二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 381章 救助 ( No.490 )
- 日時: 2011/11/23 23:58
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「出て来て、ポリゴンZ!」
ミキが繰り出したのは、奇怪な姿のポケモンだった。
水色のラインが入った赤い楕円形の体、そこには細い水色の楕円が手として二本、足として一本くっ付いている。頭部も赤く、アンテナのような突起と水色の嘴がある。
バーチャルポケモン、ポリゴンZ。ノーマルタイプのポケモンだ。
「ポリゴンZか、面白いポケモンだね。さてそのポケモンがそう戦うのか……出て来い、フィニクス!」
ソンブラが繰り出すのは炎・ドラゴンタイプの不死鳥ポケモン、フィニクスだ。
「フィニクス、ドラゴンビート」
フィニクスは大きく息を吸い、龍の鼓動のような音波を咆哮の如く放つ。
「ポリゴンZ、バグノイズ!」
ドラゴンビートに対し、ポリゴンZも狂ったような音波を放つ。そして互いの音波がぶつかり合う。すると双方の音波はすぐさま消滅した。
音というものは逆位相の音で迎え撃つと容易く消える。それが分かってて、ミキはこの技を指示したのだ。
「へぇ、思ったより賢しい娘だね。じゃあフィニクス、ダイヤブラストだ!」
次にフィニクスは、宝石のように輝く白色の光線を発射した。
「ポリゴンZ、十万ボルト!」
ポリゴンZは高電圧の強力な電撃を放って光線と競り合う。しばらく拮抗状態が続いたが、威力はどちらも同じのようで、やがて双方とも相殺されて消えた。
「そこだよポリゴンZ、ハイドロポンプ!」
ポリゴンZは水色のパーツの先端をそれぞれ合わせ、そこに水の渦を作る。すると渦の勢いはだんだんと強くなっていき、最終的には小型の渦潮のようになる。
「発射!」
ミキの指示と同時に、渦から大量の水が放たれる。水は一直線にフィニクスに向かっていき、直撃すれば大ダメージだろうが
「フィニクス、迎え撃つよ。テラブレイズ!」
フィニクスは膨大な燃え盛る灼熱の業火を放つ。業火は一直線に向かって来る水流を飲み込み、一瞬にして蒸発させた。
「嘘……!?」
流石のミキも驚きを隠しきれない。ハイドロポンプは水タイプでトップクラスの威力を誇る技。タイプ一致ではないとはいえ、特攻特化型のポリゴンZが放ったのだ。そんな攻撃を炎技で完全に打ち消されるなんて思わないだろう。
「残念ながら、これは現実だ。フィニクス、もう一度テラブレイズ」
フィニクスは再度灼熱の業火を放つ。業火はポリゴンZを包囲する様に襲い掛かり、逃げること許さない。
「うぅ……ポリゴンZ、一か八か。破壊光線!」
ポリゴンZは襲い来る業火に、破壊の力を秘めた極太の光線を発射する。光線は確かに正面の炎を消し飛ばしたが、テラブレイズはポリゴンZを包囲する様に襲ってきた。なので残りの炎はそのままポリゴンZに襲い掛かり、その人工の体を燃やしていく。
「……ふうん。耐えるんだ」
炎が鎮火すると、そこには辛うじて立っているポリゴンZ。威力は相当なものだったろうが、破壊光線で消し飛ばした炎の分、ダメージが少なく済んだのだろう。
「ポリゴンZ、バグノイズ!」
「ドラゴンビート」
ポリゴンZはせめてもの反撃にと狂乱の音波を放つが、同時にフィニクスも龍の鼓動のような音波を放ってバグノイズを相殺する。
「音は逆位相の音で迎え撃つと消える……君のポリゴンZのバグノイズが、僕のフィニクスのドラゴンビートを打ち消せるなら、その逆も然り。当然の理だね。フィニクス、決めるよ。流星群!」
フィニクスは遠吠えのような大きな鳴き声を発する。すると次の瞬間、虚空より無数の隕石、流星が群れをなしてポリゴンZに降り注ぎ——
”切り裂け、正義の刃!”
全て、切り落とされた。
「! 誰だっ!」
ソンブラは突如出現し、流星の群れを全て切り裂いた影に向かって叫ぶ。するとその影は次第に姿を現していき、やがて全貌が明らかになる。
”我が名はコバルオン。愛弟子の危機を感じ馳せ参じたが……どうやら、それには英雄達が動いているようだな”
現れたのは鉄心の救世主、コバルオンだ。どうやら自らの弟子の危機を察して駆けつけ、その途中でイリスの弟子であるミキを見つけ、助けたようだ。
「えっと、あなたは……」
”貴様は英雄の弟子だろう、奴から聞いている”
「そ、そう……」
コバルオンの鋭い声に、ミキは少し引け腰になる。
「えーっと、何かな。つまり君は僕らの邪魔をしようと、そういうわけだね?」
”そう解釈しても構わない”
「単身で乗り込んでくるなんて、随分余裕だね。今回の作戦は確かに団員をあまり引き連れてはいないけど、7Pが二人動員されているんだよ」
”我の知る所ではない。それに、我は一人で乗り込んでなどいない”
「……? じゃあ、なんで君は一人でここに? まさか手分けして探していたのかい?」
”当たらず。不正解だ。我は仲間とともに、仲間を助けに来たのだ。救世主故にな”
”降り注げ、礫の雪崩!”
リオが深い闇を凝視していると、突然、威厳あるそんな声が聞こえ、次の瞬間、岩が雪崩れ落ちるような激しい音が響き渡った。
「な、なに……!?」
突然の事態にリオが混乱していると、黒い霧が晴れていく。
霧が完全に晴れた時、そこには倒れたファントマの姿、そして
”某の名はテラキオン、岩窟の救世主なり。愛弟子の、そして英雄殿達の危機を感じ助太刀に参った”
そこには、屈強な体を持つ救世主のポケモン、テラキオンの姿。
「……これは驚きました。まさか救世主のポケモンが出て来るとは」
エレクトロはファントマを戻し、次のボールを二つ取り出しながら言う。
「では、次からは貴方も参加ということでしょうか?」
”左様……名前は存じぬが、御主。構わんか?”
「勿論よ。ありがとう、助かるわ」
シャンデラもリオと同様に、体を揺らして返答する。
「……これは、少々面白い事になりましたね」
エレクトロは、静かに微笑した。
”切り結べ、草木の刀!”
マカドゥスがユニサスに飛び掛かったその時、マカドゥスは突如飛び出した謎の影に切り裂かれた。
「マカドゥス! ちっ、何モンだ!?」
声を荒げてフォレスが叫ぶ。するとその影はフォレスの向かい側、キリハの傍に立ち、その姿を現す。
”私の名はビリジオン。草原の救世主、と呼ばれています。この度は、愛弟子と、仲間達の救出に参りました”
影、ビリジオンはそう名乗り、自らの目的を告げる。
「救世主……イリス君が言ってたポケモン達か。僕を助けてくれる、っていうことかな?」
”そういうことになりますね”
ビリジオンは、務めて静かに返す。
「くっそ、また面倒なことになりやがった……!」
対するフォレスは、荒い語調で、もう一つのボールを握り込む。
今回はミキとソンブラのバトル、そして救世主三人組の登場です。前回出て来た影は彼らでした。ミキの下にはコバルオン、リオの下にはテラキオン、キリハの下にはビリジオンです。それぞれ敵とのバトルを手伝ってくれるのですが……それでどう勝負が転ぶかは、分かりません。ではあとがきはこの辺で、次回もお楽しみに。