍そうだ。
「……イリスさん、イヴが能力を上げるまで、あの二匹を引き付けてくれませんか?」
ユウナは小声でイリスに耳打ちする。
「それは……どういった作戦で?」
「私のイヴはあまり打たれ強くないので、前線で戦うのには向かないんです。だから、準備を整えて一気に攻めます」
イリスはそれを聞いて少し考える。イリスにはこのユウナという女性の強さが分からないので、なんともし難い。しかし
「分かりました。じゃあ、その作戦で行きましょう」
「……ありがとう」
作戦会議が終わると、イリスは真っ先に動いた。
「リーティン、かまいたち!」
リーティンは空気の渦を作り出し、葉っぱを振って風を切り裂く真空の刃を飛ばす。
「テッカニン、見切りよ……」
テッカニンはかまいたちの軌道を見切り、素早い動きでそれらを全てかわす。
「イヴ、影分身」
そしてイヴ(エーフィ)はその隙に影分身を作り、攻撃を当たり難くする。
「……呆れましたわ。わたくしに回避率上昇の技なんて効きませんよ。テッカニン、燕返し。ヨノワール、シャドーパンチ」
テッカニンは超高速でエーフィに直進し、鋭い爪で切り裂く。ヨノワールは影を纏わせた拳を、ロケットパンチのようにして撃ち出す。
「リーティン!」
リーティンは飛び上がり、葉っぱを盾にして燕返しとシャドーパンチを受ける。
「グラスミキサー!」
そしてリーティンは葉っぱを高速で回転させて木の葉の渦を作り出し、テッカニンとヨノワールを巻き込もうとする。
「テッカニン、避けなさい……」
しかしテッカニンはそれを避け、渦に巻き込まれたのはヨノワールだけだった。ヨノワールはそのまま地面に叩きつけられ、結構なダメージを受ける……はずだった。
「全然効いてない……!?」
見ればヨノワールは平然としていて、ノーダメージと言っても良いくらい余裕だった。
「わたくしのに限らず、ヨノワールは堅いのですよ……。そのくらい、常識ですわ。テッカニン、連続切り……」
次の瞬間、テッカニンは消えた。
そしてリーティンの肩に切り傷ができる。いや、肩だけじゃなく、足、腕、背中と、どんどん傷ができていく。そしてその傷も徐々に深くなっている。
「こ、これは……!」
イリスは理解した。つまり、テッカニンは残像も残らないほどの超スピードで動き回り、リーティンを連続で切り裂いているのだ。しかも、そのスピードは攻撃する都度上がっているようにも見える。いや、見えないから感じる、と言った方が正しいか。
「テッカニンの特性加速による高速の——光速の連続切り、じっくりとその体で味わってもらますわ……」
レイの冷たい声が、イリスの心を凍結させる。



今回は7Pのレイとのバトル、そして黒影さんのオリキャラ、ユウナとの共同戦線。黒影さん、キャラ崩壊などの不備があればお申し付けください。なんだか今回は、希望通りのキャラではないきがしてならないのですが……。では、次回予告ですね。次回は……まあ、分かると思いますが、レイとのバトルの続きです。お楽しみに。